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始めての出会い

 俺は今日一日出来事を振り返り終え、少し考え込み一つの決断をする。

一真のやつ困ったら同盟国に行けっていってたな。俺は同盟国までの道を確認するために鞄から地図を出そうとする。鞄が無い。部屋に置いてきたか? 取りに戻るか? いやそれは危険だな。今屋敷に戻ると間違い無く捕まる。捕まってしまえば放火魔扱いの俺は何をされるか分からない。途方に暮れてると、声が聞こえる。


「おい聞こえるか?」


 その声は一真のものだった。周囲を見渡すがそこには一真どころか人は誰も居ない。俺は自分の耳に違和感があり、耳を触る。耳から糸が垂れていた、この糸を使い糸電話の要領で屋敷から話しているのだろう。俺の耳から垂れている糸は二つに分かれ俺の口の所に置かれた、これで返事をしろと言うことだろう。


「……ああ、聞こえてる」


俺がそう答えると一真が糸から話しかけてくる。


「この距離でも問題無く声は届くみたいだな。有月お前、鞄屋敷に置きっぱなしだっただろ? 今居るお前の近くに置いといたから取りに行け。俺は今動けないからな」


「近くに置くぐらいなら直接渡せば良いだろ」


「……お前と仲が良かったことで俺は同伴者じゃないかと怪しまれて監視されていて動けない。近くに鞄を置くので精一杯だ。鞄までの場所までは口で説明する」


 一真の言う通りに歩くとそこには鞄があった。鞄には糸が巻き付かれており、能力を使ってここまで、持ってきたと想像する。


 「鞄は無事取れたな? 忘れずに持ち歩けよ。この街は壁に囲まれて出来ている。その壁を抜けて外に出るには門からでる必要がある。門は二か所設置されていて一つは帝国側に、もう片方は同盟国側に存在する。お前が行くのは東に有る。今向いてる所からちょうど真っ直ぐの所に門があるだろ、その門が同盟国側のだ。そこから出て同盟国まで向かえ。門の位置忘れるなよ。そして、その門についてだが朝の七時までは閉まっている、それまではどこかで身を隠してろ」


 一真が言ったことを覚え、礼を言った。すると耳と口に有った糸が離れた。もう、喋ることが無いという事だろう。俺は朝まで身を隠す場所を探すために路地裏の方に歩き出した。路地裏を歩くと街灯以外の明かりが見えた。その明かりは一つの大きな家から漏れている。その家のドアは開いており中の会話が聞こえる。


「お客さん、その奴隷は初物でしてね。少々お値段が張りますが中々の物だと思いますよ。言葉遣いも最低限しか直していないので。お客さん好みにみっちりと仕込み上げてください」


「お前、俺が何も知らねえガキを一から仕込むのが好きだとしってコイツを最後に紹介しやがったな。値段はいくらだ?」


「大金貨十枚でどうでしょう?」


「ボりやがるな、良いだろう買ってやる」


 この世界には奴隷が存在するのか、そんな事を考えながらその家の前を横切ろうとする。係り合いになりたくないからだ。横切る途中で家の中に目が向く。中には二人の男と一人の少女がいた。


「…………無月!? 無月なのか……!? 何故、こんな所に!!」


 家の中にいる少女を見る。その少女の髪色は銀でその髪はとても長く体は、細く触れば今にも壊れてしまいそうで、この世の全てを諦めている眼をしていた。その眼は髪と同じ銀色でとても透き通っている。

良く見ると全く少しも無月に似ていない。無月は俺と同じで髪は黒色、眼も黒色だ。似ている所を探そうとするが似ているのは身長ぐらいしかなかった。

人違いだったか、俺は自分を落ち着かせ、その店を横切る。


「金は確認したな? じゃあ俺は行くぜ! おらァ!! 今日からお前は俺の奴隷だ!! みっちりと調教してやるから楽しみにしてろよ!!」


 小太りの男が銀色の髪の少女を頬を思いっきり叩く、少女は口から小さい悲鳴を上げる。


「待ってください! お客さん。まだ奴隷契約のための魔術痕かけて無いですよ!!」


「ああ? すまねえな。忘れてた。……なんだおま」


腹を殴られた小太りの男が口から血を吐きだした。続けてその首を手刀で能力を使い思いっきり叩く。

男は悲鳴を上げる暇も無く、倒れ気絶する。


「誰だ!! お前は!!! 勝手に入り込み……」


 奴隷商の男が最後まで話すのを聞かず、俺は自分の能力を使い自分自身の速度を上げて回り込み。

能力を使い速度と威力が向上した手刀を首に向けて思いっきり振る。奴隷商は何が起こったか分からないと言った顔で気絶した。


無意識だった。


俺は銀髪の少女を一瞬無月と見間違えたことで小太りの男に銀髪の少女が叩かれた時に無月が叩かれたと思い。反射的に手が出ていた。銀髪の少女が銀色に輝く眼をこちらに見せる。その眼は夢月が死ぬ前に俺に見せつづけた眼と同じだった。

この世の全てを諦めている眼、だがその眼には夢月と同じく目の前の人物に助けを求める小さくだが確かな視線が込められている。


その眼は俺をじっと見ていた。少女が声を出す。


「……誰? …………助けてくれたの?」


少女の声はか細く小さな声で俺に尋ねる。


「ああ、お前の事をこの地獄から助けに来た」


俺は銀色の髪の少女に視線を向けて答える。だが、それは少女に掛けた言葉ではなく夢月に……いや自分に言った言葉だと気づく。


そんなことは知らず少女はか細く綺麗な声で言う。


「……ずっと……待ってた」


それが初めての出会いだった。

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