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歓迎会

「エル! 今日の料理は一段と美味しいじゃないか! 腕を上げたね!」


「いえ、それはムツキ殿が作られたものですよ」


「ムツキが? それは意外だね! ボクは君をボクのユヅキに纏わり着くお邪魔虫だと思ってたよ」


 今俺達はフィルナルドの提案で開催された俺達の歓迎会を受けている。机には色々な料理が置かれている。

 これらはエルセリアとムツキが作った物だ。それを俺は有り難く頂く。


「…………どう……ご主人?」


「ああ、美味しいよムツキ」


 俺がそう言うとムツキが顔には出さないが喜んでいるのが解る。


「むう。ユヅキこれとかどうかな? 美味しいと思うよ?」


 そう言いフィルナルドが箸で料理の一つを差し出してくる。


「……?」


 意味が解らないフィルナルドは突然何をしだしたんだ。


「解らないかい? あ~んだよ! やったこと無い?」


「……無いな。この国ではそれが食事中の礼儀なのか?」


 一般的に相手に食べさせるのは甘々な恋人や子供に親が食べさせたりだ。この国では相手に箸で食べさせるのが礼儀なのだろうか? 


 相手に料理を食べさせる、そしてそれを受け入れる。それは相手を信頼して無いと出来ない行為だ。俺は食事中はそのような事をするのはあまり好きでは無いが。この国の礼儀ならば受け入れるしかない。郷に入っては郷に従えだ。


「……そうだよ! これがこの国の礼儀さ! さあ! 遠慮せずに食べたまえ」


俺は迫りくる食事を口を開け受け入れる。うん、美味しい。


「フィルナルド! 貴方はすぐバレる嘘を! すみませんユヅキ殿。フィルナルドに付き合わせてしまって」


「エル! これはボクにとっての礼儀なんだよ! 邪魔しないでよね!」


「貴方、私と何年一緒だと思っているんです! 一度もそんなことしたことないじゃないですか!!」


「今決まったんだよ! エル、さあ続きだユヅキ! あ~んだ」


 騙された。これはこの国の礼儀を一度調べたほうがいいな。

 俺は二回目のあ~んを素直に受け入れる。これがフィルナルドの礼儀な以上受け入れないと面倒だ。フィルナルドは機嫌が良い時は五月蠅いだけで済むが。機嫌が悪いと面倒になる。


 俺は面倒なのは嫌いだ。その為そのあ~んを俺は仕方が無く受け入れた。すると横に座っていたムツキも小さく俺に向け食事を箸に乗せ俺に運ぶ。


「……お前もか、ムツキ……」


「…………ご主人……受け入れてるから……このほうが……良さそうと……思った」


 ムツキは俺をつぶらな瞳で見つめてくる。フィルナルドのあ~んを受け入れたためムツキのを断りづらい。断ってもムツキは受け入れるが悲しむだろう。


 迂闊な俺が生んだ結果だ。俺は仕方なくムツキのあ~んを受け入れる。するとムツキは嬉しそうにほほ笑んだ。


「ムツキ! ずるいぞ! ユヅキにご飯を上げるのはボクの担当だよ!」


「……ご主人の……世話するのは……私の役目」


 二人の目はバチバチとしている、それと同じく俺の口にご飯が詰められていく。嗚呼、自分で食べたい。

 ムツキとフィルナルドの争いは止まらない。エルセリアは止めずに見守っている。止めてくれてもいいのに。

 俺は次々襲い来る料理の攻撃により、異世界で俺の平穏な食事が来ない事を確信した。






~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






 食事が終わり俺は風呂に入る事にした。途中フィルナルドが一緒に入ると言ったが。流石にエルセリアが止めてくれた。


 その俺の後をムツキが着いてくる。


「ムツキ、俺は風呂に入ってくる」


「……私も……入る」


 ムツキは無表情のまま答える。


「俺達は性別が違う別々に入ろう」


 俺は当然ムツキと一緒に入るつもりは無い。ムツキと俺は兄妹のようにしているが。実際は他人だ。風呂は別に入る。

 まあ家族でも思春期になれば自然と入らなくなるし不思議な事ではない。無月が八歳の時までは一緒に入ってたなとそんな事を考えているとムツキが告げる。


「……私……お風呂……入ったこと無い」


 だったら他の人と一緒に入ればいいじゃないか、そんな事を言って、ふと考える。

この屋敷に今四人しかいない一人はエルセリアあの人とムツキは孫とお爺ちゃん並みに年が離れている。あの人なら大丈夫だろ。いや無理だ、俺はムツキと一緒に入らないのを性別のせいにした。そのためムツキは納得しないだろう。


 次に考えたのはフィルナルドだあの人は性別が解らない。それにフィルナルドは理由を付けて俺と一緒に入って来る気がする。そしたらとても面倒だ。


 すると残るのは俺だけか……。


「……解った。一緒に入ろう。お風呂の入り方が解れば次から一人で入るんだぞ」


「…………わかった……ご主人」


「聞いてなかったがムツキお前何歳だ?」


「……今年で……十歳」


 消去法で仕方なくムツキと風呂に入る事にした。まあ十歳なら問題ないだろう。無月が死んだのも十歳だったけかな。


 無月の事を考えると気持ちが沈む。俺は何時も通り考えない様にして風呂場まで向かった。

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