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孤独の人  作者: 神の恵み
異世界編
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101/113

第101話 資材取引

本日は、あきらの話を5話投稿します。




国王から銀行設立の承認と、公共工事の裁可さいかは下ったのだが、本格的に街道整備を進めるにあたり、資材の安定的な入手を図る目的で、西部エリアのミラー子爵家と契約を交わすように指示された。


領域外との取引契約になるので、契約書を作成する父上と俺の2人旅になる。

ミラー子爵家は砂漠の奥のソフィア皇国との交易で稼いでいて、珍品をライアン侯爵(お爺さん)と取引をした事があり、初めての相手ではない。


だが、宮廷貴族の父ヘンリーや俺とは初の顔合わせになる。

現国王ジョンストン公爵家の仲介により、ミラー子爵は領都ニューマンから、中央平野のピーターマンまで移動していた。


中央平野では比較的大きい街のピーターマンだが、領域外貿易の契約場所としては役不足かも知れない。

街で一番の大きな宿で、会食を行い、サンドワームを買い入れる契約をしたのだが、用途についてはそれほど情報を持っていないようであった。


サンドワームの脂肪だけでも、砂と混ぜて乾燥させれば、ある程度の柔軟性を持ったゴム状にはなるのだが、さすがに馬車の車輪には耐えられない。


接着剤に加工したものはアキュラ製だけに、父上も詳細は知らないし、資材としての取引なので詳細は話せない。

長期安定供給のための取引なので、こちらも一応値引き交渉はする。


アキュラ

「その価格ではスポット取引と大差ないですね…。今後の価格変動リスクも考慮すると、最低でもスポット価格の2割引きでないと、契約書を交わす意味はないでしょう」


ミラー子爵

「あ、あの~、スポット取引とは何でしょう?」


「その時点での相場、時価という事です。安い時に買って、高い時には買わない。そんな取引ですね」


過去半年、俺が王都の市場で購入した価格をグラフ化したものを見せた。


「これが過去の取引価格です。腐るものでも無いので、安い時に買って使っているのですが、半数は提示頂いた価格よりも安いでしょう?」


サンドワームなど、俺以外はほとんど買った事は無かったので、昨年は安かったのだ。


「いや、でも運送費が掛かりますし…」


「それは無いでしょう。我が南方エリアには東西と北から各運送業者が来ていて、全ての品は運送費込みの価格。運送費別なんて聞いた事ないですよ。領外エリアからの王都便は、手紙やダンジョン産のアイテムを運ぶため、週に一度は運行しているでしょうし…」


「はぁ、よく御存知で…」


「とにかく、昨年の売買価格のグラフをもう一度見て頂いて、価格を検討して下さい。王都の事業に使用する資材なのに、国王の出身国からの提示価格が高すぎて契約できなかったなど、報告できませんよ」


「あぁ、それは困ります…え~と休憩時間を挟んで、もう一度価格を検討して提示させて頂きますので、しばらくお待ちください」


元々、魔物の素材など原価があってないようなものだ。

何とかなるだろう。


「アキュラ、お前、人が変わったように口達者になるな…」


「俺はお爺さんみたいに金持ちじゃありませんし、父上のように地位がある訳ではないですからね~、それに、素材はあくまでも素材。加工して付加価値を付けて初めて立派な金額で取り引きされるようになるものでしょう?」


「うむ。それについて異論はない」



結局、昨年の取引実績の平均価格から2割引きで今年いっぱいは取引できる事になった。

それと、今回のオプション取引である『燃える水』の取引だ。


大きなドラム缶1つに燃える水を入れて持ち帰り、いろいろと利用方法を探したいと言うと、無料で提供してくれると言う。

よほど困っているのだろう。



一方、毒ガエルの方は、隣国リモージュ王国の湿地帯に生息している。


一泊した翌朝、屋敷に戻る道中に、王家の箱馬車の中で父上に話しをしてみた。


「あの~父上、毒ガエルの方はリモージュ王国のゴーティエ子爵家との商談になると思うんですが…」


「あぁ、そうだな。あの家が対外交易を担当しているからな…。どうした、気にしてるのか?」


「落ち行かない気持ちというか…どう振る舞えば良いか分からないんです。うれしい訳でもなく、悲しい訳でもなく、母の顔を覚えてないですから…」


「覚えてない…か」


「まぁ、商談だからな。冷静にいこう」



今度の移動は、外国へ行く事になるのか…。

王都からリモージュ王国の王都までは1400㎞。

手紙でのやり取りになるのは必然であった。


シャーロット・ゴーティエ

『愛するアキュラへ。

私の事は覚えているかしら…魔物素材の取引契約の件、貴国の王都での取引金額から2割引きで契約させて頂きます。ただし、陸路では距離がありますから、1か月前までに数量を連絡下さい。通信の魔道具は王城の王太子妃の所にありますが、私の手元にある物を送ります。到着すれば、いつでもお話しができますね。』



あとは、よく分からない花の話だったり、俺の好みを聞いていたが…。


父上宛の手紙だったので、既に契約書を作って送ったらしい。


「アキュラ! 返事は書かないのか?」


「父上宛でしょう? 父上はもしかして、契約書だけ送ったの?」


「えっ?だめなのか?」


「いや、別にいいけど…」



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