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孤独の人  作者: 神の恵み
現代編
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第47話 実はポンコツ


「そういえば石山くん、あなた高橋ホールディングスの役員なの?」


「どうして理事長がそれを知っているんですか?」


「やっぱり! 私の知り合いが高橋ホールディングスでの面接ではじかれて、うちの学園で雇ってもらえないかと相談されたのよ」

「もちろん、その気はなかったけど、その話の中で、この学園に通う中学生の坊ちゃんが責任者だと、後輩から聞いたそうよ」



世間せけんは、広いようで狭いですね…」


「あんた、本当に年寄りみたいな事を言うわね…」


「恐らくその人はシステム開発の課長だった人ですね…だったら、いっその事、その人を雇って、この学園の保安業務を改革しますか?」


「どういう事?」


現状、警備保障会社は人員不足で困っている所が多いと聞く。

工事現場など、交通誘導警備員は条例などもあり人間が対応しなければならない。


だが、1号警備業である施設・住宅警備の場合には、監視センサーや防犯カメラなどの機械で警備する事で、省力化が可能だ。


但し、警備業法には25分ルールという規定がある。

(地域によっては30分以内)

異常を知らせるセンサーが発報はっぽうされてから25分以内で現場に到着するように、と定められている。


実際には努力義務であり、違反をしても刑事罰や過料かりょうなどの法的制裁は受けないが、あまりにも到着時間が遅い場合は悪質とみなされ、行政処分や社名の公開などが行われる。

そのために、待機室に警備員を常駐させる場合があるのだ。



「総務部は前田理事の支配下ですが、保安課は理事長の部下でしょう?」


「いいえ、保安課の主任だけよ。あとは派遣してもらっているのよ」


「とりあえず、その保安課の仕事を高橋警備保障に委託しましょう」


「えっ?」


「だって、人員不足で夜間の巡回警備も出来てないんでしょう?」


「それはそうね…」


「暴漢が学園に来た時を考えれば、登下校の時間と放課後までは人がいないと対応できませんから、それは人間で対応する事にして…」



高橋会長には、長栄学園の警備業務を請け負う事の報告と、田中理事長の友人であるシステム開発の人員を学園専属として雇用する条件について話し合った。


理事長からは、その郷田ごうだという人物に高橋警備保障で長栄学園専属として雇用する旨、連絡を入れてもらい、後日、高橋HCで面接の運びとなった。



それから俺は忙しかった。

昔に作った多くの電子工作品の山を分類し、追加作成もした。

特に数が要るのが通過センサーで、8mが最大検知距離だから、各通路に設置予定。

次に赤外線センサーだ。

これを人感センサーとして使う。



郷田ごうださんには、前職と同じ課長職とし、警備員としての研修を受けてもらった。

それから後、学園の夜間警備と称して、中等部と高等部の建物に、通過センサーを設置してもらう。

課長職は管理職であり、労働組合には属さないし、時間給ではなく固定の『報酬』という形の賃金体系である。

従って、残業代も夜間手当も必要ないからこそ、元課長をそのまま雇用したのだ。


そして、それらセンサーからの信号を待機室へ集め、位置情報をモニター表示するとともに、高橋HCにもインターネット回線を使って送信させる。


このシステムソフトを組んでもらう。

それが郷田課長のミッションだ。


通過センサーと人感センサー、そしてそれらに連動して動作する小型無線カメラを購入する費用は、理事長に請求する事になっている。




7月になり、英検準2級の二次試験を受けた。

そして、学園の期末テスト。

どちらも意外と順調だった。



夏休みになったのだが…。


朝からシステム担当1係(会計データ)とのミーティングだった。

まずは、関係会社のビルメンテナンス会社、設備機器会社、警備会社によって、出張日当などの諸手当が異なる事が判明した。


警備保障の業務は、基本的に現場に出向くため、出張扱いにはならない。

その代わり、毎日、交通費の清算が必要になる。


メンテナンス会社は設備の補修に出張する必要があって、出張や宿泊手当が支給される。


設備機器会社では、機器の販売だけでなく、電気通信設備の設計、敷設工事なども一部、担当していて、長期の出張もある。


元が違う会社だったのだから、違いはあるだろうが、そう言った細かな金額などは、服務規則には記載しておらず、細則として別紙で発行されていたために分からなかったのだろう。


「大差はないから中間に合わせようか…」



その後は、システム担当2係(設備メンテ)とのミーティング。


具体的な自己診断の方法について聞かれたので、予測方法について説明した。

経時けいじ劣化れっかの状況把握はあくである。


回転系設備では、摩耗という劣化によって故障が発生しているのだから、稼働時間と故障内容を過去の修理伝票のデータを集計して、故障発生の予測をする。


「それが…手書き伝票しかなくて…」


「えっ? データ化されてないの?」


「はい」


思わず高橋会長の顔を見た。


「あ~ いや、細かい事は現場まかせでな……すまん」



「センサーとしては、ポンプやモーターなどは通電時間、及び異常な振動を検知するものだね」


パッキンなどは8万時間などの交換サイクルが規定されているはずだけど…。


「とにかく、過去の作業内容を全てデータ化しよう。その中で、交換対応する事になった現象毎にピックアップしましょう。入力作業は外注してもいい」


「分かりました」



実態は、とんだポンコツ経営だ。


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