↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/88

幕間 『ツクヨミと、晴明と、』

ヤマタノオロチとヒュドラの退治に成功したあと。

私と道満が月読神社に降り立ち、みんなと合流する。


勝利をお祝いする喜びのムード。それを打ち壊したのは晴明だった。


「これで用事は済んだな。では……」


晴明がこちらに向け、式神を召喚する。


「道満を呼び起こし、京都の街を混乱に陥れようとした罪、贖《あがな》ってもらおうか」


晴明の式神がこちらに向かってくる。その直前のことだった。

ツクヨミが目の前に現れ、式神をすべて吹き飛ばしてしまった。


「安倍晴明よ、それは許されぬことだ。月読尊の名において命ずる。剣を収めよ」


「ツクヨミ様。これは京都の神無月家の名誉に関わる問題ですお引き取りを」


「神の言葉が聞けぬというのか」


「言ったはずです。我々には神の言葉に逆らう権利があると」


「神無月家の契約は人間の安全のために、神に逆らうことが許されているというもののはずだ。名誉などというもののために逆らうことは許されていない」


「お言葉ですがツクヨミ様。妖と戦う以上名誉は戦力につながります。安全と同等のものでしょう」


口調は丁寧だが、お互いに一歩も引くことのない殴り合い。

私達はただそれを見守るしかなかった。


「ふふ、そうか。では尚のこと殺すわけにはいかぬな」


「と、いいますと?」


「この者、田中あさひは2月の中頃、私に命を捧げる予定となっている。安倍晴明よ。言っている意味はわかるな」


「ツクヨミの巫女、ということですか」


え?何?巫女?

何かはわからないが、晴明の顔が険しくなる。苦しいのだろうか。


「そういうことだ。巫女殺しがどれほど名誉に傷を付けるか、分からぬそなたではあるまい」


「そうだぞー!私は巫女なんだぞー!」


「田中あさひよ。少し黙っておれ」


「はい……」


援護しようとしたら怒られた。


「しかしそれでは道満を呼び起こした罪は」


「安倍晴明よ。京都を混乱に陥れようとしたと言ったが、それは未遂で終わったものだ。それを裁くことは巫女殺しと釣り合うものか?」


「くっ……しかし今後を考えれば!」


「くどい」


ツクヨミの雰囲気が変わる。

晴明の顔色も変わる。

怒ってるよねこれ?ねえこれめっちゃ怒ってるよね?


「神を相手にいつまでエリートのつもりだ。すでにお前は賊軍だということ、言わねば分からぬか」


「し、しかし」


「こちらは出雲《いずも》の国で正式に争ってもよいのだぞ。ヒュドラを倒した功労者にして、アマテラスをその身に宿すツクヨミの巫女を殺す。失われるのが名誉だけで済めばいいな」


「……仰せのままに」


晴明は諦めたような顔をして、その場を去る。

よくわかんないけど、ツクヨミが助けてくれたんだよね?


「……あいつのあんな顔見たの初めてだ」


「嬉しくなさそうだな、芦屋道満よ」


「嬉しくないな。俺の実力でそうしたならともかく神にボコボコにされてヘコむあいつなんぞ見たくもなかったわ」


「ふふ、それはすまないことをしたな」


ツクヨミの表情は、普段の穏やかなものに戻っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。