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ブレイバー  作者: 佐竹歩
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勘違い?

(さて、桜はどこだっと………。)

これからの拠点となる建物に入った大河は、桜の行方を探すと共に、建物内の構造を少しだけ確認した。 これまで泊まっていた建物は簡単に言えば普通の旅館を買い取ったのかは知らないが、改造して作った俺ら用の建物だったが、こっちは外観含め全体的にこじんまりとしていた。 中に豪華な装飾はなく、いわゆる山に泊まりに来た人たちを迎え入れるペンションのようだった。

(前の建物よりだいぶなんつうか、その、簡素だな。 そもそも人が来ないような場所に思えるから、文句は言えないか。 さて、本来の目的は建物の吟味じゃねえんだよな。)

首を右に左に向けながら大河は建物を見つつ、目的の人物を探し、そして見つけた。

「桜。」

「………なに?」

声をかけると、相手は一瞬、間を置いてから振り返った。 恐らく自分が運んだことを知り、声をかけてくるまでが計画通りだったのだろう。 それで多少にやけていたのか……。 どこまでがあってるかは分からなかったので、大河はあえて聞かなかった。

「いや、さっきは悪かったな。 わざわざあんなことしてもらって。」

こちらとしても、出発する前にあんなことがあったからといって、わざわざ桜に運ばせるつもりなどなかったので、素直に感謝しておく。

「ん? さっきのこと? ああ、あれね。 うーん、あれはなんというか、私がしたくてしたことだから、気にしなくていいよ。」

桜は一瞬なんのことかととぼけたような顔をしたが、すぐに気づいたのか、自分なりの意見をのべてくる。

「いや、でもさ、あれを女子にやらせるのはいくら強い桜とはいえ俺が嫌だしな。」

大河は自分の荷物の中身を思い出す。 日用品や服なんかもあるが、なにより大河自身の剣と、大地の予備の弾薬まで入れておいたはずだ。 大地の荷物は銃で一杯になってしまっていたのである。 そうなると、やはり普段剣を振り回してるとはいえ、あの剣の重量が変わらないことを知っている大河は気が引けた。

「あのくらいのこと、別になんともないよ。 確かに、大河からしたらあれかもしれないけど、あ、女子がよくやるって訳でもないんだけどね。 とりあえず、大河は気にかけすぎだよ。 特になにも思わなくって大丈夫だよ。」

桜は手を横に振りながら大河の主張を否定した。 少し早口になっていたが、大河は深くは考えなかった。

「あ、ああ。 なんか随分積極的に言ってくるな。 分かったよ。 とりあえず、ありがとな。」

大河は桜に感謝の言葉を伝えるという当初の目的は達成できたし、桜と近い距離で一緒にいるとまた先程、と呼んでいいのかは微妙な時間が経過していたが、桜にやられた出来事を思い出してしまいそうで、早いとこ会話を切り上げたいという気持ちが無いわけではなかった。 この流れは悪いものではないので、そのまま大河は自分の部屋を探した。 当然、運んだ桜に聞けばすぐに分かるのだが、更に会話を続ける気にはならなかった。

(たく、桜のやつ。 なんであんな多少慌てたような口調でいうんだ。 変に考えるじゃねえか。)

そもそも大きくなかった建物のお陰で、大河は迷わずに部屋を見つけられた。 一度廊下の奥に見える桜を見ようと振り返ったが、その姿は既になかった。

(大河、なんでわざわざあの事をもう一度言ってくるの!? なんであんな………キ、キスなんてしちゃったんだろう……。 思い出すだけで恥ずかしくて消えそう! というか大河はよく話しかけにこれるね。 とてもじゃないけど最後の方は顔を見るのも躊躇っちゃったよ。)

桜は急いで自分の部屋に戻り、洗面台で顔を洗ったが、火照った顔はまだ熱いままだった。 何故大河はあんなにも普通でいられるのか、そもそもホントにあんなことでお礼を言ってくるのかが桜にはわからなかった。

(まあ、私がやったことだもんね。 色々と考えても後の祭り。 もう悩むのもやめよ…)

そのまま桜は、部屋のベッドに寝転んだ。

………その様子を端から見ていたのはとある二人。 同じような視線を送るのは、やはり血が繋がっているからなのだろうか。

「おじいちゃん、なんでわざわざ大河に桜が荷物を運んだなんて嘘ついたの? お陰でホントに運んだ私がお礼されそびれちゃった。」

小さな声でその孫、凛が声をかける。 「ん? なに、大河の様子を見ていたらあいつになんかあったことはすぐにわかる。 特に桜に目をやるときに過剰に反応してたしな。 凛も例外じゃないけど、確かに年頃の子供たちがこれだけ一緒の時間を過ごしていたらなにかあってもおかしくないけどね。 でも、それで意識しすぎてずっと話さずに戦闘に何かあったら大変だ。 一度話したら、なんとなくするするっといくかもしれないだろ?」

祖父にあたる宗次郎は何故こんなことをしたのかという動機を凛に伝えた。 その目はまるで、昔の大河の父、の学生時代を見ているかのようだった。

「なんか、片方には逆効果な気がするんだけどなぁ…」

これまで今の桜のような経験をしたわけではない凛だが、同年代の女の子として、桜の気持ちにそれとなく同情して首をふっていた。



50話を読んでくださり、ありがとうございました。何気なく書いてきたこの話もそこまで進まずに50話を迎えられました。 多少投稿ペースが落ちてきてるなと、私自身も感じております。 できる限り定期的に投稿しないと、なかなか読んでも頂けないものですし、頑張りたいと思っております。 これが折り返しになるとは思えませんが、ひとまず100話を目指してまた頑張って書いていきます。これからもよろしくお願いいたします。

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