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初めての魔法

「こっちだよ、ユヅキ!」


 フィルナルドが手を振り後を着いてくるように言う。俺はそれに従い後を着いていく。屋敷の中に入り階段を上り二階に着く。そのまま廊下を抜け、一つの部屋に招待される。


「ここはボクの実験室さ、さあユヅキ開いてる場所に掛けてくれたまえ!」


 俺は部屋の中を見渡す部屋は散らかっていて、座る所が無い。それに気づくとフィルナルドは物を適当に一か所に集め椅子を引っ張りだし俺達の座る場所を作った。


「おっと! すまないね。ここは人を入れる事を考えてなくてね。入るのは君が初めてさ」


「どうして俺をこの部屋に?」


 フィルナルドに尋ねる。無理やりここまで連れて来られた様なものだ。何が目的なのだろう?


「ユヅキ? 君は魔法を知っているかな?」


「名前だけなら知っています」


「そうかい、魔法は使用者が少ないからね。知らないのも無理が無い。たまに冒険者が使用していたり、軍隊に少数配属されている程度の知名度だからね」


「そうですか」


 その話を聞き流すように答える。


「そんな珍しい魔法を! 何と! 君に見せてあげようではないか!」


フィルナルドが自身満々に言い放つ。魔法を見せる? そのために俺をここまで呼んだのか? フィルナルドが呪文を呟き始めた。俺はそれをただ眺めた。


「…………我、魔導の道を極めし者。我フィルナルド・エセンティス・ユースティラーナの元に火の精霊よ! 我に火の力を分け与えたまえ! ファイアー!!」


 フィルナルドの詠唱と共に周りに光輝く魔法陣が現れる。詠唱が終わると共に魔法陣は消え一つの大きな炎が部屋の中に現れる。


「ふふふ、どうだい? 何も無い所から自分の魔力を使い物質などを創る! これが魔法だよ! 凄いだろ?」


「…………凄いですね」


「なんだい。あまり驚いてないじゃないか……」


「能力者に何も無い所から風を出すのが居て、それを一度見ているので、あまり衝撃が無いです」


 帝国に居た時に風を操る能力を持つ百合の能力を見たからな、この世界では何が起きても不思議ではない。そのため俺は特に驚きとかはなかった。俺が能力者と言ったのを聞きフィルナルドが頬を膨らませ怒る。


「むぅ、能力者かい、奴らはボクの邪魔をするのが余程好きなようだね! 能力者なんて大嫌いだ!」


 どうやら能力者が嫌いならしい俺が能力者だと気づかれたらめんどくさそうだ。またフィルナルドの地雷が増えた。


「それならば、これはどうだい? ユヅキ左手を出してくれたまえ」


 俺はその指示を素直に聞き、左手を差し出す。するとフィルナルドが俺の左手の薬指に一つの指輪をはめた。


「うん、ぴったしだね! 似合ってるよ! ユヅキ」


「…………この指輪は?」


 はめられた指輪についてフィルナルドに尋ねる。


「──その指輪はなんと……」


「……なんと?」


 フィルナルドは勿体ぶる。この人は喜怒哀楽が激しい人だな。


「ふふふ! なんと付けているだけで魔法を唱えられる! 世界に二つしかないボクが作った。この、ボクが作り上げた最高傑作だよ!!」


 自身満々に胸を張るフィルナルド。ここは少し反応してあげよう。その方がフィルナルドの機嫌を取れそうだ。


「それは俺にも魔法を使えると言う事ですか?」


「ああ! 勿論、そもそも魔法とはどんな人でも使える物なのさ。だけど人間の身体では魔法の練習などをしなくては、上手く魔法を発動できない。それを解決する為にボクはその指輪を作ったのさ! その指輪は魔導陣の代わりや詠唱の代わりを引き受け魔法を使った事の無い、人間でも簡単に魔法を唱えられるのだ!!」


 俺は指輪を見る。この小さな指輪にそのような力があるのか。


「試しに一発撃ってみよう! 君は魔導陣を描けないだろうし、その指輪には魔導陣の代わりをして貰おう! さあ詠唱してみて!」


「詠唱を知らないのですが……」


「あっ、そっか。詠唱はね。適当で良いよ! こう火をだすぞーとイメージして、適当に詠唱するんだ! さあやってみて」


 俺は少し考え実際にやってみる事にした。呪文の内容はさっきフィルナルドが言っていた内容を真似する。


「…………ユヅキ・サヤマの元に火の精霊よ。火の力を分け与えろ。ファイアー」


 部屋にもう一つ炎が現れる。その炎はフィルナルドに比べてかなり小さい。これが、魔法か……。


「やったね! どうだい? 自分で始めて魔法を出したけど、感想は?」


「不思議な気分だ。身体から何かが抜けた様に感じましたが。これが魔力ですか?」


「そうだよ。それが魔力だ! これで君もボクと同じ魔法使いだね! お揃いだよ。その指輪はボクからのプレゼントだよ! ボクだと思って大切にしてね」


 まあ貰える物は有り難く受け取るか。俺はフィルナルドに礼をする。


「ありがとうございます。大切に使います」


「うん、うん! 魔法についてはボクが直々に教えるよ! 今は初級魔法しか使えないけど、いずれは中級魔法を使えるようにしようね! 大丈夫! ボクに任せれば簡単に使えるようになるさ!」


 この世界では何が起こるか解らない。生き残る為には俺はどんな手も使う。有り難く教えて貰おう。


「その時はお願いします。所で指輪は二つあるんでしたね。もう一つは何処に?」


「それなら、ここにあるよ」


 そう言い、フィルナルドは右手の人差し指に有る指輪を見せたと思ったら抜き取り、左手の薬指にはめ直す。

 この指輪はめる場所どこでもいいのか……。


「……どうして左手にはめ直したんですか?」


 俺はフィルナルドに問い質すように聞く。フィルナルドはにんまりと笑顔を浮かべ答える。


「えへへ、それは勿論! 君とこれから仲良くするためさ! これでお揃いだね!」


 フィルナルドはとても上機嫌だ。指輪を別の場所にはめようと一瞬考えたが、すぐ考えを改めた。指輪の位置を変えたらこの人しつこく元に戻す様に言ってきそうだ。面倒事は避けるそれが俺の生き方だ。


「そうそう! ユヅキ、君敬語慣れて無いんだね。ボクと君は親しい仲だし、そんな丁寧にしなくても良いよ! それとフィルって呼んでね」


 バレバレだったか、だが有り難い。慣れない敬語を使うなんて面倒なだけだったしな。


「わかった。フィルナルド。これから、よろしく頼む」


「フィルでいいのにー」


フィルナルドは少しむくれていた。

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