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ブレイバー  作者: 佐竹歩
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新天地、不穏な始まり

『ピッ……ピピッ………』

基本的にほぼ無音の室内。 見渡す限り部屋は窓もなく周囲に取り付けられたディスプレイが光を放つだけの部屋に、謎の電子音が鳴った。

「ん……入れ。」

音の正体は、誰かが部屋に入ろうとしたときにそれを知らせるものだった。

「失礼いたします。」

静かな物音と共にドアが開き、背の高い男が入ってきた。 前回大河たちの侵入を伝えた時と同じ相手。 しかしその顔色はその時ほど良いものではなかった。

「………聞こうか。 どのような戦闘をした、 あいつは。」

「ご説明させて頂きます。 首尾よく大河大地を残り二名から引き離し、やつ、〈R〉と戦闘を繰り広げさせました。 初めは此方が順調でしたが……」

「いや、そこら辺は省略しよう。 無駄なやり取りだ。 で、結果は。」

なるべく話を先伸ばしたいと思っていたその男は、話し相手であるジェーダに迫られ、すぐにでも言わざるを得なくなった。

「結果は、此方の敗北です。 最後、大河が何かを発動……恐らく他のものと似たような技を使い、〈R〉を斬り裂きました。」

その報告を受け、ジェーダと呼ばれる男は目を丸くする。

「なに、大河が、か……。 てっきり……今は大地だったか、あいつの早撃ちに苦戦するものかと思っていたが。 しかし、火山はどうなった。 あいつに使わせたはずだが。」

「火山の活動装置、周囲の防壁装置の両方を使わせましたが、どうやら〈R〉が色々と仕組んだ様子でありました。 まず、うつ伏せで倒れていた奴の体の上に火山灰が荒らされた様子もなく降りかかっていたため、奴は戦闘中に火山灰を降らさなかったと思われます。 倒れた後に降ったなら、背中にも乗っかりますので。 確かに長い間火山灰は空中に浮遊しますのでなんとも言えませんが、恐らくそうではないかと。 実際、他の戦闘員が戦えるために防壁には火山灰を降らさないようにする装置もつけておきましたので、十分に可能性はあります。 次に、マグマですが、量もマグマの流れる速度も殺しにかかるにはあまりにも不十分でした。 まとめると、奴は自らの手で二人を倒したかったのでしょう。 そういう性格をしていましたからね。」

ジェーダがあまり怒ってないのを察したのか、男は安心しながら淡々と説明した。

「なるほどな……真っ当に戦ったら勝ち目なし、か。 現段階で岩のアーマーは此方でも上位の強さを誇っている。 しかしそれを越える力を身に付けたのであれば、これからは大河を向こうの戦力の中心と考えるべきだろう。 そういう方向で動いてくれ。」

「承知致しました……それで、ジェーダ様?」

あまりにも冷静なジェーダと呼ばれる男を見て、男は尋ねた。

「なんだ?」

「い、いえ。 あのアーマーが此方の上位だというのは私も存じ上げておりましたので、なんと言いますか……お怒りにはなられないのかと。」

男が少し怯えながらその心の中にあった気持ちを伝えると、ジェーダは逆に不適な笑みを浮かべた。

「怒り、か。 確かに今回で終わらせてくれれば楽しかったのだがな。 急ぐ必要もないだろう。 そうだな……、この国で終わるなら十分だ。 まだ慌てるべきではない。」

「そうでしたか、これは失礼を。 それでは、私はこれで。」

背の高い男は部屋から出ていった。

残ったジェーダと呼ばれる男は一人机の上においてあるノートパソコンに手を置いた。

(三人分ではなく、四人分……、多少面倒になるだけだ。 負けはない。 こちらには………くくっ、はははっ。)

周囲の暗さも相まって、液晶からの光で見えるジェーダの顔は余計に不気味に見えた。

      ◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「さて、大河、着いたぞ。」

いくら上空での移動がかなり短くなったとは言え、九州を発ったのは夜も深くなっていた頃である。 大河は移動の間に眠ってしまっていた。

「ん………っと。 なんだ、俺寝ちまったのか。 皆は?」

「皆ならとっくに荷物を泊まる場所に運んでいる最中だ。 お前の荷物も運んでくれてるんだから、後でお礼をいっとけよ。 確か、桜が運んでたかな。」

(よりにもよってあいつ、俺のことをはめやがったな。 仕方ねえ、会いに行くか……)

大河の様子を見て、宗次郎は一つ不思議に思ったことがあり、声をかけた。

「大河。」

「ん、なんだよ。」

声をかけられ、新しい建物の入り口に向かってた大河は一度歩みを止める 。

「桜となんかあったか?」

大河は今一番聞かれたくないことを聞かれ、明らかに顔に出てしまったのが大河自身にも分かったが、それでも答えは決まっていた。

「いや、なんもねえ。 ちゃんと礼はいってくるよ。」

それだけ告げてまた歩きだした大河の歩幅はいつもよりも大きかったり、小さかったりと、大河の内心がすぐに読み取れるようであった。

(あの二人は、いや、なんかあったら大河ならちゃんと伝えてくれるだろう。 私も介入しすぎてるかもな。)

新しい施設まで飛行してくれた操縦士にお礼を言った後、宗次郎はあえて大河が建物内に入ってから時間を空けて歩きだした。

      ◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「こちらA地点、周囲に異常なし。 そちらの状況を知りたい、オーバー。」

「こちらB、こちらも怪しいものはない。 Cはどうだ、オーバー。」

「Cも見当たらないな。 先程所長たちが拠点に入られた。 より厳重に確認するように、アウト。」

各自、見張っている範囲の状況確認を終わらせる。 九州で何もなかったからといってこっちで何もないわけではない。 どちらかというとこちらの方が向こうより山奥だ。 宗次郎から頼まれている捜査員の目もより鋭く光る。

(所長直々の頼みだ。 なんとしても皆さんの妨害はさせない。 ちよっとした……)

『シュッ!!』

「……ぐはっ。」

バタン、と捜査員がその場に倒れる。 その喉からは、大量の血が流れていた。


皆様、大変長く間が空いてしまい、申し訳ありませんでした。 私情があったとはいえ、反省しております。 もう前の内容など忘れてしまったかもしれませんが、とりあえず次回から新天地での戦いになります。 これからも定期的にあげられるよう努力しますので、よろしくお願いいたします。

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