表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤独の人  作者: 神の恵み
現代編
PR
19/113

第19話 調査


4月中旬

円高は更に進んでいて、株価の下落傾向が続いているし、学園内では携帯が使えないのでデイトレードもできない。

そのため資産運用はしばらくお休み状態だ。


マイク・ウィルソンの貿易会社の事を調べようと名刺の会社、リックトレードカンパニーをインターネット検索すると、実在するようで概要がわかった。


リックトレード:通関業務、倉庫業(保管・梱包等)、貨物自動車運送事業、卸業

メモ欄を確認すると、蘭の父親はリック・ターナー、イングランド出身。


会社名から察するに、リックさんが立ち上げ、マイクさんを誘ったという推理が成り立つ。


ママにメールで、豪州証券取引委員会(ASIC)という政府機関に勤務する旦那さん、イーサンに調べてもらえないかを打診した。


一方、インターネットでオーストラリアの会社について調べていると、探偵業そのものは存在しているが、成果は出にくいらしい。


オーストラリアでは、正規の方法、いわゆる調査対象に対する照会請求を裁判所からもらわなければ、探偵業であっても尾行などは違法行為になるらしい。



弁護士事務所に依頼か…。


この際、豪ドルを確保しておこうと調べると円高だが、豪ドルも高いらしい。

それでも普通1$/90円ほどのはずが、4月中旬の為替かわせ相場は、1$/76円まで安くなっている。

株がだめなら為替が良いかも。


どのぐらい豪ドルが必要か分からないので、300万円ほど両替して外貨預金にしておこう。



2日後、イーサンからの回答では、ASICには確かに登録されている。

オーストラリアン・カンパニー・ナンバー(CAN)も取得し、オーストラリア事業者番号(ABN)も取得している。


取締役(Director)はリック・ターナーで12年前にマイク・ウィルソンが追加申請され、1週間後に、リック・ターナーは死亡により登録抹消されている。


イーサンの話によると、追加申請のタイミングが出来過ぎていて、申請書類の署名偽造だけでなく、ターナー氏の事故死も、殺害された可能性が否定できないという。

だが、これらの調査は弁護士でないと無理だと言う事であった。


イーサンは、弁護士に依頼して調べようか?と言って来たが、調査のためには正当な理由が必要なので、この件が俺とどのような関係にあるか、説明をしてほしいと聞かれ、弁護士の紹介だけをお願いした。


弁護士との交渉は複雑な、デリケートな内容もあるので、日本語で話ができる日系人の弁護士事務所を紹介してもらった。


神田弁護士事務所は、日本人の特性である『誠意をもって』ユーザーの業務をこなす事で評判がいい人だと、イーサンが勧めてくれた。


インターネットで、調査の概要を伝えたが、当然、正当な理由を有するのは蘭だけであり、彼女からの依頼でないとお引き受けできない。との回答であった。


申し込みには、調査対象との関係とそれを証明できるもの、身分証明などを提出しなければならない。


そこで、蘭と直接オーストラリアに渡航することを計画した。

4月末の連休に行くとして、パスポートはそれまでに取らなければならない。


夜に父の居る借家に行き、パスポートとチケットの事をお願いした。

豪州への航空機代金は連休時期が最も高く30万するかも知れない、と言うと、父は渋い顔をしていたが、継母ままははは、夕食を食べて行きませんか?と聞いてくれていた。


継母ままははという言葉は、悪女キャラの代名詞だから、印象を変えたいと本人も余計にそう思っているのかもしれない。



学園の食堂で、蘭にオーストラリアの探偵事務所に行く事を伝え、彼女に会社とのつながりを証明する書類を用意してと言うと、案の定、自分も行くと言い出した。


「でも、マイクさんの嫌疑を調べるから、杏子さんにも内緒にしないといけないし…」


「分かってるわ、でも費用ならお爺さんに頼めるし、私、パスポート持ってるのよ!」


「あっ、そうだったね」


「逆に、あきらのパスポートが間に合わなかったら、わたし一人で行くからね」


「泊まる所はどうするんだよ。俺たち中学生なんだぞ」


「あきらはどうするつもりなの?男の子でも一人じゃ泊まれないでしょ?」


「ママの所に泊まれるように、メールで頼んだんだ」


「じゃ~、その連絡先教えてね。わたし一人でも、あきらママの所へ泊まるから」



帰りに喫茶店に寄って、オーナーに今回の経緯を伝えると、航空券の手配とその他の諸経費を持つと言われたが、父に頼んであるとお断りして、蘭の分だけをお願いした。



出発の日、父も継母も祖母でさえ喫茶店に来ていた。

人には言えない目的で行くのだが、表向きは蘭の一時帰国とそのお供。


「ま~せっかく行くんだから、観光もして来い」とか


「ちゃんとご両親の了解をもらってくるのよ」とか


まるで俺が『蘭を嫁にください』とでも言うかのような勘違いをしている。


おおよそ22時に出発して約13時間のフライト。

現地時間の昼11時に到着する予定だ。


飛行機は観光シーズンなので満席だが、蘭は窓際。

とは言っても主翼があって、下は見えなかった。


機内食を食べて、しばらくすると機内の照明が消えてお休みタイムだ。

お互いに考えていた事は同じだったのか、リクライニングシートを倒して手をつないだ。


アナウンスで目が覚めた。


「おはよう」

「おはよう」


カンタス航空だけど日本語が通じる。

なのに見た目が外人なので、英語で話し掛けられてしまう。


朝食を食べてしばらくすると到着。

入国審査は俺が政府職員であるイーサンの連絡先を提示したので、すぐにOKが出た。


LINEでママから連絡があった通り、空港にはイーサンが『あきら』とひらがなで書いた紙を持って、迎えに来ていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ