家族の怨嗟
褒め上げ商法は、本人は気持ち良いのだ。
宗教と同じだ。幸せなのだ。
ただ家族が大変なのだ。
他人は他人事なので、大変だね〜で済むが。
首相暗殺者は本人ではなく家族息子だった。
母親が父親亡き後宗教にのめり込み、兄の治療費も注ぎ込み死なせて本人も優秀なのに進学することも叶わず人生詰んだ…母が信仰する宗教の献金先である政治家を射殺した。
そこでやっと政府も動いたのだ。
三笠が上げた家族の奥さんの動画がケタ違いに再生される。動画配信者やマスコミも稼げると分かったので、アートハート財団に献金してる本人ではなく家族に話を聞いて動画を次々上げていく。
世論が形作られていく。けしからん悪の組織だと。
「あっ、いえいえウチは動画にしただけですし…
はい、わざわざご連絡ありがとうございます〜では〜」と白田さんが電話しながら会釈した。
「なんですか?白田さんがマダムなってましたが?」と原田くんがからかう。
「取材させてもらった刺した認知症老人の息子さんがね、お母さんのガン、クラウドファンディングしてくれた人達が居たらしくて。
治療できる事になったらしいよ。父親の認知症も。
それでお礼の電話があったんだよ。」と白田さんが話す。
「…なんかうまく利用された気がするなあ〜
ああ〜気持ち悪い!」三笠が不機嫌になる。
「誰がどうやって利用するんだよ?
じーさん2人共知り合いでも何でもないし。
だいたい認知症の人にどうやって人を殺させる事が出来るんだよ?」白田さんが苦笑する。
最初の認知症老人も2番目の短気な老人も全く面識ないのだ。
ただアートハート財団の会員だったと言うだけだ。
それ以外に共通点は無い。
「あ〜白い家の時と同じだあ〜
俺は探偵じゃないんだよなあ〜あくまで霊能者なんだよ!
華鳥亭事件は偶然カラクリ分かったけど〜
波瑠さんにまた相談しょうかなあ〜」と携帯を見つめてる。
「同じマンション住んでるのに携帯でしか連絡つかないのかよ?大丈夫か?」白田さんが三笠と波瑠の関係を心配する。
「今夜は早く帰れるって。部屋来てくれるよ。ワーイ」と三笠が喜ぶ。
急に呼び出される方はたまったもんじゃないだろ…
「本当にいつも急ね。」とヒドく疲れた顔で波瑠が仕事帰りに三笠のタワマン最上階の部屋に来てくれた。
「悪い悪い。動画は順調なんだけど、依頼からずっと引っかかっててね。」と話すが、波瑠はまずヒールを脱ぎながら洗面所へ向かう。
「まず手を洗わせて。そして良かったら何か暖かい飲み物を用意してくれる?シャワー借りるわね。」と洗面所の扉を閉めた。
「あ〜ッ、僕ってダメだなあ〜向いてないかも?」と声を出してキッチンへ向かう。
相手は仕事帰りなのだ。疲れてるし色々メンテナンスもいる。
人と人が関わるのは思いやりの繰り返しなのだ。
三笠みたいな男には、最も足りない部分なのだ。
人を使うことしか考えられない男に波瑠はそろそろ根を上げそうだ。
定期的に会おうと言うと嫌がるし、なんで会うのか?と聞いてくるし、ほんとに。
結局、会いたくなったら誘ってくるだけだ。
が、波瑠から誘うとほぼ速攻で断る。
ペースを合わせる気は全く無いのだ。
その事を注意したら、前から何度も言われ慣れてるようで自覚はあるらしい。
が、それで関わり方を変更する事は無いようだ。
「お待たせ。で、用事は何?」とバスタオルを巻いたまま置かせて貰ってる下着やルームウェアを引っ張り出して着る。
冷たいワインを差し出される。
「犯人2人に共通点は、アートハート財団の会員と言うだけなんだ。それ以外は住む場所も都内と埼玉だし
年も15歳くらい違うし、全く共通点は無いんだ。」と突然話し出す。
「うん、犯人?ああ、今動画やってるアートハート財団の職員が殺された話ね。
霊媒師なのに、普通に事件に顔突っ込んでるんだよね。
なんで、その件について動画出すことになったの?
誰に頼まれたの?」と波瑠が聞いてくる。
「そうか!全然話してなかったもんな。」三笠が波瑠には初見なの思い出した。
事務所で皆に話してるので波瑠にも話してる気になってた。
「つまり、その刑事さんから内密に話が持ち込まれたのね。
その人かなり危ない橋渡ってるわねえ〜
担当事件ぐらいでそこまで立場も考えず動画配信者頼るかな?
バレたら首飛ぶよ。」と社会人を何年もやってるリーマンらしい常識と感覚で波瑠は返事をした。
友達もね〜今は忠告されたくないから、何か理由つけて顔出さない。
このまま一生それなら、助かるんだ。こっちだって!
だが絶対行き詰ったら感情のゴミ捨て場よろしく
コッチに来るんだよ!
昔、霊媒師に「アナタは生きてる人も死んでる人も取り憑かれ体質だ。
だから絶対変な場所やら人と関わらないように!」と言われたの。
でも、毎度変な人と関わるんだよね〜




