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爆弾混じりの残酷なプレゼント

 戦場から自分が統治する植民地に戻ったアルガスタは焦っていた。それは植民地から戦場に赴いた二日目の事である。


 自分の婚約者の行方が分からなくなったと部下から突然報告を受けた。その報告に対し心底アルガスタは慌てた。直ぐにも自身の婚約者を探しに行きたい。だがここは戦場だ、戦場を指揮している自分が予定と事なり直ぐに戻れる訳には行かない。


 アルガスタは急ぎ部下に戦場の指揮の引継ぎを行い。戦場で自身の能力を使い暴れた。それは八つ当たりに近い物であった。戦場に同盟国の「雷鳴」の二つ名を持つ者が現れるまで。アルガスタは戦場を荒らし同盟国の兵を多数殺した。


 それから戦場の状況が有利になったと見るとアルガスタは戦場を部下に任せて急いで自身が統治する東の植民地に戻った。


「エルザはまだ見つからないのか!!」


 アルガスタは行き場の無い苛立ちを部下にぶつける。


「申し訳ありません。エルザ様の情報は一つも見つかっていません」


 部下がそう伝えるとアルガスタは貧乏ゆすりをする。彼が植民地に戻りした事は自身の婚約者の屋敷に向かう事だった。


 屋敷は婚約者が行方不明になってからそのままの状態になっていた。屋敷の中は酷い有様だった。自身の義理の両親になるはずの人物や、婚約者の兄弟などがまるで内側から爆発されており顔には恐怖が張り付いていた。それを見てアルガスタは吐いた。


 戦場で死体を見たのはいくらでも有る。人を殺したのも数えきれない程だ。だがこの場にある死体はそれらより酷い物で。恐怖の感情を絞り尽くして残った恐怖を無理やり顔に引きずり出したのが一目見ただけで解る。とても人間の死に方とは思えなかった。


 その死体がある部屋に一枚の手紙があるのに気づく。手紙は辺り一面の飛び散る血の色と異なり綺麗な白色だった。恐らく犯人が殺害後に置いたのだろう。アルガスタは手紙を開け中の文字を読む。


「────アルガスタ。お前の婚約者は預かった。お前が戦場から戻ったら屋敷に直ぐに届けてやる」


 手紙には名前などが書かれておらず、その一文のみとなっていた。アルガスタは部下に婚約者の行方を捜す様に命令をして、自身はその手紙通りに屋敷に戻り待った。


「犯人は一体何の目的でエルザを攫ったんだ!? 身代金目的か!? それなら何故手紙には何も書かれていない」


 アルガスタはいらつきを抑えられず自身の部屋の壁を思いっきり蹴る。壁はそれを受けて蹴られた箇所には穴が開いた。


 部屋のドアを数回叩く音が聞こえる。


「…………入れ」


 するとアルガスタの部下が顔を暗くし慌てて入って来る。


「……どうした! エルザは見つかったのか!?」


 アルガスタは部下に怒鳴る様に聞く。


「…………それが」


 部下はその後の言葉を中々言わない。


「なんだ! 何が有った!?」


 アルガスタは部下に急かす様に聞く。すると部下はおそろおそろ話した。


「…………エルザ様が見つかりました」


 その声を聞きアルガスタは喜ぶ。


「そうか! 見つかったか! 直ぐに行く!!」


 アルガスタは急ぎ部屋から出ようとする。それを見て部下は慌てて止める。


「────エルザ様は死体で発見されました」


 その声を聞きアルガスタは顔にショックを隠さず項垂れたが、直ぐに無理やり表情を戻す。


「…………そうか、遺体を確認する。案内してくれ……」


「……確認はされない方がよろしいと思います。遺体の処理は我々で行って置きますので…………」


 部下が言葉を濁しながら話す。


「…………どうしてだ?」


「遺体の損傷はとても激しく……とても見れたものではありません」


「それでも構わない。屋敷の状況で覚悟は出来ている」


 アルガスタの言葉を聞き、渋々部下は遺体のある場所に案内する。


 案内された場所はアルガスタの屋敷の入口であり、そこには一つのクインの実と手紙が一枚、そして頭一つ分の大きさが有る革袋が置かれていた。


「何処にも遺体などは無いが?」


 アルガスタは部下に尋ねる。部下は小さく口を開け革袋を指差した。


「…………こちらです」


 アルガスタは手を震わせながら革袋の中を見る。


 革袋の中には自分の婚約者のエルザの姿が有った。だが首から下は無く頭部しか無い。その眼はあらぬ方向を向いて居た。その異常な光景と違いその顔はとても綺麗な物で顔には傷一つ付いていない自分の婚約者とアルガスタにはハッキリ理解できた。


 アルガスタは手を震わせ拳を握る。自分の婚約者を殺した相手を決して許さないそう誓った。アルガスタは少しでも犯人の情報を探る為に置かれていた手紙を読む。手紙を読んだアルガスタは驚愕の表情を見せ、部下に一つの指示を出した。


「ラクギリヤはまだこの植民地に居るな?」


「…………はい。いますがそれが何か?」


 部下はアルガスタに尋ねる。


「この手紙をラクギリヤに届けてくれ! 直ぐにだ!」


「ですが、今の貴方を一人にするのは…………」


「いいから行け!! この手紙の内容を確認すれば直ぐに解る!!」


 アルガスタは部下に手紙を渡し、その内容を確認する様に伝えた。手紙の内容を確認した部下は驚きその内容を伝える為にラクギリヤが居る屋敷に急ぐ。


「…………やっと二人きりになれたなエルザ」


 そう言いアルガスタは革袋から婚約者の頭を取り出し抱き抱える。


「お前の仇は必ず取る! 必ずだ!!」


 だがその誓いは叶う事は無かった。何故ならアルガスタの身体がエルザの頭部と共に爆発したからだ。遠くでその光景を見ていた男が通信機に話しかける。


「ライネスさん! 十刀聖騎士アルガスタの死亡を確認しました!!」


「よし、お前は直ぐに戻って来い」


 その短い会話を終えると男は立ち去った。残ったのはアルガスタの破裂した死体のみだった。

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