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不審な死体(前編)

 ラクギリヤの部屋に部下が報告に入る。ラクギリヤは椅子に座ったままそれを聞く。


「ラクギリヤ様! 十刀聖騎士ボーエル様が来られました!」


「解った。直ぐにこちらに来るように伝えてくれ」


「はい」


 そう伝えると部下がラクギリヤの部屋から出る。それからしばらくして一人の男と共に再び現れた。


「ボーエル様! こちらです」


 部下はボーエルと呼ばれた男を案内すると部屋を出る。


「……久しぶりだな。総司令様」


「ボーエル。そんな他人行儀では無く、昔の様にラクギリヤと呼び捨てにしてもいいぞ。私と君は訓練兵時代から同期ではないか」


 その言葉を聞きボーエルは頭を掻きながら答える


「昔とは違うんだよ。総司令様。俺もあんたも昔の様に馬鹿をやってていい子供じゃあなく、大人になっちまった……。身分に相応しい立ち振る舞いをしなくちゃあいけない年だ。部下の手前、気楽にとはいかねぇな」


「相変わらず君は昔と変わらないな」


「そんな事よりも総司令様? どうして俺なんかをお呼びに? サンクの転移者召喚は止められなかったのでしょう? そもそも俺がここに呼ばれたのはサンクの爺さんの異世界転移者の召喚阻止、それを止める為の数合わせでしかないんですし、召喚された以上もう俺の居る意味ないでしょう」


 ラクギリヤが表情を変えず答える。


「…………それがそうも行かなくなった。サンクの行方が未だに解らない」


「サンクの爺さんは今、北にある魔王城攻略の為に帝国の北にある植民地を担当してんだろ? 東のここでは無く北に帰ったんじゃあねぇか?」


 その疑問にラクギリヤは口を重くして答える。


「それが異世界人に聞いた所、サンクは屋敷が燃えた後から一度も姿を見せていない。この街から出たという情報も全く出て来なかった。直ぐに北の植民地にも手紙を送ったが、当然戻って無いという事だ」


「つまり行方不明と言う事か? ならここを担当しているアルガスタに任せちまえば良いだろう。あんたは総司令だ。いつまでも中央を開けとくわけには行かないのだろう?」


「そうしたいのは山々だがそうも行かない。ここには三十七名もの能力者が居るからな、彼らはこの世界の事をよく知らない。勝手に暴れられでもしたら困る。それに今アルガスタは東の戦場に居る。帰って来るのは後二日は掛かる」


 少し考え込んだ後、ボーエルが尋ねる。


「……だから東南で暇してそうな俺を呼んだのか? 東南は十刀聖騎士の一番下っ端の俺にも担当できるぐらいだが別に暇ってわけでは無いぜ」


「それは解っている。だが今サンクの不在で北側の守りは手薄だ、それに転移者たちの存在は手に余る。能力者は一人いれば戦場を崩壊できるほどの力が有る。それは君も知っているだろ? だから君には能力者を連れてサンクが見つかるまでの間、魔王討伐をして欲しい!」


「…………確かにな能力者は強力だ。それは俺達十刀聖騎士が一番良く解っている。俺達が植民地を支配できているのは能力による物が大きいからな。だけど俺が変わりにか? 俺は一番下っ端だぞ。他に俺よりマシな奴がいるだろう」


 ラクギリヤは立ち上がり窓から外を見る。そこには綺麗な青空が広がっている。


「…………私達帝国は東西南北全ての国に戦争を仕掛けている。それは世界征服の為にだ。偉大なる帝王の名の元に全ての民は頭を下げなくてはいけない。それは解ってるいるな? ボーエス!」


「……訓練兵の時に耳にタコができるほど聞いた。覚えてるに決まっているだろ。東南程度の忙しさでは楽できないほど帝国はヤバい状況って事か?」


 ラクギリヤは口を重くする。


「…………それ以上は私の口では言えないな」


 それを聞きボーエルは答える。


「そうかい、解った。見つかるまでの間はサンクの爺さんの代わりはしてやるさ。能力者のガキ共の相手もしといてやる。お前は早く中央に戻る事だな。それで俺が北を担当する間東南はどうするんだ?」


「東南は東と合わせてアルガスタに任せる事にする」


「アルガスタのあいつも大変だな、植民地を二つも担当するとはな。東は今戦争中なんだろう? あいつ彼女さんとしばらく結婚できそうに無いな」


 ボーエルは大きく笑いながら言う。


「……大変なのは君もだ。ボーエル。サンクは「墜国」に殺された二人の分も働いていた。君の担当植民地は北西と北それに北東の合計三か所だ。魔王以外の脅威はあまり無いが、植民地の管理は任せる事になる」


「おいおい! 嘘だろ! 俺は下っ端だぞ! そこまで出来るか!!」


 慌てながらボーエルは言う。ラクギリヤはそれを笑いながら答える。


「悪いなボーエル。いつまでも下っ端で甘えている訳には行かないという訳だ」


「仕方ねぇか……。しばらくは忙しくなるな……」


「すまないが、頼むぞ。ボーエル」


 二人の会話がひと段落つくと突然ドアが乱暴に開く、ドアを開けたのはラクギリヤの部下だった。

 部下は慌ただしく呂律が回らなく話す。


「何があった落ち着いて話てくれて大丈夫だ」


 部下は呼吸を落ち着かせ答える。


「──サンク様が発見されました!!」


 それを聞きボーエルが嬉しそうに答える。


「そいつは良かったな。これで俺は東南で楽ができる」


「いえ、それが死体で発見されたそうです!」


 それを聞き、ラクギリヤは少し驚くが表情を直ぐに戻す。


「……それは屋敷の火事に巻き込まれ亡くなったのか?」


「屋敷が燃えたって言ってたもんな。十刀聖騎士って言っても人間だ。火事で死ぬのなら仕方が無いな」


 ボーエルも驚き反応する。


「……それが死因は火事によるものでは無く。全身に切り傷が有り身体がバラバラの状態で屋敷の地下から発見されたそうです!!」


その報告を聞き終えると周囲に大きい沈黙が流れた。

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