放置
次は須賀の身辺調査を中目黒の探偵事務所に頼んだ。
須賀からは特に連絡はない。
順調に捜査は進んでいるのか?
全く分からない。
「まず福岡に家族旅行と偽って家族全員で新幹線で来たんだな。その須賀の剣道部の後輩は。」と三笠が話す。
そう、認知症老人の家族は須賀の剣道部の後輩だった。
もしかすると三笠も顔知ってるかもしれないので自宅に来た時息子は仕事だと居なかったのだ。
確かに埼玉や千葉から通ってる生徒も居た!電車だと1時間も掛からないのだ。
「お父さんのカバンの底に出刃包丁入れたのは息子さんだろ?
しかし、なんで…もうお金無いし財団に関わらないのが一番じゃないか?」三笠が首をひねる。
「団地友達も言ってたが、サラ金に借りてでも金出すらしいよ。
財団も金づる逃すはずがない。出品しなくなったら書籍部が図録作ろう、美術書に絵を載せますよと誘ってくるんだよ。」と説明する。
「そうかあ〜1度登録したら延々誘い続けるんだな。
そりゃ、家族は親父さん殺すかアートハート財団潰すしかないな。」と三笠は唸る。
「まだ修理点検詐欺の方がマシかもしれないな〜それは。」とため息をつく。
「アートハート財団の専務がその時間そこを通るのは…多分須賀に聞いたんだろな。
しかし、どうやって…」そこが問題なのだ。
認知症の人に殺人をどうやってさせるか?
「お父さんが認知症症状出したのは財団から才能あると褒められなくなった頃から始まったようだったろう?
出品しないと分かると急に露骨に褒めなくなったんだろう。
すると退化してきてる頭が余計に加速したんだろ。
そして、今まで注ぎ込んだ金を返せ!と切替わる。
『才能』の次は『物盗られ妄想』に切替わるんだろな。知らないが。
ウチも両親たまにケンカするのは、母親の財布から競馬の金、オヤジが抜き取る時だし。」と 白田家の話まで出る。
「そうか!金だ!金取られ妄想でオヤジさんにアートハート財団の専務の顔を叩き込んだんだ。
犬じゃないが調教したんだ。専務の顔=包丁で刺す!と。」
「すると次の剣道道場の先輩も頭が耄碌した所で金返せ!返さないなら刺す!で反復学習させたのか?」と白田さんが納得する。
年食った夫婦友達家族のケンカはだいたい『金』なのだ。
「しかし、それを実証するのは無理だろなあ〜」と2人共頭を抱えた。
そこで電話が鳴る。須賀だ。
「いや〜なぜか俺まで身元調査されてさ。高校時代の部の後輩と道場の先輩だとバレちまってよ〜」と笑っている。
「おいおい、大変じゃないか?事件から外されたのか?」と平静を装って聞く。
「いや…会社を辞めるつもりだよ。
家族もね、それで良いと言ってくれたし。引っ越すつもりなんだよ。バリ島で宿屋始めるんだよ。
また遊びに来てくれよ。」と落ち着いて話す。
「そんな話聞いてなかったよ!
良いのか?親御さんには話したのか?」と三笠が心配する。
「実は…その為に同窓会のついでに実家寄ったんだよ。父も母も良いんじゃないかと。
実は去年から準備してたんだよ。俺は武道してるから用心棒兼宿屋の掃除だね。奥さんはこっちでもホテルのマネージメントの仕事してるしね。
潰れた民宿買って自分でリフォームしてたんだよ、去年から。」結構明るい声だ。
「まあ、ジーさんはコッチに置いていくがな。義母は掃除や洗濯や孫の世話で連れて行くが。」と淡々と話す。
三笠が白田さんの方を見る。
首を横に振る。
「もうね、才能オバケのジーサン達は捨てる事にしたんだよ。アートハート財団と一緒に心中してくれ、勝手に。」と須賀が話す。
「ま、まさか、お前ん家も?アートハート財団に捕まってるのか?」と三笠が聞く。
「ああ、じーさんは書家なんだよ。ぼちぼち売れてたのにな。
もっと上を目指したい!と常日頃言ってたんだよ。
バカだよなあ〜もっと有名な書家に成りたいらしくてさ、アートハート財団に捕まったんだよ。」とひどく冷たく突き放すように話す。
私も絶対もう突き放す!
自殺ほのめかされたら、命の電話にお願いしょう!
他の友達、新国立美術館見に来る時泊まって貰うけど…聞きつけて旦那さんから三下り半突き付けられたら、居着かれそうだが!
絶対仲良しの子にバラすな!と口止めしとこう!
落研仲間だから無理かもなあ〜




