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孤独の人  作者: 神の恵み
現代編
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第17話 中学入学

あきらくんは、いよいよ中学生になりました。

人との交流の機会が増えて、どのような反応をするのでしょうか…。





無事に入試試験を突破して、俺と蘭は私立の長栄学園中等部に入学した。

元々、入口は広く出口は狭いと評価されていた学校なので、入学の心配はしていなかった。


小学校に制服は無かったのだが、この中学には制服がある。

今は、その新しい制服を着て、入学式にのぞんでいる。


近代的な設備をほこる体育館のステージ上部には、日の丸と校旗が掲げられていて、その下には100インチディスプレイ4枚分の大型スクリーンがあった。


そして現在、録画であろう田中富美絵理事長の挨拶あいさつが流れている。


この私立の中高一貫校は、理事長が製薬会社の会長の娘である事から、その資産継承のためとも噂されているし、日本に学校法人が需要以上に存在している事こそが、相続税対策に使われている証拠だと言われている。


事実、バブル崩壊後にショッピングモール建設計画が頓挫し、撤退を決めた海外大手スーパーの不良資産であったこの地を買ったのは、特許収入で資金が潤沢だったこの製薬会社だ。


この学校法人が仏教系と言われるのは、設立したのが寺院だからだ。

以前から小規模に運営されていたのだが、檀家であった製薬会社会長を引き込んだ前理事長、そして、土地購入、拡張移転と発展させた現理事長へと続いている。


現理事長は、ハードウェアの改革だけでなく、経済界とのパイプも活かして、企業の求める人材を育成できるように、講師陣を企業に求め、企業も人員確保ができるWin-Winの関係も築いている。


陰では、製薬会社の会長の先見の明だと噂する者もいるが、そのおかげで校舎は新しくなり、高等部は、普通科2クラス、総合学科3クラスの合計5クラス、1学年の定員150名で就職率、進学率も決して悪くない注目校である。


俺と蘭が入学した中等部には区別はなく、1学年は5クラス。

1クラス30名、男女各15名で構成されていることから、1組の俺は15位以内、2組の蘭は30位以内という事が分かる。

そう、この学園は男女をそれぞれ成績順にクラス分けしているのだ。


授業料は年90万円程度、高等部は年100万円程度で、中高で600万円は必要になる。



さて、退屈な講師陣の挨拶も終わり、教室に移動してのHRホームルームである。


授業プログラムはH.P.(ホームページ)にPDFで掲示されており、インターネットでダウンロードもできる。

もちろん教室にも貼り出されている。

小学校とは違い土曜日にも授業がある。


ある程度予想はしていたが、教室内はまだホワイトボードであった。

100インチ大型パネルを期待していたのだが…


初日の座席は、50音順で机に貼られていた紙で知った。

ま~俺は最前列なので、問題はない。


自己紹介は、フルネームと得意科目、苦手科目が良いと担任講師は言う。

俺の得意科目は理科、苦手科目は音楽と言っておいた。

残念ながら、このクラスに知った者はいない。


尚、規則では携帯の持ち込みは原則禁止となっていて、持ち込みには許可が要る。

許可を取って持ち込んだ場合も、登校時に預け下校時に引き取る事になるそうだ。

今日はこのあと、学園内の見学と教室に戻ってからの質疑応答で終わった。


驚いたことに、蘭の両親が入学式に来ていた。

と言っても、学園の中に入る訳ではなく、校門の所で記念写真を撮るだけだ。

桜が咲くこのシーズンに日本に来たかった、とマイク・ウィルソンは訪日の理由を言う。


日本との貿易会社をしてるなら、もう少し日本語を勉強しろよ!と言いたい。

そして、こちらは正真正銘の母親、有本杏子36歳。

年齢通りの若い小柄な女性だった。


普通、入学式に来るなら着物じゃないの?とは俺の偏見か。

記念撮影が終わったあと、自宅に戻るつもりだったのだが、オリエンテーションだけで終わった今日は、このあと、蘭の自宅で話がしたいとの事。


ふと見ると、清水くんが居る。

なんと蘭と同じ2組。

本命の受験に落ちて、この学園に来たそうだ。


蘭の家族3人が先行して、清水くんと俺がすぐ後ろを歩いている。

時々マイクさんが振り向くのは、俺の話をしているからだろう。


商店街で清水と別れると、蘭が俺の横に並んで、オーナーの自宅に誘導される。

制服の腕の部分をつかまなくても、逃げたりしないのに…。

いっそ、腕を組んでくれてもいいかもしれない。

(違うか…)



この家に入るのは2回目だ。


「失礼します」


杏子ママが少しあわてて


「あっ、どうぞ、上がって下さい」


だが、だれも上座かみざに座りたがらないので、仕方なくお客さま役を引き受ける。

杏子ママは、なにか思い出したように、玄関から店へ出て行った。


俺は振り返り、仏壇の扉を開いて、心の中で『こんにちは、また来ました』と言って、お経を小声で唱えた。

マイクさんは驚いていたが、蘭は俺と並んで仏壇に手を合わせて正座していた。

なんと、器用に座布団を畳んで、その上に座っていた。



5分ほどして、読経どきょうが終わる頃、杏子ママがお茶を持って戻ってきた。

昔流にお寿司の出前を頼んだらしい。


杏子ママは、マイクと自身の事を簡単に自己紹介をして、俺の番になった。


「My name is Akira Ishiyama」

(私の名前は石山あきら)


「My father is working for economical industry department」.

(父は経済産業省の役人です)


「I am studying for becoming a businessman in the future」

(将来は、実業家を目指して勉強しています)


「I am in a relationship with her as a trusted friend.」

(彼女とは、信頼できる友人として、交際をしています)


すると、マイクさんが


「I would like you to follow some rules when it comes to associate with her」

(彼女との交際について、いくつかのルールを守ってもらいたい)


といった言葉を聞いて、蘭が反応した。


「Dad, shut up!」

(お父さんは黙っていて!)


「You have said the same thing to your classmates at school in Australia, right?」

(あなたはオーストラリアの学校でも、同じことを同級生に言ってたよね?)


「How about the result?」

(その結果どうなったの?)


「Japan has Japanese rules」

(日本には日本のルールがある)


「Don’t bother me!」

(私に干渉しないで!)


「行くよ!あきら」


そう言うと勢いよく席を立って、喫茶店に入っていく。

彼女がこんな風に怒り出したら、誰も止められない。


「おいおい、この後どうするんだよ~」


「お寿司が届いたら、お店で食べよう!」


「いや、そういう意味じゃないよ…」



この小説は、書きためた話をまとめた物です。

ですので、話のつなぎ目が難しくて、その部分ではあれこれと悩み、苦労しています。

まだ先の事ですが、途中、投稿速度が落ちることが考えられます。

あたたかく見守って頂けるとうれしいです。

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