対帝国軍会議 その②
俺はフィルナルドの手招きでフィルナルドの隣に座る。座ると同時に俺は周囲を見る。
「さて見知らぬ顔も増えたから、先に自己紹介からしようか。私の名前はクリシュ・エルドリティスだ。一応このアストージ国の王をしている」
クリシュがそう言うと続けてエルセリアが自分の名前を言う。
「私はエルセリア・サクネスです。「剣鬼」の二つ名を持っています。以後お見知りおき下さい」
その紹介を終えると嫌々フィルナルドが口を開ける。
「ボクの名前はフィルナルド・エセンティス・ユースティラーナだ。でもキミ達能力者なんかがボクの名前を覚える必要は無いよ」
順番的に次は俺の番か俺は自分の名前を言った。
「……ユヅキ・サヤマだ」
俺の自己紹介が終わると気品のある男が声を出す。
「それがお前がその場しのぎで見つけた二つ名候補か? クリシュ! メッキが剝がれないと良いがな。俺はヤスティナ国の王のボイスン・バーティアーナだ」
続けてヤスティナ国の者達が名乗り出す。
「俺の名はまあここに居る全員が知っているだろうな。だがあえて言おう。俺は「墜国」のライネス・クリューケントだ。ここに居る以上はお前も俺達の仲間だユヅキ・サヤマ! そんなに怯えなくても良い、この場で殺しはしないからな」
ライネスは自身の両手を高々に上げて自分の名を言う。ライネスの腕に自身で爆破した傷が無い。何らかの手段を使い直したのか? 傷は深く骨まで見えていたが……。
俺は自分が無意識にまた木刀を握っているのに気づく、俺はすぐさま木刀から手を離した。
「────俺の名前は神道一真だ。ここじゃない別の世界から転移されて来た」
ライネスと共に行動していた一真も当然いた。一真はこちらに目を合わせずに淡々と自分の出身地のことまで言う。その一真の発言を聞き周囲にざわめきが起こる。
「ボイスン! お前の見つけた二つ名候補は帝国により異世界から転移されたという者なのか! まだこんなに若い少年を同じく呼ばれた転移者と殺し合わせる気か!?」
「その話は後でしようじゃないかクリシュ! 自己紹介がまだだ。私の二つ名候補はまだ居るぞ」
「くっ」
クリシュは苦虫を噛み潰したような顔をする。俺はボイスンが紹介するヤスティナ国最後の二つ名候補とやらを見る。
「…………………………」
仮面を着けて黒いコートの様な物を着ている。その人物は手袋まで身に着け全く素肌を見せない。そのため性別などの情報は一切解らない。
「何とか言ったらどうだい? ボクは時間を潰しに来たわけじゃない。忙しいんだよ」
フィルナルドがこの場に居るのも嫌そうにして俺の手を握る。俺はその手を受け入れる。
「これはすみません。「魔女」殿ですが、彼は喋る事が出来ないのです。どうか許してあげて下さい」
「じゃあ自分の名前を言えないじゃないか? まあコイツも能力者なんだろ? ならボクが名前を覚える必要は無いがね」
そのフィルナルドの発言を聞きボイスンは笑いながら答える。
「ええこれは私の精鋭を一瞬で倒す事のできる能力者! 期待の二つ名候補です。名前は「ノー・フェイス」とでも呼んであげてください」
仮面の人物は物音ひとつ立てず、その場に座っている。
「そんな事はどうでもいいんだよ。さっさと会議を進めようじゃないか。最後は教会だろ。何だよ! アーチェ一人しかいないじゃないか?」
教会陣営の場所を見るそこにはアーチェが一人でポツンと寂しそうに立っていた。
「どうした「雷鳴」は居ないのか? まだ戦場を片付けれてないのか。やっぱり教会の連中などに頼らずに俺を出した方が良かったんじゃあないか?」
ライネスが笑いながらアーチェに喧嘩を売る。だがアーチェはそれを無視し自己紹介をする。
「私の名前はアーチェ・エルドリティスです。二つ名は「再生」です。司祭様と「雷鳴」は予定があり来られない為、私が今回の代表です。よろしくお願いします」
俺と会った時と変わりしおらしくアーチェは自己紹介をした。
俺は再び周囲を軽く見る。この場に居るのは九人。
アストージ国陣営からはクリシュ、エルセリア、フィルナルドそして俺だ。ヤスティナ国陣営はボイスン、ライネス、一真、ノー・フェイス。教会からアーチェ一人で会議は開始される。
「これで今日集まった全員だな。さて早速会議の方を始めようか。議題は──」
「俺が手に入れた情報の一つ、帝国による異世界転移者についての対策会議だ!」
クリシュが言い終わる前にライネスは口を出す。その発言と共に会議は開始された。




