濡れ衣
ドカンッ!!その爆発音により俺の本日二度目の睡眠が邪魔される。
俺はベットから降りて、外の様子を窺う。すると爆発音がしたことにより目覚めたのであろう。クラスメイト達の声が部屋の外から聞こえる。
「おい、なんだ? なんの音だ?」
「わからないわよ!! そんな事!」
「おい、やべぇぞ! 二階より上が燃えていやがる」
どうやら屋敷内で火災が発生したらしい。クラスメイト達は慌てながら自分たちの部屋の外にでて行くのを扉越しに感じる。俺もそれに倣いそのまま部屋の外に出る。部屋の外にはクラスメイト達が慌てながら屋敷の外に出ようとしているのを目に見えてわかる。火事はまだ俺達がいる所までは広がって無いみたいだ。
「おい、剣こういう時ってハンカチを口に入れて、しゃがみながら外に向かえばいいんだよな?」
クラスメイトの一人が口にハンカチを詰め床に寝そろべりながら喋る。
「この馬鹿が、ハンカチは鼻と口を押えるのに使え。それに煙や火はまだこちらまで来ていない。マヌケな恰好してないで、さっさと屋敷から出るぞ。着いてこい」
そのクラスメイト達は会話を終えると急いで屋敷から外に出ようとする。他のクラスメイト達も慌てるのを止め、それに続く。この屋敷の外どころか部屋以外の場所を知らない俺は何も考えずに後を追う。
「……ふぅ、久しぶりに外の空気を吸ったぜ」
「ここまで、離れれば問題無いわよね」
外に出たクラスメイト達は荒れた息を整える。俺は周りを見渡す、周りには黒い学生服を着た学生たち(一人白衣を着た異常者も居るが)しか居らず。どうやらサンクや、魔術師の集団、メイドたちはまだ避難して無いみたいだった。
「……おい、なんちゃら騎士の人やメイドの姉ちゃんたちが居ねぇ見たいだぞ!!剣!」
「十刀聖騎士だ。この馬鹿が、どうやらまだ屋敷の中に居るみたいだな」
「……やべぇだろ、それ早く助けに行かなきゃあよ」
屋敷の火は二階より上を燃やしながら燃え盛っている。その屋敷の一部は中からふっとばされたかのように中から外へ屋敷の破片たちが飛び散っていた。おそらく火元はそこからなのだろう。
「……百合?……食事の時みたいに火を消す事できる?」
咲夢が不安そうに百合に聞く。
「任せて!咲夢ちゃんすぐ消しちゃうよ!」
そう言い百合は周囲から風を屋敷に向けて溜め始めた。その風は食事中に見た物よりも桁違いに大きくなり、そのまま屋敷の燃えていた部分だけをその場で削り取り、屋敷のすぐそこにあった湖に向けて屋敷のまだ燃えてる箇所を紙を千切るようにバラバラにしながら湖に投げ捨てた。屋敷は上の部分をなくしその場にたっていた。
「……ふむ、あの風の異能力者の力は室内よりも、外にいた方が力が上がるのか?まったく風の存在し無い密室の中で一から風を作り出すよりも、外に存在する風を使って集めてしまえばわざわざ異能力を使って風を創らずとも速く、そして強くなるからな……という事は彼女の異能力の前では外に有る風全てが武器になるということか? 風を操る異能力には射程限界は有るのか?大きさはどこまで大きくできる? 先ほどの風は軽い竜巻ぐらいは有ったが……精密性の方は屋敷の火が付いてる箇所だけを取り除いたな……かなりの精密性だ!威力もかなりのものだった……対峙した場合は苦戦しそうだな……だが我が異能力で問題なく対処できる」
異常者は消火の光景を見終えると一人ブツブツと呟きながら喋る。
「……メイドの姉ちゃんたち、出てこねぇな? 白石……お前まさかメイドの姉ちゃんたちごと湖に沈めちまったんじゃないか?」
クラスメイトの一人が百合を責めるような声で話しかける。屋敷の中は人っ子一人いないように静かにしていた。
百合は否定するように慌てて口を開ける。
「巻き込んだという事は絶対に無い! 風で屋敷の中に一人も居ないことを確認して、吹き飛ばしたから!」
その言葉の「風で人の存在を確認した」部分を聞き異常者は一人盛り上がっていた。
異常者を無視し、話は続けられる。
「白石お前屋敷に一人も居ないって言ったな? それっておかしくないか、俺はよく知らないが、屋敷の持ち主のなんちゃら騎士のおっさんはともかくメイドの姉ちゃん一人残さず家に帰すか? しかもこの世界の事をよく知らない、俺達がいるのにだぜ?」
クラスメイトの疑問に百合は「そんなの私が知るわけ無いよ」と言う。
その話を遮り春馬が会話に割って入った。
「そんなどーでもいい話より、やらなきゃいけねェ事が有るよなァ!」
突然会話に入ってきた春馬に対し百合は「やらなきゃいけない事ってなによ?」と聞き返す。
「犯人捜しに決まってんだろ!俺はコイツが怪しいと思うぜ」
そう言うと春馬が指を指してきた。
その先には俺が居た。
「お前が能力を使って屋敷に火を放ったんだろ!」
春馬は俺に向かってそう言い放った。
そこからの話は知っての通りだ。




