作戦開始の爆音
バンッ!!その破裂音と共に俺は目を覚ます。
「…………うるさい」
そう言い俺に抱き着いているムツキも目を覚ます。俺はベッドから起き上がると同時に爆発の原因であろう。昨日机の上に置いたライネスに渡されたボールを見る。机には内側から破裂しバラバラになったボールだった物がある。
俺はカーテンを開け窓から外を見る。そこには馬車から俺を見るライネスの姿があった。帝国を攻める準備が出来たという事か。俺は直ぐに着替え昨日フィルナルドに貰ったコートを着る。
「ムツキ、行ってくる」
「……ご主人……いってらっしゃい」
あくびをしながら目を擦りムツキは寝ぼけながら言う。俺はそれを聞き、屋敷を出た。
屋敷を出るとそこにはライネスとアーチェが何やら言い争っていた。俺は何故かそこに居たアーチェに話しかける。
「アーチェお前何でいるんだ?お前はこの作戦と無関係だろ」
「ユヅキ! 貴方の見送りと、この狂人に注意をする為よ!」
笑いながらライネスは俺に言う。
「遅かったじゃあないか? ユヅキ・サヤマ? 時間は押しているんだぜ」
「時間の指定は無かっただろ? 朝食を食べる時間を無いとはな」
まだ日が昇ったばかりで周囲はまだ暗い。
「さっさと乗れ。直ぐに出発するぞ」
「待ちなさいライネス! 貴方今回の作戦は──」
「民間人に犠牲を出すなだろ? 解っているさ。お姫様」
ライネスはアーチェが言葉を最後まで言う前に馬鹿にする口調でその続きを言う。
「……解っているならいいわよ。ユヅキ! コイツが何かやらかしたら私に言うのよ!」
「ああ、解った」
その会話を最後に馬車は進み始めた。馬車はアストージ国を出て、俺達が歩いた森の中に入る。
馬車の中には俺とライネス以外に二人、御者するのが一人の居る。俺以外の人物はライネスの部下の様だ。馬車の中に居る一人が俺に向けて食料を雑に投げ渡す。俺はそれを受け取る。
「ユヅキ・サヤマ。飯は食える時に食って置け。帝国に着いたら忙しくて食べる時間が無いだろうからな」
部下から渡された携帯食料を食べながらライネスは言う。俺は受け取った食料を静かに食べた。
「さて、ユヅキ・サヤマ! 今回の作戦内容を伝えて置こうか」
食事を食べながらライネスは話始める。俺は食べながら黙って聞いた。
「今回の作戦は簡単な物だ! 先ず東の植民地を担当している十刀聖騎士アルガスタ・ホーズリーの殺害を行う。その後異世界転移者を指揮する十刀聖騎士サンク・アーチの殺害を行い、頭を失い孤立した異世界転移者共を一人づつ能力を暴きながら丁寧に殺す物だ。今回は一般人を使えないからな。地味な仕事になるだろうな」
俺は食事を終えるとその作戦に対し反論する。
「十刀聖騎士は強いんだろ? そんなに簡単に行くのか?」
その俺の発言を聞くとライネスの部下とライネスが大きく笑う。
「まあ、普通のヤツには無理だろうな。だが俺になら簡単にできる」
そう言うとライネスはポケットから通信機を取り出し誰かと会話する。
「捕えてある女に問題は無いか? エイブン!」
その声に対し通信機から機械音混じりの声がした。
「ええ! ライネスさん。女は問題無く拘束出来ています。まだこちらの場所は帝国に気づかれてません!」
「解った。お前はそのまま見張りを続けていろ。食料は俺達が着くまでもつだろ?」
「はい! ライネスさん。問題ないです!」
その返事は聞くとライネスは通信を終え、通信機を元の場所に戻す。
「…………アルガスタ・ホーズリーには婚約者が居てな。二人はとても仲の良い間柄の様だった」
ライネスは笑みを崩さず話を続ける。
「その婚約者は東の植民地の壁を出て、近くにある自身の屋敷に家族と共に過ごしていてな。それはさぞ幸せな生活を過ごしているそうだ。それがアルガスタが戦場に出た一週間前に突然姿を消したそうだ。屋敷には彼女の家族の遺体のみで彼女の姿は無かったそうだ。戦場に出たアルガスタに伝わったのはそれから四日後の話だそうだ。アルガスタは酷い奪い方をした植民地の連中にも優しく接する程のお人好しだそうでな。民からの信望も厚い。そんな男が自分の婚約者の行方が解らないのに戦場で人を殺し遊んでいる暇は無いだろうよ。アルガスタは急ぎ婚約者の安否の確認、捜索の為戦場から戻るそうだ」
「ライネス・クリューケント! お前まさか──」
俺はその言葉を聞きライネスに聞く、ライネスの返事は想像通りだった。
「ああ、そうさ! アルガスタの婚約者は俺が今、監禁している。アルガスタを殺す道具に利用する為にな!」
馬車は止まらずに進み続けた。




