幕間 『貝殻拾い』
海坊主の作戦で大失敗した少しあとのこと。
私はいつものようにヒカリの家に来ていた。
ただ普段と違うことがひとつだけある。ギャーギャーと騒ぐ余裕もないことだ。
一歩間違えば、もしかしたら海坊主がこのあたりまで来て、ヒカリやお母さんまで……。
「……あさひちゃん。どうしたの?」
「なんでもないよ」
「なんでもなくないよ。最近のあさひちゃん。明らかに元気ない」
やっぱりよく見てるな。と感心してしまう。
海坊主のことは流石に言えなかったけど、私は海で大きな失敗をしたことを話した。
―――
そして次の休みの日、私とヒカリは以前海坊主が出た海に来ていた。
どこで失敗したのか聞かれた時、私は素直に海だと答えた。すると何故かヒカリは私のことを海に連れ出した。
「あのさヒカリ。この前言った通り私、海で失敗したんだよね。なんで海に連れてきたの?」
「あさひちゃん。あさひちゃんはちゃんと反省したんだよね?」
私はヒカリに言われ、水平線を見て、海坊主が走っていった方向を見る。
あそこに遥がいなかったらと思うと、今でも恐ろしい。
あんなことを経験して、私はもうこの力を過信はしないつもりだ。
「うん。反省したよ。二度と同じミスはしない」
「じゃあ、遊ぼうよ。楽しい思い出で嫌なこと塗りつぶしちゃおう」
ヒカリの言葉に私は納得する。ああ、そうか。ヒカリは私の嫌な記憶、塗りつぶすためにここに来たんだ。
「そうね。じゃあ、何して遊ぶ?水着持ってきてないけど」
「あ。えーっと、下着って水着と同じ形してるからそれで」
「やめなさい」
私がヒカリの頭を軽くはたくと、ヒカリは「あうっ」と声をあげる。
ツッコミ入れなかったら本気で脱ぎそうだから怖い。
「えへへ、じゃあ、貝殻集めようよ!おうちに持って帰ってアクセサリー作ろう!」
「子供っぽいわね」
「嫌なの?」
「……嫌じゃないわよ」
私はヒカリと一緒に貝殻を集め、不格好なネックレスを作った。
どこかに着けていったりとかは流石にしないけど、大事にしまっておくことにした。
……流石にヒカリも外に着けていったりしないよね?




