第6話 王を迎えるは三者凡退
2回裏、1対10で始まった回は、1対10のまま終わりを告げた。
ライト前に落ちそうな当たりを、鬼宮さんがキャッチしてワンアウト。
サード方向に真っ直ぐ飛んでいく打球を鬼宮さん超反応で捕ってツーアウト。
がら空きのレフト奥に飛んでいく打球を鬼宮さんが走ってキャッチしてスリーアウト。
鬼宮さんの活躍のおかげで見事守りきったわけだ。
守りきったわけだじゃねえよ。
「鬼宮さん!あんな動きできるなら1回からやってよ!」
「……あの頃はまだ乱闘で倒すと聞いていたから」
珍しく鬼宮さんがバツの悪そうに言う。
「これ最初から鬼宮軸で勝ちに行ったほうが楽だったかもな」
「宮っちすごーい!」
「ありがとう宮っち」
小宮さんと鬼宮さんがほんわか空間を作ってるが、片方ほぼ化け物だよ。人間だけど。
「まあ過ぎたこと言っても仕方ないかぁ。残り9点。何とかなるかな?」
「やるだけやる。ダメだったとしても選手を個別に闇討ちする作戦立てるだけだから気にするな」
「今日ずっと物騒ね」
「妖退治に来てるからな」
そんな会話をする私たちの横でMIHARUさんは右手に屑鉄野を持ってバッターボックスに向かい……
「MIHARUさん!?それバットじゃない!屑鉄野!」
「ん?ああ、バットは別で持ってるよ」
そう言うとMIHARUさんは左手に持ってるバットを見せた。
「よかった。でもじゃあなんで屑鉄野持っていってるんですか?」
「くーちゃん……屑鉄野の打順私の次だろ?早めに連れて行ってやろうと思ってさ」
そう言ってMIHARUさんは屑鉄野をネクストバッターズサークルに置いて打席に立った。
くーちゃん?今くーちゃんって言った?名前つけてんのMIHARUさん。
「MIHARUさんと屑鉄野の打席終わったらまた彼方からかあ。今度はちゃんと打ってよ」
「もう乱闘の予定はないからな。とりあえずは真面目にやってやるさ」
……ん?屑鉄野の打席?
「彼方。屑鉄野って打席どうすんの?」
「……まあ、バッターボックスに寝かせるしかないだろうな」
「じゃあMIHARUさんが帰ってきたらバッターボックスに移動させて……」
バッターボックスに視線を移すと、MIHARUさんが二塁打を打っていた。
「えっ」
「……とりあえず屑鉄野置いてくる」
MIHARUさんについてはあとで聞こう。




