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幕間 『ツクヨミ解説リレー』

「ところでツクヨミさん。半年の猶予を貰ったわけだけど、その間に他の神様が殺しに来るってことはないの?」


「うむ、まあ恐らくは大丈夫だ。この期に及んでメンツを気にして動かん天津神《あまつかみ》と、内心ではアマテラスを恨む者も多くいる国津神《くにつかみ》だからな」


「あ、あまつ?なんですかそれ?」


「天津神は我が姉、天照大神《あまてらすおおみかみ》が率いる高天原《たかまがはら》に暮らす神々のことだ。一方で国津神は我が弟、素戔嗚尊《すさのおのみこと》の子孫大国主(おおくにぬし)をトップとする地上で暮らす神々だ。まあ国津神は個人主義が多いから、アマテラスほど大きな権力を持っているわけではないらしいがな」


「そんなポンポン新しい単語並べられても。えっと、国津神はなんでアマテラスのことを恨んでいるんですか?」


「端的に言うと侵略者だからだ。アマテラスの派遣したタケミカヅチが武力をもって国津神から地上の地を脅し取ったのだ。表面的には和解しているが、その心中は未だ穏やかではないだろう」


「なるほど……国津神が助けに来ない理由はわかりましたが、天津神が助けに来ない理由はなんなんですか?アマテラスって天津神のトップなんでしょう?」


「トップだからこそだ。天津神のトップであるアマテラスが空亡《くうぼう》に連れ去られ、力を取り込まれつつあるなどと騒ぎ立てれば高天原の権威に関わる。だから動けんのだ」


「こ、事なかれ主義……」


「それもかなりのな。だからこの期に及んで動きもしない」


「でもそれじゃあツクヨミさんはなんで私を殺しに来たんですか?天津神も国津神も動かないんでしょう?」


「私は姉上に絶縁されたからな。籍こそ天津神であれど天津神の中央政治に義理立てする必要もなければ、国津神のように恨み高まる状態でもない」


「高天原追い出されたんですか?」


「完全に追い出されたわけではないが、魂を導く時くらいしか行かなくはなったな。その仕事も仏教式が広まったことで十王《じゅうおう》……閻魔大王《えんまだいおう》達に取られる形となって、今では夜《よる》の食国《おすくに》で自由にしている身だ」


「夜の……?」


「夜の食国というのは私が父である伊奘諾尊《いざなぎのみこと》から……」


その後も私の質問とツクヨミの解説はしばらく続いた。

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