対帝国軍会議 その④
「問題は三十七名もの異世界転移者か……。能力者の脅威は解っている。策は有るのか? ボイスン!」
クリシュがボイスンに尋ねる。
「……ここは何時も通りにライネスに任せるしかないな。クリシュ貴様の所の二つ名どもは国を出て戦わせるつもりは無いのだろう?」
「ボクは御免だね。人殺しなど御免蒙るよ。ボクの仕事は魔導具作成だけだよ。それが条件で同盟国に協力しているんだから」
フィルナルドが嫌そうに拒否する。
「この無能力の老いぼれが能力者相手にできる事など無いと思いますが?」
続けてエルセリアが謙虚に言う。
「そこのムツキとか言ったな。お前はどうなんだ?」
ボイスンは俺に尋ねる。俺はそれに答えた。
「俺はクリシュの私兵だ。クリシュが俺に命令するならば指示には従う」
俺の発言を聞きボイスンがクリシュに尋ねる。
「そう言っているが。コイツを出すのかクリシュ?」
クリシュは考え込み話す。
「まだ詳しい作戦の内容を聞いていないな。無意味な作戦に私は自分の兵を出すつもりは無い。ライネス? 作戦の内容はどうなんだ?」
ライネスは笑いながら作戦の内容を話した。
「何時も通りの作戦になるな。俺の能力「狂気爆弾」による。民衆を使った連続爆撃により東の植民地を墜とすつもりだ。北東の時と同じくな」
その発言を聞きアーチェが怒りながら言う。
「ライネス! 敵相手とは言え同盟国に居る以上は勝ち方と言う物を選ぶ必要があるのよ! 北東の時は貴方が同盟国に所属して居なかったから、まだ許されていたけど、同盟国に所属する以上はやり方は選んでもらいます!! 教会としてはこの作戦には賛同出来ません!!」
「使えない教会の連中よりも、優秀に働く俺の作戦が採用されるべきだよな。ボイネス! 「雷鳴」は未だに戦場を片付けられていないし、「再生」の二つ名を持つアーチェ! お前は俺の「狂気爆弾」で傷ついた帝国の民を治すぐらいしかしていない。司祭のヤツもこの戦争には積極的に動くつもりも無さそうだしな。教会陣営はやる気が無いんじゃないか? そもそも同盟国が滅びようと教会のヤツらは帝国の教会と合流すればいいだけだからな。楽な物だよな。先が有る連中は呑気で! こっちは先が無く手段を選んで居られる状況じゃあ無いんだぜ」
ライネスはアーチェを教会を馬鹿にしながら言う。
「教会の皆はこの同盟国の出身の者達ばかりよ。故郷の同盟国を見捨て戦わないと言う事は無いわ!! それに貴方は合えて残酷な手段を使い帝国の民達を楽しんで殺しているわ! それは貴方がオスティニアの数少ない生き残りだからじゃないの!? 貴方は帝国に同胞や両親を殺されてその復讐で帝国の殺さなくていい民を殺しているんだわ!!」
アーチェはライネスに言い放つ。それを受けてライネスが笑いながら話す。
「俺が同胞や両親を帝国に殺されたからその復讐で人を殺している? フハハハハハ! こいつは傑作だな!! アーチェ生真面目なお前にしては冗談が上手いじゃあないか」
そう言うとライネスは笑いを止め目つきが変わる。
「──俺が人を殺すのは、それが俺の趣味だからだ。それ以外に理由は無い。どんな人間も俺の能力の前には、最期には泣いたり、叫びながら俺の事を考えて死んでいく俺はその瞬間が好きだから人を殺しているんだ。それ以外の理由は無い」
そう言うとライネスは目つきを元に戻した。
ライネスの今見せた目つきに俺は覚えがあった。それは俺から無月と両親を奪った殺人鬼が見せた目だった。人を人だと思っていなく、ただ他者は全て自分の欲望を満たす為の道具だと思っている。そんなヤツのする眼だった。
「ライネス俺はお前の趣味の話を聞くつもりは無い。教会の都合も有る。帝国の無関係な民を殺さない別の作戦は無いのか?」
話を元に戻す為にボイスンが話す。
「無関係な民を殺さずにですか? それならば敵の能力者の能力を知っているアドバンテージを生かし、異世界転移者を一人一人誘い出し。殺していくのが一番現実的じゃあないですかねぇ。こっちには敵能力者の能力を知るカズマが居るそれを生かした作戦という事だ」
「それはそこに居る彼に自身の同級生が殺されていくのを見せつける事になる。彼はまだ若い別の作戦は無いのか?」
クリシュが何時もより顔を悪くしながら話す。それを笑いながらライネスは答える。
「さあ? 俺の頭ではこれ以上の作戦は思いつかないですね。クリシュ王。帝国の民をいくらでも使っていいならいくらでも策は有りますけど」
その発言を聞きクリシュは苦虫を噛んだような顔になる。
「作戦は決まったようだな。だがこれ以上我が陣営にのみ働かせるのは勘弁して貰おうか。クリシュ? 我々は同盟なのだから協力してもらわないとな……」
「……ああ、何時も通り作戦の行動に掛かる費用と食料はこちらが出そう」
クリシュは顔色を悪くしながら言う。それに対しボイスンは答えた。
「いや今回は金と食料は要らない。変わりに人材を出して貰おう」
「人材? だが能力者に対抗できる兵などこちらには居ないぞ?」
「いや、一般兵など邪魔になるだけだ。そこの彼を借りたい。構わないだろ」
そう言いボイスンは俺の事を見た。




