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幕間 『ブラックコーヒー』
「よう、おつかれ」
ドラキュラ伯爵を倒して全てが終わったあと。ようやっと彼方が顔を出した。
「……遥帰っちゃったわよ」
「いいんだよ、お前を労いたいんだから」
そう言って彼方が投げ渡してきたのは缶に入ったブラックコーヒー。
彼方の手にももう一本ある。
「私コーヒー飲めないんだけど」
「俺もブラックは無理だな」
「じゃあ2本とも遥に飲んでもらう?」
「いや、俺が飲むさ」
「は?」
そう言うと彼方は手に持っている缶コーヒーのプルタブを起こして口を付ける。
ゴクッと喉を鳴らしてブハッとむせる。あらかじめ吐き出すのをわかっていたのかこちらに飛沫は飛んでこなかった。
「……わけわかんないんだけど。妖に取り憑かれてたりする?一発殴っていい?」
「仮に取り憑かれてるとしても聖水くらいにしてくれ。儀式みたいなもんだよ。いつかは飲めるようになりたいってだけの。妖に関係ない俺個人の儀式だ」
「ふーん……」
私は彼方の真似をして缶コーヒーのプルタブを起こし、一気に口に含んだ。
「ブボォ!?」
「……何やってんだお前」
「あんたに言われたくないわよ……」
なんだかバカバカしくなって、私は適当に水飲み場で口の中を洗って帰った。




