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孤独の人  作者: 神の恵み
現代編
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第46話 英検準2級


高橋会長には、パート秘書は高校生になってからと回答をしたが、いずれにせよ、会社の経営には、リックトレードと同じく、システムのソフトが重要になる。


Netニュースで、コンビニ業界の5位が吸収合併されるとの報道があったので、放りだされる人材を拾って、社内に情報処理が主力の業務システム部門がほしいと言っておいた。



2週間後、面接の用意が出来たと会長からLINEで連絡が入った。

会長の言葉使いが友達みたいで、なんか変な感じがする…


『あきら、相手にも連絡をしたし、広告も打ったぞ』


『結構、応募が来たぞ』


『いつ、面接の用意をする?』



『昼間は学校に携帯を持ち込めないので、午後4時以降に連絡を』


『水曜日に学校を休みますから、その時で』



『履歴書を見に来い』



という訳で、学校帰りに会長宅の事務室に寄って、履歴書を確認した。

今回採用したいのは、例のコンビニのシステムチームのメンバーだ。

と言うのも、直前までシステムの開発、改修などの仕事に携わってきた現職チームだからだ。


課長だった人はパス。

係長だった人を午前に面接して、2名を採用とした。


1係のミッションは、グループ会社の会計データを本部HCで比較、分析できるようにする経理システムを作る事。


2係のミッションは、ビル設備の稼働状況を見える化して、自己診断できるようにする事。

水道系、照明系、通信系、電源系の各設備点検項目をチェックして、データ化する。

そして、それをセンサーで自動検知できるようにしていく。


つまり、経理の1係と、設備点検保守の2係を作りたい。


そのため平社員の履歴書を並べて、暫定部下4名を係長に選ばせた。

昼休憩をはさんで、候補者との面接を、彼らも参加して行った。


だが、中には有力なメンバーが応募してきていないとの事。

その彼らに係長から直接連絡を取らせて、翌週水曜に2回目の面接を実施した。


そして、1係と2係の外形ができた。

システムの稼働は1年後を目途めどに、動き出したシステム担当。


どちらのチームも、まず、現状の把握はあくからはじまる。

高橋会長直下のチームだけに、彼らの権限も強く、モチベーションは高い。

元々係長が自分で部下として選んだメンバーだけに、チームワークも良い。



ま~、どうせソフトができるまでは、何もできないからちょうどいい。


「坊ちゃん、次はいつ出社されます?」


「あ~ いや、じゃ~LINEで連絡をください」


なんか、はなはだしい誤解があるように思うのだが…。

会長のうなずきから、いいから、という意味だと解釈しておく。


「週報はどこへ提出すればいいですか?」


「あっと、じゃ~このGメールアドレスへ」


「えっ?」


「あぁ、セキュリティーの問題ね…じゃ会長のアドレスに」


秘書なら、会長のアドレスでいいはずだ。


「それと、看板はないけど、この会社は不動産も扱っているから、遠距離通勤になりそうな人は、会長に社宅の申請を出して下さい」


「わかりました。それと…」


「なんでしょう?」


「いつまでも坊ちゃん呼ばわりできませんから…」


横から会長が

「あ~ あきらの事は『高橋秘書』と呼ぶように」


あとで聞いたら、『高橋会長の秘書』という意味だそうだが、高橋家の人間と思わせた方が社内的にも良いという判断だった。


なんか、あくどい。

(この『あく』の語源は、灰汁であって悪ではない)




6月に入った。


英語塾のすすめもあり、英検準2級を受験した。

高校の中級レベルと言われていたが、俺には問題なかった。


筆記試験は75分で、リーディング・ライティングの2技能がためされる。

英作文のみ記述式で、それ以外はマーク式だった。

リスニングテストは約25分で、筆記試験に続いて実施された。


7月に二次試験があるそうだ。

二次試験は面接形式のスピーキングテストで、日本人又はネイティブスピーカーの面接委員と1対1で6分程度話すらしい。


TOEICとは違い、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングという、英語の運用に不可欠な4技能を堅実に測定する検定と言われている。



中旬になって、理事長にお昼指定で呼び出された。

先月、水曜日に2回学園を休んだ事だろうか?


いつものように、理事長と教務主任がいた。


「石山くん、お弁当を用意しておいたから、食べながら話をしましょう」


そういって、教務主任がポットのお湯でインスタント味噌汁を作ってくれた。

当りさわりのない話題から始まり、食べ終わった頃には核心的話題になった。


「実は、各所から私の所に、あなたの事で問い合わせが来ているのよ」


「はぁ?…」


「前田理事が『石山章くんの事は田中理事長が確保している。彼の事は理事長に言え』と関係各所に通知を出して、圧力を掛けてきているのよ」


「はぁ…でもそれって、どういうねらいでしょう?」


「私の想像では、私にあなたが嫌がる事をさせたいとか…」


離間策りかんさくですか…」


そう言って、寄せられている質問に答えを求められたが…


Q:進路の予定は

A:総合学科に進み、情報システム系を軸に会計とビジネス法規を選択予定。


Q:将来の職業は

A:実業家を目指しています


Q:希望の結婚相手の条件は

A:不明


「そういえば石山くん、あなた高橋ホールディングの役員なの?」


「どうして理事長がそれを知っているんですか?」


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