幕間 『灼熱のバトル(前編)』
休みの日、街に遊びに行ったとき、小宮さんと鬼宮さんを見かけた。
「あ、小宮さんに鬼宮さん」
「あ、あさっちだー」
小宮さんが駆け寄ってきて、鬼宮さんが無言でついてくる。
「あさっち今日休みなの?なんか最近弓の修行少なくなってきた?」
「うん。基礎が出来たからそろそろ練習量減らして休み方を覚えるんだって」
一ノ瀬師匠が言うには、このまま自主トレ任せにすると、壊れるかサボるかのどちらかになりやすいらしい。
「そうなんだー」
「そうなんだーって。2人は師匠の指導受けてないの?」
「受けてないねー。ほら私こんな体格で非力だからと特訓についていけそうにないなって」
小宮さんの体格。改めて見てもなんというか、ちんまい。
今日の見た目だって知り合いじゃなければ小学生がお姉さんとお出かけしてるようにしか見えない。
だがそれで言ったら鬼宮さんはガタイもいいし、体力もある。弓を習っててもおかしくないと思うが。
「私は宮っちを守れればあとはどうでもいい。宮っちとの時間を削ってまで弓の練習をする気はない」
私の疑問を見透かしたかのように、鬼宮さんは答えた。
弓の練習しないって……と、思ったが、それ差し引いても採用したいパワーあるもんなあ鬼宮さん。
「ところであさっちは今日なにする予定なの?」
「今日?特に予定なくぶらついてみようと思ってるけど。どっかで買い物でもしようかなって」
「え、そうなの?えーっと、じゃあ一緒に来る?」
「……行ってもいいの?」
私は鬼宮さんの顔色を伺いながら尋ねる。
2人の時間を邪魔されたとか思わないだろうか。
「宮っちがいいなら構わない。というかまあ、来てくれるなら私も助かる」
「じゃあ、行こうかな」
鬼宮さんは我慢して言ってるという感じもせず、私はついていくことにした。
―――
ついて行った結果、たどり着いたのは雑居ビルの3階にあるカードゲームの店だった。
「ここが目的地なの?」
「うん。今日ガーコマの新弾が出るから買いに来たの。買えるかなあ」
「し、診断が出る……?」
「あ、そうだ!あさっちの分も買っていい?」
「うん。よくわかんないけど、いいよ」
どうせ来る予定のなかった店だ。私の分も欲しいなら好きにするといい。
私達はレジに並び、小宮さんが何かの箱を3つ買った。
そして小宮さんはそのまま何か手続きをして、私達は店の奥の机と椅子が大量にあるところへと向かっていった。
「じゃあ早速開封しようかな。宮っちはいつものように他のお客さんと対戦してていいよ」
「今日はあさひがいるから、あさひと対戦する」
「え?私?いやルールわかんないし、カードも持ってないよ」
「……教えながらする。デッキは宮っちのを貸し出す」
「えぇ……?」
鬼宮さんは小宮さんからデッキを受け取り、私に手渡してきた。
なんでそこまでするの……?
「たとえばこのデッキは単色だから初心者にも使いやすい」
「これキラキラしてるけど、高いカードじゃないの?」
「300円の安いやつくらいだよー」
小さな袋を開けてカードを取り出しながら、小宮さんは答える。
高くない?これ一枚でお菓子とジュース買えるよ?
その後私は、やたらと周りの人に見られながら鬼宮さんに教わり、対戦をするのだった。
―――
「うん。こんなもんかな。じゃあ組み終わったから対戦しようか宮っち」
私が鬼宮さんと、周りにいたお客さんにカードの効果を教えてもらっていると、小宮さんがそう言った。
「今日こそマッチ勝利してみせる」
そう意気込む鬼宮さんだったが、勝負は早々についた。
鬼宮さんの小型モンスターの攻撃をトリガーに、小宮さんが呪文を発動。一気に敗北したのだった。
それも2回やって2回とも。
「あはは、宮っち今日は決着つくの早かったね。じゃあそろそろ帰ろうか」
「うん……」
そう言って私達は帰る。その前に小宮さんが「デッキ完成させるパーツ買うから」とカードが並んだガラスケースの方に向かった。
私達も一緒に向かう。
「楽しかったし私も何か買って帰ろうかな」
「あさっちもデッキ組むの?なら構築済みデッキがオススメだよ。今日剥いたカードの余りもあげるね」
「ふーん、じゃあそうしようかな」
「せっかくなら複数買ったほうがいいよ。おすすめは3個だねー」
小宮さんは鬼宮さんにだっこされ、高い所のカードを眺めながらそう言った。
3個買えか。確かに複数あれば対戦できるし、3個あればバラバラな相性の差を楽しめるのか。
私は小宮さんのアドバイス通り3種類デッキを選び、レジに並んだ。
戻ってきたとき、小宮さんは微妙な顔をしていた。いいカードなかったのかな。




