能力
「………ん……あぁ、7時か。戻ってきたのは夕方近くだったし、そんなに寝なかったみたいだな。 大地は……」
目を覚ました大河は体を起こし、大地が眠っていたベッドを見る。 そこにはもう大地の姿はなかった。
「あいつもあまり眠れなかったか。 よっと……いたっ。」
恐らく皆と同じところにいるので、大河もベッドから降りて部屋の外に向かう。 多少痛みは引いたが、まだそれなりには残っていた。
(皆また集まってるか。 とりあえず腹減ったし、皆のとこに向かうか…)
ドアに手をかけ、大河は皆のとこへ向かった。
◆◇◆◇◆◇◆
「あ、大河、おはよ。 」
大河が皆のもと…まあ時間的に食堂な訳だが、に向かうと、すでに皆は食事をとり始めていた。
「相も変わらず皆してしっかりしてんな、あんだけ争った後だってのによ。」
大河は席につき、おかずの海老フライにむしゃぶりつく。 非常にサクサクしていて、動いて腹の減っている高校生男子にはとても素晴らしいものだった。
「まあ私たちは一足先に戻れてたわけだし、そういえばさ、大河たちは私たちと別々になった後、どうしてたの?」
裕希も海老フライを食べながら大河に聞く。 早く戻ってこれたといっても、凛たちは忙しかったし、そもそも二人が疲れていた為、大河たちの様子を知ることは凛との通信ぐらいしかなかったのだ。
「えっとだな……まあ長くはなるんだが、多少簡潔に話すとだな………。」
大河は別れた後のことを話した。 そもそもあの後地下にいなかったことや、謎の敵と戦うことになったこと。 火山が爆発するというタイムリミットが出来たが、その後急に爆発したこと。 二人してかなりおされていたが、大河がよくわからない事をして勝ったということ。 見えない壁を解除して結局逃げてこれたということ。
「………とまあこんなもんだ。 戻ってきたのが幸いだったって事が伝わってればそれでいいや。 二人で挑むやつじゃねえよあれ。」
大河は最後の敵との戦闘を思い出しながら、まるで愚痴をこぼすかのように呟いた。 高い身体能力を持ち、太刀も銃弾も通じず、剣捌きはかなりのもの。 更に溶岩が通じないときたら、よくあの環境で勝ったと言っても仕方のないことである。
「なんか途中から私たちの想像の遥か上にいっちゃってるんだけど。 どういうこと? 人が溶岩の中で立ってるだとか、剣が通らないだとか、それもう人じゃないんじゃない?」
裕希はまるでそれが人じゃないなにかだと思ったらしい。 第三者からしてみればそれも当然だろう。 現に大河も最初は信じられなかった。
「いや、最後敵の身体を見ることになったんだが、普通に人間だったな。関節の動きとか、俺らと変わらずだったし、なあ大地?」
「ああ、俺も一対一をしたが、あいつの身のこなしは機械だとは思えなかった。 恐らく、俺らみたいに身体を弄られた……かつ俺らより更に強くされたみたいだが。」
大河は共に戦った大地に確認する。 大河が休んでる間一人で戦っていた大地も同じようにそう思ったようだ。
「でもさ、もしそれが本当に私たちと同じだとしても、なんで溶岩が平気だったりしたの? 私たちそんな能力持ってないよ? 凛は何か知らない?」
桜が大河の言葉を聞いて不思議そうに言った。 これは実際に戦ってきた四人全員の気持ちを代弁するものだった。
「まあ、ちょっとくらいは。 とりあえず、今日私とおじいちゃんで分かったことを話してくね。 事細かには分かってないから、そこはまあ許して。 とりあえずまず一つ、相手は確実に実験を進めている。 理由としては桜の疑問通り、あなたたちには付いてなくて、敵には付いてる謎の能力の内容だね。」
「内容?」
次は裕希がよくわからないという風に口を挟む。
「そう。 桜と裕希は謎の装置がそれぞれ武器に付いてる。 多分だけど、大地の銃弾を曲げるのは能力じゃないね。 身体が覚えてる感じだから。 そして、その装置の内容も様々。 桜は洗脳と能力強化の二つだし、裕希は能力強化のみ。 大地は洗脳のみってところかな。 多分大地は機械じゃなくて普通に身体自体を弄られてそれだけの銃捌きが出来てると思う。 まあここからが本題な訳なんだけど、今回戦った敵の能力は武器、つまり間接的な物ではなく、その身体自身、直接的に付加されているということ。 裕希も桜も能力が発揮されるのはどちらも武器でしょ? ただ敵は身体に能力を発動させ自分の守りを堅くすることが出来ていた。 そう考えた場合、では何故それをそもそも最初の大地につけなかったのか。」
「……そこまで発展してなかった、と。」
「そういうこと。」
大地の答えを聞き、凛はそれを肯定する。
「そこまでの技術が敵の手になかったと考えるのが妥当。 もしくはリスクを恐れた。 どちらにしても、敵は安心してその能力を付けることが出来ていなかった。 今回が偶然上手くいったからこっちに寄越してきたのかは分からないけど、確実に敵も戦力を上げてきてるね。 そして、もう一つ。 その能力を使うには体力の消耗、かつ全身にかなりの負荷をかけるので、何回も使って身体をそれに慣らすことが必要であるということ。 つまり大河のがいい例だね。」
「ん? まさか俺のあれって……あっ。」
大河はここまでいうと、こっちに来る前に宗次郎がいってたことを思い出した。
「宗次郎、つまりは……」
「そういうことだ。 こここらは私が説明しよう。」
宗次郎が話を振られ、凛の後を継いで話始める。
「まあ簡単にいってしまえばだが、大河、お前にも能力を付けた。」
「………ん?」
大河は思っていなかったことを言われ、その場で固まってしまった。
43話を読んでくださり、ありがとうございました。
次の舞台にいくのは二話くらい先になります。




