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第3話 死の宣告

「……我が名はツクヨミ。月読尊。神の一柱として、田中あさひの中に封印されし我が姉、天照大神の身柄を解放しに来た者だ」


「ツクヨミ様だって……!?」


ツクヨミ。目の前の男はそう名乗り、彼方と遥は驚きの声を上げ、彼方がこちらを向く。


「…………すまない、あさひ。神に仕える家として、神に逆らうことは許されないんだ」


「か、彼方……?」


「前に、前に言ったはずだ。場合によってはお前が討伐対象となることもあると」


そう言うと彼方は震える手と、悲痛な顔で刀を振り上げる。遥は耐えられず私から顔を逸らす。

一瞬前まで私を守ろうとしていた刃がこちらへと向かおうとしている。


「待て神無月彼方よ!早まるな!私は今すぐにどうこうしようというつもりはない!」


ツクヨミはここまで一度も見せなかった慌てようで彼方を止めた。


「ツクヨミ様……」


「それに人の子に手を汚させようとは思わん。その時になれば私が自らやる。お前達は変わらず町の平和の維持に尽力せよ」


「はい……」


彼方は刀を下ろし、遥は銃をしまい、力なくうなだれる。


「……ツクヨミさん。話、聞かせてもらってもいいですか?」


私が尋ねると、ツクヨミはさらに優しい表情となり、答えた。


「うむ、構わんぞ。そなたにも、そなたの友人たちにも知る権利があるだろう」


「アマテラスって言ったわね。そんな物に取り憑かれたから私は命を狙われているの?」


私がツクヨミにそう言うと、ツクヨミは首を横に振った。


「正確に言えばそうではない。そなたの中にはもうひとつ、空亡《くうぼう》という恐ろしい妖が存在している」


「空亡だって……!?」


彼方が反応する。強い妖なのかな。

でも今はそれよりも気になることがある。


「妖が?でも、妖の力なんて使えないわよ私」


「空亡は今、そなたの体内でアマテラスと融合するために力を使っている。そのため妖の力を使うことはできないのだ」


「……もしかしてアマテラスの力使えば使うほど融合が早まったりとかするんですか?」


「それはないな。使おうと使うまいと、関係なく融合は進むと思ってくれて構わない」


よかった。この力を頼りに結構無茶してきたから、それでタイムリミット近付いてたらどうしようかと。


「そなたが私を殴っても効果がなかったのと同じように、神に対して神の力は基本的には通用しない。融合が終われば奴はアマテラスとして扱われ、神の力が通用しない存在となってしまう。そうなる前にどうにかしたいのだ」


「じゃあ本当にアマテラス自体は関係ないんですね」


「うむ。アマテラスが単体で取り憑いていること自体は関係ない。誰が姉上が引きこもったくらいで大事な人の子を殺すものか」


おいなんか愚痴っぽいのこぼれたぞ。


「それで、いつ殺すんですか?」


「そうだな。1週間後、盆が終わった頃としよう」


「お盆の後ですか?」


「うむ、それまでに心残りを無くしておけ」


「心残りって言われてもねえ」


漠然と死にたくない気持ちはある。

だけど心残りと言われても、いまいちピンとこなかった。

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