第3話 野球除霊!アクセラレーション!
一回表、私達の攻撃。
打順は彼方、遥、一ノ瀬師匠、私、小宮さん、鬼宮さん、橋花さん、MIHARUさん、屑鉄野の順番だ。
私本当に4番にされてるでやんの。
まあ気にするほどじゃない。どうせまともに試合しないんだから。
彼方と遥はバットを一切振ることなく、アウトになって戻ってくる。
あまりに無気力試合だ。
一ノ瀬師匠だけはバットを振って凡退。
相手チームの攻撃だ。
「よし、作戦を確認する。まず遥がデッドボールをぶつける。そうすれば乱闘になるから全員殴り倒し、気絶させる。その後気絶した選手たちから妖を追い払う儀式をして討伐する。いいな?」
改めて聞いてもひでえ作戦。
「俺達は試合をしに来たんじゃない。妖退治をしに来たんだ。いくぞ!」
とことんに野球というスポーツを愚弄した彼方の宣言で私達は守備に向かう。
そんな中私は目撃してしまう。MIHARUさんが屑鉄野を軽々と片手で持ち上げて持って行く所を。
「MIHARUさんそれわざわざ持っていかなくてもいいと思いますよ」
「いや、1人だとなんかさみしいし。ライブの機材に比べれば軽いもんだよ」
彼方……MIHARUさんが早くも限界です……。
グラウンドに着いた私達は遥と彼方の二人を見守る。
試合は正直どうでもよくて、心は乱闘の準備だけをしているこの状況。
そんな中、遥は躊躇することなく相手チームの1番打者の頭部をめがけてボールを投げる。
せめて胴体とかじゃないの。
遥の投げたボールは打者の頭へと向かい
「おっとあぶね」
相手打者はそれを避けた。
うん。まあ、避けるよね。結果はボールカウント1だ。
彼方は避けられて転がるボールを拾い、遥に渡す。
「顔はやめだ。ボディをやるぞ」
ドラマの不良が言ってた気がするような言葉を言い、今度は避けられてもいいようにミットを打者の後ろに構える。
「ちょっと君」
審判から指導が入る。
まあこれからわざとボール当てますよって宣言してるようなもんだからね。
渋々キャッチャーミットを中央にするも、目は死んでいない。作戦は続行だ。
濁りのない瞳がデッドボールを投げろと訴えかける。
遥も躊躇うことはしない。相手のボディ目掛けてボールを放る。
しかしまあそれもあっさり避けられる。
まあどう考えてもデッドボールぶん投げてくるもんね?ボールカウント2だ。
「君達わざとじゃないだろうね?」
「すみません。ピッチャーの調子悪いみたいなんでタイムお願いします」
審判の疑惑の目に彼方は言い訳をしてタイムを取る。
白々しいぞお前。
内野陣が集まり、作戦会議が始まる。
「参ったな。当てられないのは想定してなかった」
「僕や橋花さんが入れば女の子の春瀬さんより多少は速くなると思うけど、この感じじゃきっと避けられるよね」
「つーか予測されてるのがダメなんじゃねえか?しばらく普通に投げて不意を突くってのはどうよ」
「残念だけど、投げた感覚だとそんなレベルじゃないように感じたわ」
普段まともな一ノ瀬師匠まで混ざって大真面目にデッドボール当てる方法を議論している。
何の集団だよこれ。
「やはり鬼宮か。鬼宮、どうにかいけないか?」
「悪いが、宮っち以外の人間と夫婦になる気はないし、宮っちがキャッチャーなら私は本気で投げることはできない。危ないからな」
ブレないなこの人。少しはブレろよ。
ん?というか宮っち以外の人間とって言った?
「じゃあ無機物なら……」
―――
私の余計な一言のせいで屑鉄野はライトからキャッチャーになった。
元キャッチャーの彼方は何故か橋花さんと一緒にショートに入って、彼方、遥、橋花さんの3枚看板で二遊間を守っている。
いっそMIHARUさんも連れてこいよ。寂しそうな目でこっち見てんだよ。




