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孤独の人  作者: 神の恵み
現代編
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第23話 マイクの逮捕


俺は元々、パソコン教室で一からパソコン操作を学習したため、必要とされるスキルは満遍なく習得できているだろう。


アプリケーションスキルはWindows操作の次に学習するもので、エクセル、ワード、パワーポイントが主だ。

その次にオプションとしてAdobe製品を学習した。


蘭のパソコンはApple製品だし、PCよりも携帯を使う人なので、多少、Windows PCを使い慣れないと、今回の操作はむつかしい。


学校の設備でApple製品を揃えている所は、まず無いだろう。


2回目のコンテンツ作成の日、2回分のレジュメがあったので、まずは蘭に画像素材の解像度や大きさの調整を担当してもらった。


Adobe Captivateでも、ドロップ操作で拡大や縮小はできるのだが、データが大きくなり、処理に時間が掛かる事と、何より画像が汚くなる。


だから、画像データは予め、Adobe Photoshopで均一な大きさに調整しておくのが良い。

その間におれは、セリフの録音をしておく。


蘭の操作が終わったら、彼女にはセリフの録音をしてもらい、俺は前回のプロジェクトデータの中身を、今回のデータに入れ替えていく。


ラフな編集画面から、レジュメを確認しながら、テキストデータと音声データを張り替えてドラフト版をテストランして、講師に確認をしてもらう。


一旦、ひな形が出来てしまえば、作成時間は大幅に短縮できるのがデジタルの良いところだ。


相手が何をしゃべっているのか、テキストを見ながら聞いて返事ができるようになれば、テキスト表示をやめて、音声だけで聞き取るようにすれば難易度はぐっと高くなる。


制御ボタン1つで、そのような出題形式の変化は簡単に実現できるので、30人全員に実施するのも簡単。


5月に12回、このような作成会を実施して、23個のコンテンツが出来上がった。


6月に入ると、蘭もアプリケーションの操作に慣れて、俺と同程度のスキルレベルになっていた。


教務主任の部下?なのか、その2人が操作を後ろから見て、時々メモをしていた。

6月は16回作成会を実施して、23個のコンテンツを作り、1クール分の作成は終わった。



一方、資産運用は、6月中旬になって日経平均が12400円まで下落した。

デイトレードは再開できる見込みは無いし、豪ドルにも動きはあまり無いため、豪ドルを売って、日経225を買った。


やはり外国為替で儲けるのはむつかしいし、個別銘柄の情報分析もむつかしい。

この調子では、貿易会社の大株主である蘭に養ってもらう事になるのだろうか…。




理事長室に完成の報告と6月分のタイムカードを提出しに行くと、打ち合わせをするからと、大きな事務机の前の応接セットに座って待つように言われた。


理事長は内線電話で教務室に連絡したようで、教務主任とその部下2人が俺たちの向かいの席に、そして理事長は大きな事務机に座ったまま、話し始めた。


「ご苦労さまでした。当初7月いっぱいまで掛かると予想していた作成会ですが、6月中に完成させていただき、感謝しています」


「今後ですが、1組に試験的に導入して効果を見ますが、内容を確認したところ、ホワイトボードに板書していた内容が大型ディスプレイに表示されるだけなので、問題はないと思いますが、その点はいかがですか?…教務主任」


「はい、プリントを併用すれば、板書時間が短縮され、ディスカッションに使える時間が増やせるでしょう」


「大型ディスプレイを見ながらのロールプレイは、今までになかった発話訓練ですね。第一に下を向いている生徒がいなくなるのは、いいと思うんだけど、その点はどう?…角田さん」


「はい。操作も大型ディスプレイのポインターでできますから、とても便利です」


「ほかに何かありますか?」


「……」


打ち合わせが終わったあと、2学期終了までは講師助手の登録はしておくから、何かあれば対応をよろしく…と言われ、学院の組織図を渡された。


そこには学院長を兼務する理事長の直下に、(臨時講師助手 石山、有田)と印刷されていた。




7月に入り、神田弁護士事務所から連絡があった。

株主代理人からの告訴に対して、裁判所はマイク・ウィルソンによるDirector就任申請に署名偽造があったと認定され、マイク・ウィルソンは逮捕された。


そして『非公開会社の場合、少なくとも取締役および秘書役1人ずつが、オーストラリアに在住していなければならない』という規定に従い、実際の業務に携わる杏子ママを取締役(Director)にする事になった。


また、名前だけの人物を秘書役にして、その給与を着服していた背任行為も判明し、神田弁護士が信頼する日系人の人に、秘書役として会計などの入力作業をお願いした。


これらの人事には、株主(Member)の書面による同意が必要であるため、蘭のところに書面が送られてきた。



杏子ママは、マイクのやさしさに心惹かれたが、主に蘭の将来のためを思ってマイクと結婚した面が大きく、元夫のリックをだましたと判明した時には、かなり落胆したようすだったらしい。


現在は、再び、貿易会社を支えるために、頑張っているそうだ。


マイクによるリック殺害容疑については、これから捜査がされるそうだが、一旦は事故死とされていた事から、証拠がみつからない限りはむつかしいだろうと、神田弁護士は話していた。


なお、杏子ママの申し出により、神田弁護士がマイクとの離婚協議の手続きを始めているが、マイクのリック殺害容疑については伝えていないそうだ。



「ちなみに、株主配当金の譲渡は、いくら申請したの?」


「えっ、今特別困ってないから、申請してないよ~」


「おいおい、俺の貸した20万円は、いつ返してくれるの?」


「あっ 忘れてた! お爺ちゃんに頼もう」


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