幕間『彼方のコウモリ退治』(彼方視点)
「一時の感情で戦ったり、逃げたりするやつは、ずっと逃げてるやつよりも邪魔になるんだよ。関わらないと決めたなら、関わらない道を進め」
その言葉を受けて、あさひは逃げ帰ってしまった。
だがそれでいい。本当の覚悟のない奴が居たらあいつも、俺達も、市民達も不幸になる。
そもそも使命感なんかで関わることが正しい世界でもないんだ。逃げる方が正しい。
そんな動機で関わっていたら、いつか俺達みたいに……
「彼方様、一通り調べ終わりました」
後ろから職員に声をかけられ、振り向く。
「ああ、悪い。少し考えごとしていた。結果は?」
「低級の獣霊だと思われます。襲われても死ぬことは珍しいような。もしそうなら運が悪かったとしか言えませんね」
「そうか」
俺は遺体の前でしゃがみ、手を合わせる。
仇はとってやる。
「低級の獣霊ならそう離れないだろう。このあたりで張っていれば」
「キキィィィィ!」
妖の鳴き声が聞こえ、空を見る。そこには弱っちいコウモリの妖がいた。
「あれか」
「おそらくはそうかと思われます」
コウモリの妖は俺の方に突っ込んでくる。
俺は御札を取り出し、飛び込んでくるコウモリの動きに合わせて御札を貼り付ける。
コウモリは飛ぶ力を失い、地面に落ち、やがて光へと還っていった。
「作戦終了。あとは警察に引き継ぎをして、一応明日の朝までこのあたりのパトロールは強化してくれ」
「はい。お疲れさまでした彼方様」
こんなあっけない奴に一人の命が……
頭を下げる神無月家の者を背に、俺はやりきれない気持ちに蓋をして家に帰るのだった。




