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孤独の人  作者: 神の恵み
現代編
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第25話 新たな刺激


解決策は簡単なもので、ペットや赤ちゃんなどに使う『見守りカメラ』と、それを映し出す激安11インチ中華タブレットを喫茶店のカウンターに置いておけばいい。


早速、遠隔操作が可能な動作検知カメラを購入して、和室の窓側の天井に設置した。

そして、オーナーに言ってカウンターに中華タブレットを立て掛ける。


「うむ。これなら普段からの防犯にもなるし、ふたりのキスシーンも見られそうだ…」


「な、なにを言ってるのよ、お爺ちゃん!」


「そ、そうだよ、そういう事がないように取り付けてるのに…」


「ははは。冗談だよ、まさか仏壇の前でそんな事するわけないからな~」


そう言えば、仏壇が目の前に有ったんだった。


「そんなの、仏壇の扉を閉めれば解決しちゃうじゃない…」


お爺さんの目が蘭にきつくなる。

蘭がやりかえしたんだな…。



とにかく、これでオーナーの許可がとれた。

夏休み、残り1週間は、午前中は蘭と一緒に勉強をして、オムレツをご馳走になり、午後は自宅で中2用の参考書に取り組む。

そして夕方から英語塾か道場の生活だった。




9月に入った。

俺の席は、最前列窓側。

1列に3人、女3人の6人、これが5列で30人。

なるほど、こいつがトップか…。


蘭は、最前列から2列目に落ちていたが、塾の講師とも相談し、定期テストの成績UPに目標を変更した。何のために塾に行くのかが明確になり、指導側にも良かっただろう。


席順が50音順から、成績順に変わって、教室内のヒエラルキーが明確になった。

清水は蘭に負けたと言っていたが、男子と女子では単純比較はできない。


「清水はどうせ有名大学志向なんだろう?」


「なぜか親父が学歴を欲しがっててね… でも、金物屋の跡取りが有名大学を出てどうするんだよ」


彼の家は商店街の中にある金物屋だけど、店舗の奥行が広くて、資産価値はどれほどのものだろうか…。


「あの家の資産価値は、かなりのものだろうな~」


「資産価値って、値段のことか?」


「ん~まあな」


「親父は、売っちまったらそれで一巻の終わりだって、良く言ってる」

「なあ、俺はどうしたらいいと思う?」


「……今はやりたい事をやればいいんじゃないか?」


「あたしもそう思う…。」




神田弁護士事務所からのメールで、色々な改革で、資金が不足しているらしく、借入するより先に、俺に出資の意向がないかと聞いてきた。


そこで第3者割当増資で新株を発行してもらい、300万円ほど出資することにした。

これで蘭が90%、俺が10%の持ち株比率になる。


これが切っ掛けで、証券会社の銀行口座も俺の名義の銀行口座に切り替えた。


「そろそろ自分の判断で物事を決めていく時期だ」


取引経験が2年になったからか、それとも父自身が再婚したからか、と思ったが、継母のお水時代からの稼ぎをどのように運用すべきかの相談も受けていて、それに対する意見でもあるようだ。


それに入籍もしてなくて、同棲ということだ。


継母も、それなりの資産は持っているらしい。

つまり、経済的に父に依存はしておらず、未だに家計は別管理にしているそうだ。

やはり子供の父親が欲しかったのではないか?とは、父自身の判断だ。



久しぶりに学園長の執務室に俺だけが呼ばれて、以前にあったPC操作事件について話があった。


鍵の貸出記録から、犯人は高等部情報課の講師である事がすぐに判明した。


教務主任の部下である英語科講師の角田先生がPC操作のアドバイスをよく受ける、この男性講師に話した事がきっかけで、この男が興味本位で操作しようと思った、という供述であった。


「Adobe Captivateを起動する事は可能ですけど、作成したプロジェクトファイルは操作ロックを掛けていましたし、EXEファイルは12月末までしか動かせないように期限付きで出力してますから、パクられて他校に流れても転用被害は最小に抑えられます」


「安全対策はしてくれていたのね…ありがとう石山くん」


「いえ、給料分の職務範囲ですから」


「それと、他の科目にも有効だと思いますか?」


「いいえ、語学教育と動画でないと説明が難しいものだけですね。見るだけの動画なら眠っちゃいますからね」


「今回の事件を受けて、あなたを高等部情報課の講師補助に任命しました。」


「あの~ つまり、アプリケーションの操作説明の動画作成という事でしょうか?」


「そうよ、それを使って講師には自習してもらいます。できない人はいらないかな…」



第1ステップは、『PCアプリケーションの操作』というテキストの基づいて動画を作る。

第2ステップは、Adobe Captivateを使って動画を作る、メイキング動画の作成。

これには素材の調整に使うAudacityやAdobe Photoshopも必要範囲で含まれる。



こりゃ、なかなかに困難な作業だ。


「あの~ 有本さんも一緒に任命してもらいたいんですけど…」


「いいわよ。じゃあ、よろしくお願いね」




ま~残暑がきびしい季節、エアコンが効いている部屋で、蘭に教えるつもりで動画作成をするから、苦にはならない。


PCの操作画面を『print screen』でキャプチャーしてAdobe Photoshopで大きさや解像度を調整して、素材にする。

あとは、前回と全く同じ。


俺と蘭のマンネリ化した会話に、新たな刺激が加わった。


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