第1話 集結!神無月家の戦士達!
試合当日、グラウンドにいたのは私、彼方、一ノ瀬師匠、小宮さん、鬼宮さんの5人だった。
「彼方、人数足りてないんだけど」
「今遥が連れてきている。心配するな」
遥も入れて6人。
優子も最近神無月家でバイトを始めたが、妖と直接対峙する役割ではない。
つまりはこれから初対面の人間3人と出会うわけだ。
「お、来たな」
彼方の視線の先を見ると、身なりはきちんとしているものの、どことなく族っぽい風貌の男がやってきた。
大分貫禄あるけど本当に高校生かなこれ?
「神無月家が世話になってるバイク店の店長、橋花さんだ」
「橋花バイク店の店長橋花透だ。よろしくな嬢ちゃん」
「あ、はい。よろしくお願いします」
「橋花さん。今日はよろしくお願いします」
「おう一ノ瀬。お前もバイク興味ないか?」
「いつも言ってるけど僕は興味ないですよ」
私に続いて一ノ瀬師匠が挨拶をする。
知り合いなんだ。
「あの、失礼なんですがご年齢は」
「20だな」
「彼方、高校生じゃないんだけど」
見た目よりは大分若かったが、普通にオーバーしている。
一応留年してるなら可能性はあるが、そんな感じでもない。
「高校生に近いって言ってるだろ。高校生って言い張れる範囲ならそれでいい。もう1人22歳いるからな」
高校生の助っ人1人だけじゃない。
まあいいけどさ。
「お、噂をしたら来たな。22歳のやつだ」
私は目を疑った。
そこにいたのはダウナーな雰囲気で今人気急上昇中の女性新人ロックシンガー、MIHARUだった。
「えっ、ちょ、えっ!?MIHARUさん!?」
「よ、彼方。野球やったことなんてないけど、大丈夫?」
「問題ない。やったことあるやつ相手チームにしかいないからな」
「いやバレるだろ!年齢公開して活動してるアーティスト来たら高校生じゃないってバレるだろ!」
「まあその辺は問題ないさ」
「あー、大丈夫大丈夫。今日の私はMIHARUじゃないから。そっくりさんのミハイル」
「無理がありますよ!MIHARUさん!」
「ふぅ、その元気は試合に取っておきなよ」
そう言ってMIHARUは裏に荷物を起きに行った。
「……私ファンなんだよね。あとでサインもらいに行っていいかな?『天使が消えた日』とか歌ってもらえないかな」
「あさひ、トラブル防止のために民間協力者間の交流は禁止されてる。それこそ今のお前みたいなの防ぐためにな」
「うっ……」
痛いところを突かれて怯む私、そこに遥がリアカーを引いてやって来た。
「連れてきたわよ彼方」
最後のメンバーの顔を見るためリアカーを覗き込む。
「……彼方、なにこれ?」
「最後のメンバー屑鉄野案山子くんだ」
そこには屑鉄を適当につなぎ合わせて作られ、帽子とグローブを付けられたかかし人形があった。
「屑鉄野案山子っていうかこれ、くず鉄のかかしじゃねえか!」
「メンバー足りなかったんだから仕方ないだろ」
「最低限人間連れてこいよ!」
「よし、揃ったところでポジションとか決めるぞ。集まれ」
「聞けよ!」
私の言葉は無視され、ポジション決めの時間となるのだった。
「よし、じゃあポジション決めるぞまずピッチャーが鬼宮、キャッチャーが俺。ライトには屑鉄野に入ってもらう」
入ってもらうっていうか置物だろあれ。
まあもう言ってても仕方ない。私のポジションはどこだろう。
「あとは決めてない。適当に入ってくれ」
「決めてない!?作戦考えるとか言ってたよね彼方!?」
「ああ、作戦を先に伝えるべきだったな」
作戦って言ったって、かかしが立っててポジションがどうでもいいと来ているんだ。もう試合自体がどうでもいいとしか思えない。
「相手にデッドボールをぶつけて乱闘になったところをボコボコにする。乱闘の時は相手選手より先に審判を狙えよ」
試合どうでもいいわこれ。




