得体
「う〜ん、つまり本人は納得されてお金払って絵を出品して、それをちゃんと1.2日美術館に飾ってるだから何も問題ないと?」原田くんが説明する横で白田さんが録音した音声も聞く。
「いかにも年寄りが好きそうな高級な調度品に囲まれた会社だったよ。
結構従業員も居たな。
ただ皆若かったな。中堅がいない。
説明してくれたのも原田くんに毛が生えたくらいの年の子だったよ。」と白田さんが感想を言う。
「多分、働いて2.3年で気付いて転職していくんだろな。」三笠が頭の後で手を組む。
「うん多分、奥の方の部屋から出てこない年寄り連中が牛耳ってるんだろ。で、刺されたのがその1人だろ。」白田さんもマニュアル通りに対応した青年にこれ以上言っても無理だろうと引いてきたようだ。
「ネットで調べただけでも10回以上注意勧告されたり業務停止されても、名前変えて違う会社ですと言わんばかりに、また同じ事をやってるよ。
イタチごっこだね〜これは。」白田さんがため息つく。
「しかし、競馬やギャンブルで金スるより確実に一財産消してるからなあ〜1作品ごとに40万の出品料はダメだろ。
家族としてはたまったもんじゃないよな。」三笠も腕組み足組み眉間にシワを寄せる。
「ギャンブルやるか、宗教ハマるか、女に貢ぐか、アートに貢ぐか?
人それぞれと言えば言えるが。
殺人になったら、もうヤバいよなあ〜」皆でため息付きながら上を見上げる。
「須賀から、刺したおじいさんのご家族の承諾取れたと連絡来たし話を聞きに行くかあ〜」と携帯をしまう。
埼玉の朝霞台まで池袋から電車で行く。急行で20分ほどだ。
「ところで、霊的にはどうなんだ?その会社に悪魔みたいな物が取り憑いてるとか?」いつもより口が重い三笠に聞く。
「もうサンシャインが死霊の塊なんだよ。
あそこに入ってる会社が全部とは言わないが、呪われてるだろう。
まず、駅前から通り魔殺人も車での無差別殺人も駅ビルから飛び降りの巻き添え殺人も起きてるからなあ〜
街が呪われてる。」三笠がお手上げと言う顔をする。
「オイオイ、じゃあ…」と白田さんが苦笑する。
「安心しろ!呪われた街は栄えるから。繁華街は忌まわしければ忌まわしいほど栄えて繁栄するんだよ。」と三笠が電車で池袋から離れるほど元気にまた饒舌に戻ってきた。
珠泪ちゃんもずっと下向いてたが、やっと顔が見えるように。
「かわいそうに。見えるとそれだけ繁華街はキツくなるんだね。豊洲は何で平気なの?」と三笠と珠泪に公くんが質問する。
「歴史が浅いからだろ。人が積み重ねた感情や死の数にこいつらは反応してるんだよ、きっと。
豊洲は、特にあそこらへんは工場があったり資材置き場で人の数も歴史もほんの20年くらいしかないのさ。
俺が子供時代住みだしたのが1番最初だから。」と自分を指さした。
白田さんは造船会社で働く父や家族と小学生時代、豊洲の社宅長屋に住んでいたのだ。それまで豊洲は人の住む街ではなかったのだ。
七条の宿から京都駅はさんで八条口の東九条へ。
まさか3時間くらい滞在で金属音と低い男の唸り声と女と子供の阿鼻叫喚が混ざったの聞かされとは…
七条は古民家改装したような薄暗い宿だったけど全然平気だったのに。
キラキラのコロナ後築の最新マンションの可愛いハロウィンデコレーションの部屋で耳鳴りに2回も襲われるとは。
調べたら「パッチギ」の舞台のスラム街だそうです。そんなの全然見かけなかったけど。
最新ホテルやマンションばっかりの場所だったけど。
金属引っ掻いたような音?チョークと黒板ギギギッと引っ張った音とか久々聴いたよ。




