第 7 話
ツー ツー ツー
通話が切れたまま、固まっていた。
また、小さな女の子の声。
理解が追い付かない。
今度は……?
捕まえる……?
自分の浅い息遣いが聞こえてきて、やっと――
――自分が、首を庇っているのに気付いた。
――形容できない不安。
怖い……でも考えないと。
伊藤くんは、『メリーさん』だと言っていた。
でもアレって、「今どこどこにいるの」ってヤツじゃなかったっけ?
あの電話の声は……まるで、かくれんぼでもしてるみたいだった。
彼は一体、何に呪われたの?
……待って。
私、彼がいつ呪われたのか知らない。
昨日は連絡がなかった。
その前は、あの女性を異界へ帰すために……あ。
――学校。
女の子と、かくれんぼ。
『今度は』――私を知ってる。
繋がる。
嫌だ……でも、『花子さん』しかいない。
私は……どうすればいい!?
前のときは、伊藤の手帳に救われた。
でも、今の伊藤くんは……信用できる?
――蘇る、赤い靴……上からの、声。
――『かくれんぼにする?』
『アレ』が来ちゃう!怖い怖い怖い!
震える指で、慌てて押す発信ボタン。
――会わなくていい……お願い繋がって!
――通話が繋がる。
「……まさか、楠さんに着信が?」
「そうなの!」
「分かった。通話を切らないで。落ち着いて話して」
「うん……アレは『花子さん』だよ。私を知ってた」
「あの子が!?マズ――」
ゴトッ……硬い衝撃音。
「伊藤くん!?返事して!」
何が起きたの……?
---
「通話を切らないで。落ち着いて話して」
――これで着信は防げるはず。
僕が、彼女を助けてあげるんだ。
「うん……アレは『花子さん』だよ。私を知ってた」
「あの子が!?マズ――」
手からスマホが……否、僕が消えた。
「お兄さん、また会えたね」
――嗤う少女。
暗く湿った、『あの時』のトイレ。
もう……帰れない。




