振り返り(彼方視点)
6月の終わり頃。
俺はエアコンの効いた部屋で遥の報告書に目を通す。
遥が高校に転入してから、ドラキュラ伯爵を倒すまでの一連の話だ。
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初日に田中あさひ、小宮花梨、鬼宮柚子の民間協力者3名と接触。その際、吉井優子の尾行に気付かず会談現場を目撃され、吉井優子は春瀬遥の情報収集用の仮想人格と本来の性格の差異から不信感を募らせてしまう。この件は警戒心の足りない私のミスである。
吉井優子はその正義感から春瀬遥への対立を開始、数日に及ぶ対立の果て、私が点検していた学校の結界を守る御札を剥がしてしまう。彼女は私への猜疑心から結界の御札を呪いの御札と勘違いしたことに起因している。御札の判別は一般人には不可能であり、剥がしてしまったのも無理からぬことである。
結界が破れた隙を付き、ドラキュラ伯爵が学校内に侵入。人質を取り田中あさひの命を狙うも、田中あさひと神無月家狙撃部隊の連携により撃破される。
今回の一件からリスクとリターンが釣り合わないと判断し、今後は仮想人格を使用した情報収集を凍結する。
なお、吉井優子の結界破りに関しては既に誤解は解けており、本人の反省もあり再犯率はきわめて低いものと思われる。人道的な観点からも彼女の処分に関しては寛大な処置を求めるものとする。
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「…………お前のほうも大概甘くないか遥」
とはいえ俺も異論があるわけではない。優子のことはお咎め無しにして、俺は次の報告書に目を通すことにした。
外ではいつの間にやら、セミが鳴くようになっていた。




