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オスティニア戦争(後編)

 俺が黙っているとクリシュは話を続ける。


「他の国が銀髪の髪を持つ者を帝国に差し出す間、我々同盟国は指をくわえて見ているしかなかった。それは我々に力が無かったからだ。我々は他の同盟国がオスティニア国が滅びるのを見ている間も時間はただ進んだ。我々も選択する段階に入ったのだ。同じ同盟国のオスティニア国と共に戦い滅びるか。それともオスティニア人を差し出し、少しばかり滅びる時間を延ばすかだ。我々他の同盟国は後者を選ぶしかなかった」


 クリシュの体調が悪くなっているのが目に見えて解る。


「話はここまでで良い。あまり話したくない内容なんだろ。もう、十分聞けた」


 俺の声を振り切りクリシュは話を続ける。


「…………大丈夫だ。これは君の妹の一族の話だ。君は最後まで知る必要が有る。…………オスティニア国を見捨てた私達に対しオスティニア人の反応は意外な物だった。彼らは老人も子供も関係なく、自ら進んでオスティニア国に向かった。自分たちが死ぬのが解ってだ。それを見て私達同盟国の中にも共に戦う者が出てくる。その中に私の妻も居た。妻は当時この国に数少ない二つ名持ちだった。妻は私にこう言った。「私達が同じ同盟国を見捨てたら今度は誰が私達を守ってくれるの」と私は妻を止める事が出来なかった。私はせめて妻だけでも生かそうと妻の盾にする為にする為に兵を出した。死ぬのが解っていてだ。兵の中には君と同じ年齢の子を居たよ。だが私はそれを気にせず。ただ送り出した。無駄死にになると解っていてね」


 俺は何も言う事が出来なかった。それは俺がこの戦争にこの世界の事を知らないせいだろう。クリシュの話は何処か他人事の様に聞こえた。


「私の行動を他の同盟国は褒めたたえ、自分の国もと兵を出したよ。当然若い兵も居た。私が妻を生かせたいと言う我儘の為に関係無い者がどんどん死んでいったよ。滅びた国もあった。その犠牲も無駄に妻も戦場で無様に死んださ。その犠牲を得ても帝国の十刀聖騎士を一人も殺す事が出来なかったよ。そのままオスティニア国は亡びた。オスティニア国が有った場所は肉の塊しかなかったよ。同盟国も残ったのはこのアストージ国とヤスティナ国だけになった。銀髪の髪を殺し満足したのか死に体の同盟国を滅ぼさずに十刀聖騎士は去っていったよ。この戦争で兵を出さずヤスティナ国は力を温存していた。他の国は裏切り者だと怒ったんだが、ボイスンには私が妻の為に兵を出したのが解っていたんだろうね。残った国を見てボイスンは私を笑い。言ったよ。「これからこの状態でどうするんだ?」と私の国に兵は無く滅びるのは時間の問題だったからね」


 俺はクリシュの長話を聞き答える。


「…………だが滅びなかったんだろ?」


「……ああ、滅びなかった。突然現れた一人の男により帝国の十刀聖騎士の内北東の植民地担当と偶然その場に居た北西の植民地担当の者が殺された。北東の植民地に居た住民全てを犠牲にしてね。その男の名は──ライネス・クリューケントだった。後に「墜国」のライネス・クリューケントと呼ばれる人物だ。圧倒的な力を持つ十刀聖騎士を二人も殺した。ライネスの銀髪を見て帝国は恐怖したよ。あの戦場からとんでもない化け物を目覚めさせたとね。ライネスは当時何処にも所属して居なかった。それを知りボイスンは直ぐに行動したよ。彼を雇う事にした。それをライネスは引き受けた。私は直ぐにライネスの元に向かったよ。彼は命より大事だった私の妻を殺した十刀聖騎士を殺してくれた恩人だからね。私はライネスに尋ねた。同胞を殺した恨みで行動したのか?と彼の答えは違った。笑いながら彼は「いいや。あれは唯のデモンストレーションだ。俺はオスティニア人だからな仕事が無いのさ。だから雇って貰う場所を見つける為に殺したんだ」ライネスの眼はとてもこの世の者とは思えなかったよ。私は後悔した同盟国のほとんどが滅び。兵を失い。妻を犠牲にして得たのは一人のまだ十五にも成らない化け物だったからね。私は何度もボイスンとライネスを止めようとした、だけど無駄だったよ。彼らは帝国を完全に滅ぼすつもりだった。私はその狂気に耐えれず逃げ出したよ。私に残ったのはアーチェだけだった。それから私はアーチェが無事に過ごせる様にする事だけを考え動いた。ボイスンとライネスは見ない様にしてね。これが私が言えるオスティニア戦争の事だ」


 話を聞き終え俺は聞く。


「アンタは戦争で若い兵を見殺しにしたから俺にクラスメイトと殺し合いをして欲しくないと?」


 クリシュは顔色が悪いまま答えた。


「ああ、そうさ。私は君みたいな若い子には人を殺して欲しくないんだ」


 俺は考える。俺とクリシュは似ている。大事な物を失ったという点がだ。だがクリシュにはまだ娘のアーチェが居る。俺にはもう両親も無月も居ない。ただその日その日を流されるまま生きているだけだ。


「…………約束は出来ないな。相手が殺しに来るなら向かえ打たなければいけない」


 俺はクリシュを見た。


「その眼……。そうかい。無理にとは言わない。人を殺したら取り返しが付かない事を覚えて置いて欲しいんだ。私に言えるのはそれだけだ」


 それを最後に俺とクリシュの話は終わった。辺りは日が落ち掛け暗くなり夜に成りかけていた。


 俺は用意されていた馬車に乗り屋敷に戻る事にした。

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