第 6 話
「……あれで良かったのかな」
家に帰り、独りぼやく。
薄暗い部屋の灯りをつけた。
――『戻ってくる系』、ではないようだ。
スマホが震える。誰だろう?
知らない番号……仕事関係か?
「私……今、交番にいるの」
マズい!
反射的に電話を切った。
人形と電話……
あの少女は、『メリーさん』だったのか。
――どうしよう。
背後まで来たら終わりだ。
スマホが震える……出ないと。
出なくてもマズいんだ。
どうにかしないと……!
彼女なら?いや、ダメだろ。
あぁでも――
---
――仕事帰り、マンションの前に伊藤くんがいた。
……電話してる?
伊藤くんは私に気付くと、青褪めた顔で近付いてきた。
「楠さん……助けて……」
震える手で、スマホを差し出してくる。
電話に出ろってこと?
「……もしもし?」
「みぃつけた」
通話は勝手に切れた。
「何だったの……?」
スマホを伊藤くんに返すと、彼は驚きの表情で受け取った。
「……なんとも、ない……!
ありがとう!本当に、ありがとう!」
一転してこの喜びよう……凄く怪しい。
――そのまま、カフェに連行した。
「さっきのは何?」
伊藤くんはここに来るまで目が泳いでいたが、今ではニコニコだ。
「僕は、『メリーさん』に呪われてた。
……あれから電話がない。
楠さんのお陰だよ。本当にありがとう」
説明になってなかった。
結局、伊藤くんに夕食まで奢ってもらったが、また私の『七不思議の呪い』を当てにしたってことくらいしか分かっていない。
――本格的に距離を置こう。
そう決意し、帰宅した直後。
スマホが鳴った。未登録だ。
「……もしもし」
「今度は、捕まえるね」




