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第2話 守備ポジションをチューニング

いよいよプレイボール。

と、言いたいところだが、その前に少しだけ守備練習をする時間があった。


特に練習することはないが、私達は一応それぞれ即席で決めたポジションにつく。

ピッチャーが鬼宮さん。キャッチャーが彼方。


ファースト、セカンド、サードは私、遥、一ノ瀬師匠。ショートに橋花さん。

ライトに屑鉄野。センターがMIHARUさん。チアガールが小宮さん。


チアガール?


「彼方!ちょっと彼方!」


「なんだあさひ」


「なんで小宮さん応援なのよ!ただでさえメンバーいないのに!MIHARUさん広い外野で1人ぼっちじゃない!」


「ああ、それは簡単なことだ。小宮が外野でウロチョロするより鬼宮を応援してもらったほうが総合的にプラスとなる」


「んなわけあるか!」


「私からも少しいいか」


私と彼方が小宮さんについて話していると、渦中の鬼宮さんが声を掛けてきた。


「ああ、なんだ?」


「チアガールをしてもらうとのことだが、宮っちにフリフリとしたミニスカートなど履かせるなよ。宮っちに恥ずかしい思いをさせたら殺す。いやらしい目で見たものも殺す」


今日一番の気迫だった。

確かに応援に回ってもらったほうが力が出そうだ。


「あ、ああ、相談はそれだけか?」


気圧されてんじゃねえよ。


「もうひとつ。ピッチャーとキャッチャーは夫婦と呼ばれることがあるそうだな」


「そうなのかあさひ?」


「え、うん。まあそう呼ぶ事もあるわね」


「私は宮っち以外と夫婦になる気はない。ポジションチェンジを要求する」


何言ってんの鬼宮さん。


「はあ、まあいいだろう。じゃあ小宮をキャッチャーに」


「ダメだ。宮っちに私の球は受けきれない。私がキャッチャーで宮っちがピッチャーだ」


「それ鬼宮さんのパワーでデッドボールにするって作戦から思いっきり外れない?」


「まあ本題はデッドボールではなくその後の乱闘だからな。極論当たればそれでいい。今連れてくる」


彼方はベンチで休む小宮さんに声をかけ、戻ってきた。

鬼宮さんがキャッチャーのポジションに着き、小宮さんの投球練習が始まる。


「いくよ宮っちー!それー!」


小柄な小宮さんの腕から放たれた球はきれいな弧を描き、中ほどでポテポテとバウンドし、転がって鬼宮さんのキャッチャーミットに収まった。


「ナイスピッチングだ宮っち」

「ナイスピッチングじゃないよ!?」


小宮さんに甘いにしたって限度があるよ鬼宮さん。


「流石にダメだな。ポジションチェンジ。俺がキャッチャーやるから遥、ピッチャー頼めるか」


「了解よ彼方」


彼方は小宮をベンチに追い返し、さらなるポジションチェンジとなった。

キャッチャーは彼方、ピッチャーは遥、鬼宮さんは遥の代わりにセカンドに入った。


「仕方ない。夫婦になる権利は遥に譲ろう」


「ふ、夫婦!?彼方と私が!?い、いやその……そういうのはまだやっぱり早いというか、そもそも彼方には神無月家としての活動が」


「遥、そういうのいいから投球練習してくれ」


彼方に言われ正気に戻った遥は、投球練習に移った。

久々に見たけど彼方のこういうとこやっぱり嫌いだ。


遥の球はそこまで速い感じはしないが、しっかりとミットに収まっている。

しかし守備練習の時間なかったらヤバかったな。そう思う私に、相手チームの選手が声を掛けてきた。


「あの、ちょっといいですか?」


「はい、なんですか?」


「芝生が傷むのでグラウンドに変なモノ刺すのやめてくれますか?」


「変なモノ?」


指差す先を見ると、ライトに立つ屑鉄野があった。

結果、屑鉄野は寝かせて運用することとなった。

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