プロローグA
「では行ってくる。私のいない間のことは頼むぞ」
「はい、任せてください」
10月も終わりに近付いたある日の神無月家、ツクヨミがどこかに行くらしく彼方がそれを見送っていた。
「彼方。ツクヨミさんどっかいくの?」
「ああ、出雲で神様の集会があるから、それに出るんだ」
「神様の集会って、なにかあったの?」
「なにもないよ。毎年神無月には神様が集まって会合するんだ」
なんだ別に何もないのか。
ちょっと心配して損した。
「へー。神無月って神無月家とは関係あるの?」
「あるというか原点だな。神がいない神無月の間妖達から町を守る者たち。それが神無月家の成り立ちだ」
「あ、そうか。神様いないんだから妖が活発になるのか」
「そういうわけだから11月は特別シフトになる。覚悟しておけよ」
「……あれ?神無月って10月のことじゃなかったっけ?」
「古い暦を基準にしているからだいたい一ヶ月ズレてるんだよ」
「ふーん。まあいいや、頑張ろっと」
11月の忙しくなりそうな予感に思いを馳せていると、遥がやってきた。
「彼方、ちょっといい?」
「なにか用か?」
「2人きりで話したいことがあるから、来てくれる?」
「何?デートのお誘い?遥ったら積極的ー」
「そんなところよ。じゃあ彼方借りてくわね」
遥が彼方を連れて奥の部屋に消えていく。
からかってもあっさり流された。普段なら顔真っ赤にして「そ、そんなんじゃないんだからね!」みたいなこと言うのに。
あの遥は、仕事モードの時の遥だ。
私はこれから何が起こるのか、少し不安になった。




