第1話 不釣り合いなコックリさん探し
11月。神無月だから特別シフトになると聞いていた私は、これまでになく気合を入れていた。
だがしかし、私に割り振られたのは学校で流行っているらしいコックリさんについての調査というなんとも言えない小さな仕事だった。
ミサキさまとか、ソウジョウさんとか、エンジェル様とか、名前違いはいくらかあるけど全部含めてコックリさんでいいらしい。
その調査で私は問題点にぶち当たっていた。
「これ以上どうすりゃいいのよー」
「解決の糸口というか、方法もまるで見つからないね」
私は一緒に校内の調査をしている一ノ瀬師匠に愚痴る。
ブームの調査なんて言われても何をすればいいのか全くわからない。
みんなで校内をパトロールしてコックリさんやってる人達を止めてみたが、根本的な解決になってないから調査続行といわれた。
結果は連日成果無し。だというのに小言すら言われない。忙しすぎてこっちに構う余裕ないんかな。
「しかし結構止めてるのにコックリさんやる人減りませんね。一回止めた人がまたやってたりしますし」
「そうだね。だから根本的にどうにかできてないって言われたら否定しきれないかも」
「でも彼方も遥もどうすればいいかとか教えてくれないしー」
解決策の見えない手に余る問題。解決させないことが目的なんじゃないかと疑いたくなる。
まあそんなことしても人手が減るだけだからそんなことないけど。
「なーんか違う動き考えないといたちごっこだなあ。なにかないか……」
ぼんやりとあたりを見渡していると、オカルト研究部の部室となってる教室が目に入る。
オカルト研究部か……なんかいい解決方法知らないかな。
「一ノ瀬師匠。オカ研寄ってみません?」
「オカルト研究部?正直あんまり期待できないと思うけど」
「このまんまでもやれることないじゃないですか」
日夜本物の妖と戦ってる私達が今更学校でやってる部活なんかに何を聞くことがあるのか、そう言われたらそうなんだけど正直もうこういうのにも頼らなきゃいけないくらいに手詰まりである。
私達はオカルト研究部の部室のドアをノックして開く。
「あっ、先輩。今日はもう来ないかと……誰っすか?」
部室の中には女の子が1人。服の色は1年生のものだ。
怪しげな儀式とかやってんのかなと思ってたけどそんなことはなく、なんか1人で漫画読んでたっぽい。
「えっと、オカルト研究部ですよね?ちょっと聞きたいことがあるんですけど」
「入部希望っすか!?私は部長の桃園っす!」
「さっき先輩って言ってなかった?先輩いるならそっちが部長やるもんじゃないの?」
「岡崎先輩はオカルト研究部じゃないっす!オカルト研究部は私1人っす!」
部員1人しかいない上に部外者入り浸ってるのこの部活。
先行き不安になってきた。
一ノ瀬師匠もすごい不安そうな顔をしている。
「田中さん。どうする?」
「最初からダメ元ですし聞いてみましょうか」
「うちは入部テストとかないっす!早速入部届受け取りに行くっす!」
「部長さん。盛り上がってるところ悪いんだけど、私達入部しに来たわけじゃないの」
「そうなんすか?」
桃園さんのテンションが露骨に落ちる。
部員に飢えてるんだな。
「今学校でコックリさん流行ってるよね?アレについてなにか知ってたりしない?」
「コックリさんっすか?ちょっと待っててほしいっす」
桃園さんは部室の奥の机に行き、1枚の紙を取り出した。
意外と当たりだったのか。
「これを見るっす」
桃園さんが取り出した紙には五十音と、はい、いいえ、そして鳥居のマークが描かれていた。
「まず鳥居の上にコインを置くっす。十円玉が使われることが多いけど別のコインでも」
そして桃園さんはそのままコックリさんのやり方の解説を始めた。
「ごめん桃園さん。コックリさんのやり方聞きに来たわけじゃないの」
「そうなんすか?じゃあ何を聞きに来たんすか?」
「学校で流行った理由とか、どうすれば流行が終わるかとか聞きたいかなって」
「うーん。わかんないっす!」
桃園さんは元気よく答える。
当たりだと思ったらハズレだった。
「そっか。邪魔してごめんね」
「あ、でも先輩なら知ってるかもしれないっす。なんかコックリさんしないように忠告されたし」
私達が退室しようとしたとき、桃園さんが先輩について話した。
「先輩ってさっき言ってた岡崎先輩?」
「そうっす!先輩はオカルトにやたら詳しいっす!」
「一ノ瀬師匠」
「うん。聞いてみる価値はあるかもね。その岡崎先輩は今日は来ないの?」
「最近忙しそうっすからね。3年だから受験もあるんじゃないすかね」
また手掛かりが途切れたように見えるが、そんなことはない。
今日会えなくてもそのうち会えばいいだけだ。
「次いつ来るのかな?」
「わかんないっす。予定聞いとくから明日また来てほしいっす」
「そっか、じゃあ今日はこの辺で」
「また来るっすよ!」
私達は桃園さんを置いて、部室をあとにする。
「これで進展ってことでいいんですかね?一ノ瀬師匠」
「うーん。岡崎先輩次第かな」
糸口が掴めたのか掴めてないのかわからない段階。
そこで一ノ瀬師匠の電話が鳴った。
「彼方くんから呼び出された。今日はここまででいいかな」
「良いですよ。いってらっしゃい」
その日はそこで解散して、帰ることになった。
コックリさんのせいで町のパトロールはしてないけど、討伐の呼び出しは相変わらずあるんだよなあ。




