エピローグ
コウモリの妖が現れた次の日、神無月家。
私は覚悟を決めて、バイトに来た。
「……彼方!」
彼方の後ろ姿に声をかける。
私の考えを、私の答えを、彼方に伝えるんだ。
「彼方、私は戦うことに決めた」
「……誰に何吹き込まれたか知らないけど、また一時の気持ちで戦おうって?どうせまた逃げるだけだろ」
「うん。また逃げるかもしれない」
彼方の視線が鋭くなる。昨日私が逃げてしまった瞳だ。
だけど今はその視線が何も怖くない。答えは出てる。貰い物の答えだけど、これから答えを出すための答えだ。
「彼方。私はまだちゃんと戦ってない。きっとこのまま逃げても、中途半端にしか逃げられない。ちゃんとダメだった時に関わらないと決めた道を進むために、私は戦う」
私の言葉を聞いて彼方は少し考え込み、頭を搔き、答える。
「……講習はちゃんと受けてもらうからな」
それは紛れもなく、戦うことへの許可だった。
「よーし!じゃあ彼方!早速だけどコウモリの妖についてわかったこと教えて!」
「あいつは吸血鬼ではなく、低級の獣霊だ」
「うんうん、それで?今どこに?」
「神無月家への人的被害ゼロ。物的被害ゼロ。被害者は昨日の母親1人のみ。隠ぺい工作は完了済み、あとは遺族の心のケアだな」
「……え?」
「討伐済みだ。今日は文字書くバイトしとけ」
「そ、そんなぁ〜」
決意した矢先、出鼻をくじかれ膝から崩れ落ちる。
「やる気なくなったか?」
「……いや、そんなことは無いわね」
「なら良し、これで出鼻挫かれたからやる気なくしましたとか言うようならさっきのカッコいいセリフ一時的なものとして不採用にしてたからな」
「ゲッ、あっぶね〜」
「お?やる気ないのか?」
「あるある!あるから!」
かくして、私は神無月家に民間協力者として正式に協力することになったのだった。
かくして、ただの女子高生の私が覚悟を決めるまでの物語は終わりを告げた。
ここから先は、これまでよりもずっと長い。覚悟を決めた私の物語だ。




