第11話 折り鶴に乗って
道満の頬をグーでぶん殴ったあと、私は道満に討伐の話を聞く。
「それで道満さん。どうやってヤマタノオロチとヒュドラを倒すんですか?火行も土行もダメみたいなこと晴明さんが言ってましたが」
「いたた……切り替え早いのう。というかグーで殴るか普通」
「道満さん!」
「わかったわかった。今解説してやるから」
「あはは、切り替えが早いのはあさっちのいいところだよね」
「宮っち。私も切り替えは早い方だと自負している」
小宮さんの言葉を受け、鬼宮さんがこちらに嫉妬してくる。
今来ないでよ?ヒュドラより手に負えないからね?
「さて晴明よ。話を始める前に一応聞いておきたいのだが俺と組む気はないか?あの2匹、それぞれがそれぞれを受け持てば討伐も容易いことだろう」
「冗談を言うな道満。貴様と組むなど、それこそイレギュラーの塊だ。そのようなことをするくらいならばそこの者たちと共に戦う」
「まあ、そうだろうな。じゃあ改めて」
道満は私の方に向き直り、質問をしてきた。
「お前、式神の操縦はできるか?」
「……できるわけなくない?」
私普通の女子高生よ?
なんだったら安倍晴明のことすら今回の件あるまで知らなかったから知識無い側よ?
「じゃあ二人乗りだな。そらっ」
道満は紙を投げ、投げた紙は座席付きの巨大な折り鶴のようなものになった。
「よし、後ろに乗れ」
「あの、シートベルトとかは」
「あ?ねえよそんなもん」
「ええ……」
「ほら早く乗れ」
「ちょっと待ってください。田中さん。これを使って」
道満に手を引かれ、私は折り鶴に乗ろうとしたその時、一ノ瀬師匠から弓と矢が手渡された。
「ありがとう一ノ瀬師匠。……弓借りるの2度目ですね」
「あの頃は突然持っていくからびっくりしたよ。今度はあのときと違ってちゃんと託したからね」
「うん。行ってきます」
折り鶴の座席に乗ると、道満は何かの力で折り鶴を飛ばし始めた。
テーマパークでジェットコースターとか乗ったけど、安全装置無い飛ぶやつに乗ることになるとは思わなかった。
「晴明!わかっていると思うが、人質に危害を加えたり、邪魔建てをしたりしようものなら俺は即結界を破るからな」
「私がそんな無駄なことするわけがないだろう。いいから早く行け。アマテラス様の依代を乗せているのだから墜落するなよ」
「ケッ。どの口が言うかよ」
道満は晴明に悪態をつきながら、折り鶴を高く離陸させる。
いよいよ決戦だ。
「それで道満さん。なんか流れで乗りましたけど、結局どうやって戦うかまだ聞いてないんですけど。どうするんです?」
「説明必要か?」
「必要でしょ!?」
ノーヒントで実戦始めるつもりだったのこの人。
びっくりしたよ流石に。
「どっかで武器拾おうと思っとったが、あの小僧から弓を貰っただろう?それでいつも通り戦えばいい」
「飛びながら弓矢なんて使ったことないですよ」
「そんくらい応用せんか」
「まあやってみますけど、狙いやすいように折り鶴の左側を相手に向けて飛んでくださいよ」
「任せておけ」
道満は折り鶴をうまく操り、折り鶴の左側を相手に向けながら接近した。
緑色のと白色のがいて、私は白色のやつに向けて狙いをつける。
こいつヤマタノオロチとヒュドラどっちだろう。
蛇の頭に向かい矢が飛び、無事命中。蛇の首が飛び、そこから新しく頭が2つ生えてくる。
白色がヒュドラかぁ。
「何をやっとるか貴様!」
何故か道満に怒られた。
「はぁ!?言われた通り弓矢で攻撃したんだけど!?」
「アマテラス様の力を乗せて攻撃せんか!」
「どうやってやるの!」
「できないのか!?」
「できないわよ!」
正確には以前一度だけやったことはある。海坊主を倒した一撃、あの一撃はきっとアマテラスの力が乗った一撃だ。
でもあれ以降パンチにしか乗せれてない。
「ええい、ならこの場で武器に力を乗せる方法を習熟しろ!」
「わ、わかった!」
「弓を引くな!矢の数に限りがあるだろうが!」
「えっ、ちょ、先言えよ!」
矢が飛び、ヒュドラの首が飛び、首が増える。
そもそも矢の残数何本だ。
「……あと6本しかない」
「チッ、首に対して数が足りんか」
「いや最初から足りないんだけど!これじゃ最初から倒せるの片方だけでしょ一ノ瀬師匠!」
「片方倒せばあとは五行による攻撃が通じる!」
「6本しかないから倒せないって言ってるでしょ!」
「無駄に打った貴様のせいだろうが!」
言い争いながら首による攻撃を避け続ける私達にしびれを切らし、ヒュドラは霧を吐いてくる。
「むっ!まずい!」
「え、なに!?なんの霧!?」
道満は式神で、私はアマテラスの力でとっさにバリアを貼り、霧を無効化する。
「あの霧多分吸い込んだらヤバイやつですよね」
「ああ、それよりも、防御には使えるんだな?」
「え、まあ。防御とパンチだけは」
「よし、今から即席の修行の時間だ!」
道満が何かを思いつき、折り鶴は私たちを乗せて急降下していく。
「し、シートベルトないんだぞぉぉぉ!!」
私は絶叫マシンでは二度と味わえないスリルを受けながら折り鶴の座席にしがみついていた。




