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幕間 『命がけの挑発』(遥視点)

学校の中に逃げ込んだ私は、持っている御札を1枚だけ持って、残りの全て人質達に託す。


「あさひの前ではああは言ったけどさ。悪いけどこれで自分達でなんとかして。大丈夫。これだけあればあさひが帰って来るまでくらいなら安全だから」


私には、まだやるべきことが残っている。きっと言えばあさひは残ると言っただろう。

ドラキュラ伯爵は逃げればまた何をしてくるか分かったものではない。

ここで仕留めるために今あいつを逃してはいけない。


そうして私は再び運動場に出る。

そこには飛び立って逃げようとするドラキュラ伯爵がいた。


「貴様、何をしに出てきた」


「コケにしに」


「フフフ……フフフフフフフフフ……いいだろう。貴様の首だけでも土産に持って帰るとしよう!」


ドラキュラ伯爵は猛スピードでこちらに突っ込んでくる。

私は寸前のところでそれを避ける。


「アハハ。吸血鬼はスピード自慢って聞いてたけど、思ったより大したことないんだ」


焦る気持ちを顔に出すな。怯えた表情を顔に出すな。

あくまでも、余裕でなめ腐った顔をしろ。


必死になるな、悟られるぞ。油断を見せるな、見抜かれるぞ。

今この瞬間、ただ諦めが悪い戦士のように演じ続けろ。


「貴様ぁ!」


大振りな攻撃を避け続けると、相手も次第にコンパクトな攻撃へと形を変えていく。それでも一発でも食らえば致命傷になりかねない。そろそろ潮時だ。


私はドラキュラ伯爵に御札を貼り付け、校舎に向かって走り去る。

御札がほんの数秒間、ドラキュラ伯爵の動きを封じる。


「くっ、貴様あ!」


「怒ると貴様しか言えないのか、バーカ」


私が校舎に入る時、あさひが走って帰ってくるところが見えた。

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