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愚者の糸 その③

 ライネスが投げる散弾を異常者は自身の能力で出した黒色を壁に変える事で防ぐ。


「どうした。また槍を使って攻撃してこないのか? それとも攻撃と防御を同時に行う事は出来ないのか?」


 ライネスは不敵に笑いながら次の散弾を放つ。異常者は黒い塊を出し壁に変えそれを防ぐ。

壁はすぐさま爆破し、次の壁を出すための黒い塊が先ほどよりもゆっくりと現れた。


「もう限界か! 早かったな! 先ずは一人だ!」


ライネスは笑みを増し次の弾を打ち出す。


「確かに、今の「変幻自在(イームタービレ)な色(・クローリー)」の一色では、ここが限界のようだな。一度破壊されれば再生産のための精神力の消耗は相当なものだと解った。そして精神力をある程度消耗すると、能力を出すのは精神力を使うのではなく。この異世界にて転移された事により得た別の力から使用されるのも理解した。今回の初戦闘による実験はこれで十分だな! まあ初戦闘にしては得る物が多かったな。ここら辺が引き際か。感謝しよう爆発の異能力者よ!!」


 異常者は散弾を黒い壁で防ぐ、壁はすぐさま爆破される。すぐさま異常者は黒い塊を出し自分の背に集める。集まった黒い塊は黒い羽に変わり異常者はその場から飛び立ち。戦闘を止め逃亡した。


「ちっ! 逃がしたか……」


ライネスは手に持った石を投げるも、異常者には届かず途中で爆破する。


「……カズマそっちはまだ決着が付かないのか? 早く追って屋敷に居る転移者共を皆殺しにするぞ! 他の転移者の能力はちゃんと知っているんだろうな?」


「待て! すぐ終わらせる!!」


 一真が糸を網の様にし、こちらに被せる。


「糸で巻いて拘束しても解かれるのならこれならばどうだ!!」


 糸で作られた網が俺にかかる。だが肌に触れているのならば問題無く能力を使用し糸を断ち切り安くすることはできる。俺はすぐさま糸の強度を弱くし腕で千切ろうとする。

だが切れたのは一部のみで網としてはまだ機能していた。


 この網は複数の糸で編まれていてそれぞれが別の糸となって出来ている網という事か。俺の肌に触れている糸は簡単に切れるが俺に直接触れていない糸を切る事はできない。


「これで身動きは出来まい。このまま有月、お前を門の外に出す!」


一真が追加の網を出し俺に絡み付ける。


「…………ご主人!」


心配そうにするムツキの声が聞こえる。


「問題ない。ムツキ俺はお前と一緒にここから出て、同盟国まで行く」


「行くのはお前一人だ! 有月!!」


俺は網の中から一本の糸を掴み能力を使う。対象は糸では無く糸の先に居る一真に対してだ。


能力を使い一真の出す糸全てを無力化させる。俺に絡みつく網は音も無く崩れる。


「馬鹿な! 糸は全てお前に触れずバラバラにして作った網だぞ!!」


「お前が教えてくれたんだ。俺の能力は間接的に触れた物でも発動するって……」


俺は自身の足の速度を能力を使って上昇させて、一真に接近する。


「……なっ……早っ…………」


 続けて木刀を握る手の力を強く上昇させる。更に足の踏み込みの力も上昇させ、木刀を振るう力を上げる。振るわれた木刀は一真に直撃し、一真はその衝撃で宙を飛ぶ。

そのまま一真は近くにあった家の壁にぶつかり血を吐き倒れる。

俺はそれを確認すると、すぐさまムツキの元に向かう。


「ムツキ急いで、ここから離れるぞ」


「…………うん……ご主人」


ムツキの手を取り俺達は門を使いその場から離れようとする。だが門はライネスによって塞がれていた。


「……ライネスそいつに手を出すな……。約束と……違うぞ」


一真が口から血を出しながらライネスに話す。


「カズマ俺とお前の約束はお前が異世界転移者の能力を教えると言う約束で成り立っている。俺はまだお前に転移者の能力を一人も教えてもらっていないな」


「……屋敷に着けば……能力者の情報は……いくらでも教える」


息を乱しながら一真は話す。


「その状態で屋敷まで着いてくるつもりか? 状況が変わった。作戦は中止だ! お前の言った火の能力を使わず、能力を使うお前を倒したコイツは脅威になり得る。今ここで殺す!!」


ライネスは笑いながら俺に殺意を向ける。


「ムツキ、鞄をしっかり持って離すな。そして俺のすぐそばを離れるなよ。隙を見て門を抜ける」


「…………わかった……ご主人」


ライネスが手に持つ石を投げようとする中

俺の本日三度目となる戦闘が始まろうとしていた。

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