第82話 ライアン侯爵の部隊
朝起きてから、準備運動をして、屋敷の周囲を5周ランニング。
最近、警備の2人から第三科目『武器の取り扱いと魔法』の技能指導を受けているが、こればかりは俺の体が成長するのを待たなければ合格ラインには至らないだろう。
部屋に戻ってシャワーを浴びる。
「エミリー!」
「はい」
既に部屋には牛乳があった。
『ゴクゴク』
本当は冷えた牛乳を一気飲みして、体を冷やしたい所だが、仕方ない。
陶器のカップを返して、服を着る。
「エミリー、こっちに来て」
「あ、はい」
近くに来たエミリーを、エプロンの上から抱き締める。
「あっ…」
「ごめん、しばらくこうしていたい…」
「は、はい…」
エミリーの服からは石鹸の匂いがかすかにするのだ。
落ち着いた所で、エミリーを解放して机に向かう。
爺さんに簡単なメモを用意した。
『マーカスの書には、攻撃魔法の魔法陣について解説が書かれていました。明日、学園は休みなのでスクロールが使える人物を交えて説明をしたいと思います』
「1階に下りようか?」
「はい!」
食堂に着くと、私が最後だった。
「おはようございます」
「おはよう」
「おはようございます、アキュラさま」
メモをお爺さんに渡し席に付くと、そこには既に朝食が置かれていた。
「では、頂こうか…」
ライアン爺さんは、メモを見てから俺の方に向かって頷いた。
了解した、という意味だろう。
朝食が済むと、いつものようにノートを持って、学園へ向かう。
日に日に屋敷の拡張工事が進んでいる。
明日は週末で学園は休みだから、ゆっくりできるかな…。
登校して、入出門ゲートに学生カードを当てる。
学生カードには『1A教室-連邦国の地理と歴史』と表示されている。
1学期に貴族法を学んだ教室だ。
いつもの2列目、窓側の席で授業を受ける。
アドラン連邦国は建国して360年。
大陸の中央にそびえるフット連山に当たる風は、季節によって向きが変わる。
夏は大陸南東方向から風が吹き、西方のソフィア皇国北部に砂嵐が吹き荒れる。
そのため、ソフィア皇国~連邦国間の砂漠道は全く使えない時期だ。
冬は大陸北東方向から風が吹き、西方のソフィア皇国南部に砂嵐が吹き荒れる。
そのため、ソフィア皇国~帝国間の砂漠道は全く使えない時期になる。
フット連山は東側では南方向に曲がっていくので、リモージュ王国は夏も冬も雨が降る。
一方、帝国とは一部の漁民が交易をしているようだが、帝国の情報はほぼ入って来ていない。
測量技術が未発達ながら、連邦国の南部エリアは幅900㎞、北部エリアの境界まで400㎞と言われている。
つまり、幅が東京~大阪間の2倍もあるのだから、王国の国境までは1300㎞あると言われても不思議ではない。
実はこの大まかな距離は、母であるシャーロット・ゴーティエが連邦国に来た際に測量したものらしい。
王国内で運送業を手広く営む子爵家だけあって、運賃に直結する基礎データとして、測ったらしい。
南部エリアの900×400という面積は、北部も同じで、東西は400×900と縦長の領地になっている。
母の測量の正確さはともかく、南部、東部の2つのエリアは、フット連山からの河川のお蔭で、農業用水には困る事はない。
北部エリアは北海沿岸のセイウチ漁で生計を立てているのだが、中央以南の平野部の産業が未発達で経済的には1番出遅れていると言える。
南部エリアは、農業用水とダンジョンからの資源により、最も経済的に発展しているが、20年前の魔物あふれによって、壊滅していたかも知れないという事を考えれば『恵まれている』とは、単純に言えない。
安定しているのは、リモージュ王国との交易によって発展している東部エリアだけと言えるだろう。
鐘が鳴って、連邦国の地理が終わった。
次は『1D教室-ギルドとダンジョン』
思った通り、D教室からぞろぞろと王都の冒険者ギルドにやってきた。
学生カードを提出して、全員、冒険者ギルドに登録がされて、2階の会議室で講義を受けた。
冒険者といっても、ダンジョン攻略だけが仕事ではない。
薬草を採集して薬を調合したり、解毒薬の作成もある。
薬の調合にせよ、攻略にせよ、まだ学習を始めたばかりでどちらもできない。
今日は、ギルド登録と、ルールの理解だけで終わった。
外で食事をさせると大人だけに、酒を飲む奴も出て来るので、D教室に戻ってから解散となった。
屋敷に戻ると、ライアン侯爵の昔の仲間たちが引っ越して来ていた。
ローガンは、ライアン侯爵の後輩で魔法戦闘も近接戦闘もできるが、既に50歳。
ゾーイは、ローガンの妻で35歳の一般人だ。
ギャニオンは、ダンジョン攻略に夢中になっていた30代の頃の知り合いで魔物に詳しい。
ライラは、ギャニオンの妻で40代の頃からの知り合いで薬師。魔物にも詳しい。
警備隊の若い2人に続く2組の夫婦が住宅に住み付いた。
その後に来たのが、レオ、ルカ、ノアの孤児院時代からの3人組。
盗賊に育てられてスリをしていたところをライアン侯爵に助けられたらしい。
3人で一つの家に住むという事で、無茶苦茶はしゃいでいる。
ライアン侯爵は、みんなを食堂に集め挨拶をするようだ。
「諸君!よく来てくれた。ここにおるのがわしの孫、アキュラだ」
「アキュラです、よろしくお願いします!」
『パチパチパチ』
驚きと喜びが混じった表情で、みんなが拍手をしてくれた。
「アキュラをわしの事業の後継者にしたいのだが、アキュラには信頼のできる部下がおらん。そこでお前達に来てもらったのだ。どうだろうか?アキュラを主だと思って、支えてやってはくれぬか!」
「おお~ そういうことなら任してくれ!」
『パチ!パチ!パチ!パチ!』
「よし!ではローガン! お前にはこの屋敷の部隊の寮長をまかせたい!」
「へい!」
「アキュラは30人が寝泊まりできる宿舎、寮を建ててくれ! どんな部屋が要るかはローガンと相談してくれ」
「はい」
「ギャニオンには、屋敷の部隊のメンバー集めと訓練を頼みたい!」
「おぉ~ 」
「そうだな~ まずは5人組の小隊が6つというところだな」
「了解!」
(警備隊を含めると寮は2棟要るな…)
新しく屋敷に来た者たちは、身の回りの品を揃えるためと、夕食を取りに王都中心部へ行った。
私達もなごやかに夕食が終わり、自室に戻ってきた。
「エミリー、シャワーを浴びるよ」
「はい」
前回同様、脱衣スペースで服を脱いで籠に入れ、浴室に入る。
今夜は呼ばなくても、エミリーが脱衣スペースで服を脱いでいるだろう音がする。
立ったままシャワーの栓を開き、頭から湯を浴びる。
いつものぬるぬる液で頭を洗い、入ってきたエミリーにも同じく頭にぬるぬる液を掛けた。
お互いに頭を洗い、泡で目を開けられない状態のまま、手探りでシャワーの栓を開けた。
自分の頭も、エミリーの頭も、ともに泡を手で流して、目を開けた。
するとエミリーはさっと手で胸を隠し、風呂椅子に座った。
俺も彼女の背中に向いて、風呂椅子に座り、今度は手ぬぐいに石鹸を付けて洗う。
前回同様に、彼女を背中から抱き締めて、乳房を手のひらで覆う。
人差し指と中指で乳首を軽く挟みながら、乳房の弾力を味わう。
「あ、あぅ~ あんまり揉んじゃだめです…」
俺もハウスメーカーの事業で収入も安定するだろうから、エミリーともそういう関係を持っても良い頃かも知れない…。




