混乱
俺達が同盟国に向けて森を歩く事三日目、一つの限界が来る。それは、
ぐぅ~ムツキの腹から可愛らしく音が鳴る、いや鳴り続けている。当然俺の腹も鳴っている。
当然だ。俺達はこの三日間何も食べていない。
「ムツキお腹が減ってるんだろう?」
「……大丈夫……減ってない」
ぐぅ~再びムツキの腹から声がする。ムツキは強がっているがもう限界か。
今俺達は森の少し奥に入った所にあった小さな川に居る。
「覚悟を決める時が来たか」
俺の手には大量の赤色で所々に白い丸い点がある柄のキノコが有る。
「……ご主人……わざわざ……キノコじゃなくても……木の実とかを探せば……」
「ムツキ俺達は地図も無しにここまで来た。木の実を探すために森を進めば間違い無く道に迷うだろう。それにもし毒が有ったとしても俺の「調節」で多少は少なくできる。近くに水場も有る。毒があっても何とでもなるはずだ」
俺は自身の「調節」で作った焚火を使い枝に刺したキノコを焼く。
「それに生より焼いて食べれば毒も多少は何とかなるだろう……」
こんがり焼けたキノコをムツキに手渡す「調節」で毒は減らせているはずだ。俺は自身の手にもキノコを持つ。
「ムツキ! 何も言わずにただ俺にお前の全てを預けてくれないか?」
ムツキは覚悟を決め答える。
「…………私の……答えは……こうです……はい、ご主人様!」
俺達はこんがりと焼けたキノコを口に入れ食べた。
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「…………ご主人……これ……美味しい」
「ああ問題無く食べられるなムツキ」
キノコは問題無く食べられた。でも頭が少しフラフラする。意識がボーっとする。
しまった。気づいた時には既に手遅れだった。目の前のムツキも顔を赤くしてボーっとしている。嗚呼、俺の意識が遠のく。もう限界だ俺は意識を手放した。
「無月……お前は本当に可愛いな」
俺はそう言い無月の頭を撫でる。ムツキは少し恥ずかしがりながら照れる。
「……ご主人……恥ずかしい」
口ではそう言うがムツキは一切抵抗しない。
「なあ無月。俺の事昔みたいにお兄ちゃんって言ってくれないか?」
「……昔? ……うん……わかった……お兄ちゃん」
「ああ、ほんと可愛いな無月は、ほんの少し前までは少し反抗期に入っていたのに今はもう昔見たいにただ可愛く……ああ無月」
俺は無月の柔らかいほっぺたを伸び縮みして遊ぶ。
「……お兄ひゃん……くしゅぐたい」
無月は抵抗せずただ俺を受け入れる。昔を思い出す俺と無月はとても仲の良い兄妹だった、それは無月が反抗期に入っても変わらずに仲が良く。反抗期が終わっても……いや、無月は反抗期が終わるに……。
一瞬無月の無残な死体が目に浮かぶ。俺はすぐそれを払いのける。
無月なら今俺の目の前に居るアレは全て悪い夢だった。目の前に居る無月を見る。嗚呼無月は目の前に居る。これが現実だ……。
俺はただただ無月の頭を撫でる。
「……お兄ちゃん……そんなに……撫でたら……痛いよ……お兄ちゃん……泣いてるの?」
俺は自分の目から涙が溢れていたのに気づく。
「ほんとだ。こんなにも嬉しいのに何でだろうな?」
「……変な……お兄ちゃん」
「おっ言ったな。無月。それよりも食事の途中だったな。続きを食べよう」
そう言い俺は焼けたキノコを無月の口元に運ぶ。ムツキはそれを口に入れ食べる。
「……無月。お前いつもより静かに食べるな?」
一つの疑問が俺の頭の隅に残る。無月はいつも食事中は騒がしいそれをいつも俺は注意している。それがこの無月はやけに静かに食事を取る。
「……お兄ちゃんは……騒がしく食べる方が……好き?」
「いや、いつも言っているが俺は静かに食事を取る方が好きだ。お前もやっと静かに食事を楽しむ事を覚えたんだな」
「……? ……うん」
俺は無月にご褒美とばかりに無月の頭を撫でる。ムツキはそれを嬉しそうに受け入れる。嗚呼、可愛い無月。俺の最高の妹無月。
その場にその場に居る無月をただただ俺は可愛がる。ムツキはそれを全て受け入れてくれる。目から涙が溢れてくるこんなにも嬉しいのに何故か涙は止まらない。
それを見てムツキは俺に膝枕をしてくる。俺はそれを素直に受け入れた。ムツキは俺の頭を優しく撫でてくる。
俺はそれが嬉しかったんだろうただ涙を流した。ただただ涙を流した。




