第一戦、終了
「ぐぅ……貴様ぁ………今何を………。」
敵は起き上がろうとするが、かなり傷が深いのか、どうしても立ち上がりきれないでいた。
「残念ながら、俺自身も何をしたかは分からねえんだ、悪いな。 さて、脇腹と腿をやられてる奴と、上半身ががっつり逝っちまってる奴の一騎討ちになったわけだが、まだ続けるか?」
大河自身も余裕はないが、威勢だけでも上位にたっていないと痛くてやってられない。 何気に我慢が続いていた。
「大河、今のは……」
大地がゆっくりと歩いて近づき、話しかけてくる。 もう体もボロボロで、やはり大地には戦闘は任せられなかった。
「よくわかんねえけど、恐らく凛の言ってた………っ!!」
大河が説明をしようとしたその時、突然これまでに感じてこなかった衝撃がが大河の体にのしかかってきた。 思わずその場で膝をつく。 それと同時に、怪我をしている部分がより痛みを発してきた。
「大河!!」
「くっ………だ、大丈夫だ……。 いってぇ……なんだよこれ……。 凛! ……凛! くそっ、こんなときに通じねえのか。」
謎の痛みに耐えつつ、大河はこれが『無茶をしろ』の理由なのかを問い掛けたかったが、何故か凛の反応が得られなかった。
「はぁ……はぁ……私が殺られようと、貴様らを倒す方法があることを忘れてないだろうな?」
「なに?」
敵は傷ついた体を無理やり動かし、剣についているスイッチ部分を押した。
『……ゴゴゴゴゴゴゴゴッ』
「まさかっ!?」
「これで私だけではないな。 貴様らも同時に終わり……だ………。」
再度地響きがなり、山頂からは煙が舞い上がった。 敵は悔いはない、というような笑みを漏らすと、そのまま動かなくなった。
「大地、どうする!」
「俺らの予想通りに敵の施設に周りに展開されてる見えない壁の制御装置があったとしても間に合わない。 どうせ次の噴火は本気で俺らを殺しにかかってくるんだろうからな。 一か八か……」
『ドカァァァァァァン!!!』
大河がこの状況をどう乗り越えるか悩んでいると、前回とは比べられない早さで火山が噴火した。
「いやいや、早すぎるだろ!? 大地、こうなったら走るぞ!」
「……っ!!大河、危ない!!」
大河が火山から離れるために走り出そうとしたその時、大地は大河の頭上に岩がかなりのスピードで飛んできているのを見た。 それもかなりの大きさで、ぶつかったらとてもじゃないが一溜まりもなさそうなものが。
「……大地、多分凛が俺に言ってたのはこういうことだ。」
それだけ告げると、大河は避けるどころか、その岩石に体を向け、戦うかのような姿勢で対峙した。
「大河! 馬鹿かお前は!」
「はぁぁぁぁぁぁあ!!!」
大河は思いきり声を張り上げ、太刀を上にかかげ、力をこめたまま振り切った………岩石が間合いに入るにはまだ少し距離があるのに。
「大河ぁぁ!!」
大地は最悪のケースを想定した。 しかし……
『ピキッ……バッッコォォォン!!!』
何故か振り切った後にも関わらず、まるで太刀に綺麗に斬られたかのような状態で、岩石は木っ端微塵になった。
「はぁ……はぁ…………やっぱりか。 予想が外れてたら死ぬとこだったぜ。」
見事に岩を粉砕した大河だったが、やはり先程同様かなりのダメージを受けてるようだった。
「大河、俺にはなんかもうよくわからないし、分かったことと言ったら、お前が重度の馬鹿だってことぐらいだが、とりあえず逃げよう。 だが、もしこれでまだ出られなかったら……。」
大地はあえてなんで通りすぎたあとの剣が粉砕できるのかを考えず、とにかく脱出することを第一にした。 後からでも話は聞けるものだからである。
「大地、多分だが、逃げられるぜ?」
「なんでだ、大河。 どこにそんな根拠が?」
大河がまるで既に確信してるかのようににやりと笑った。 そして、倒れている敵に近づいていった。
「確かに敵の本拠地に隠すってのも王道の一つなんだが、こういうのは盲点を突くってのも一つ違う意味で王道だ。 そして今回はその可能性が高くなる要因がある。 それが……」
そこまでいうと、大河は太刀を振りかざし、敵の体にぶっ刺した。 敵のからだの回りについていた岩の装甲は、敵が力尽きたからなのかは分からないものの、意図も容易く崩れ落ちた。 山頂から溶岩流が迫り来る中、ようやく敵の岩を取り除いた大河が敵のマントの内側を見ると、予想通りになんらかのスイッチが出てきた。
「俺らを本当に殺す気なら、行けば見つかっちまう施設に置いとくより、どうやっても堅くて崩せない自分自身が身に付けておく方が良いって考えもあるもんだ。」
「なるほどな……なんでそういうとこだけ頭が回って、普段の勉強が馬鹿なままかな。」
「うるせえ。 別に良いだろ? さて、そんなことよりも……」
大地に上手いこと弱みを突かれて、多少なげやりに返した大河は、今一番気にしなきゃならない方を見た。
「……大地、俺も手助けできそうにない。」
「わかってる。 でも死にたくなきゃ走れ!」
大河が大地の体を心配しながら声をかけたが、後半は戦闘に参加してなかった為か、多少は回復しているようだった。
「その言葉が出るなら大丈夫だな。 行くぞ!」
二人は迫り来る溶岩を背に、ただひたすらに先程は通れなかった道へと進んでいった。
41話を読んでくださり、ありがとうございました。
これにて初の施設外での戦闘は終了です。




