表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブレイバー  作者: 佐竹歩
PR
40/50

形勢逆転

「河………大河……!」

(あれ……今は………。)

大河は一瞬目を閉じている感覚だったが、実際には倒れたあと多少時間がたっていたようだった。

「いってえ……あ、凛。 聞こえてる。」

刺された脇腹を押さえながら顔をあげる。 周りを見ると、大地が逃げ、敵がそれを追いかけている状態だった。

「くそっ……休んでられねえな。」

「待って、大河。 伝えたいことがあるんだ。」

大河がふらつきながらも立ち上がろうとした時、凛が声をかける。 しかし、大河は相方の危険を目の前には止まっていられなかった。

「いや、待ってられねえ。 動きながら聞く。」

「ダメ。 敵に動いたってことをバレたくない。それだけちゃんと聞いてもらいたいんだ。 大河、そっちの話を聞く限り敵の体に剣は通らないんだよね? でも、実は始めから倒す方法が一つだけあったの。いや、今ようやく方法として挙げられるようになったかな。」

それでも凛に制止され、仕方なく頭をまた倒した大河は、その言葉を聞き思わず声を大きくあげそうになった。

「っ………! マジかよ。 思わず叫びそうになったじゃねえか。」

「ここまで伝えられなかったのは、まだシミュレーションが完全に終わってなかったから。 実はさっきまで伝えていたおじいちゃんの調査ってのは嘘。 他に重要なことをしてくれていたんだ。」

更に知らなかった事実を告げられ、大河の頭が余計に困惑する。

「もう何が言いたいのかよくわからねえよ。 つまりはなんだ、宗次郎は他の事をしてて、その別の事の結果、倒す方法を俺に伝えられるようになったってことなのか?」

「そういうこと。 それで大河、もう答えは分かりきってるようなものなんだけど、体力はどのくらい残ってる? 正直、まだ無茶できるレベルかな。」

凛から突然よくわからない質問をされ、大河は多少面食らった。 前では大地が戦っているので、手短に正直に返す

「無茶知ろって言うなら無茶する。 駄目だって言うならやめる。 そのレベルだ。」

「そう。 そしたら……ちょっと無茶してもらおうかな。 そいつを倒すために。」

その時、大河の視界の端に、大地の左腕に剣が突き刺さるのが見えた。 苦痛の表情を浮かべている大地の顔が見え、大河は会話をより早く終わらせたかった。

「大地がピンチだ。 早くしてくれ。」

「じゃあ……………」

「…………………了解。 馬鹿げてるが、やってみるか。 」

凛から必要なことを聞き、大河は会話を終了する。 凛との会話の間に脇腹も多少痛みが和らぎ、先程より楽に動けていた。大地の方を見ると、左腕だけでなく、右腕も狙われ、そして斬られていた。大地がその場に倒れ、敵が剣を振り上げる。

(まずいっ!)

「くそっ……待て!」

『ピタッ』

大河の声に敵の腕が止まる。 その間に大地は退き、多少距離をとることができた。

「大河……大丈夫か……」

両腕をぶらつかせながら、大地が大河の方に目を向ける。 かなり深いところまで刺さったらしく、その出血はかなりのものだった。

「俺の前に自分の心配してろ。 そんな体じゃもう動けないだろ。」

「あぁ…流石に腕をやられては何もできないな。 すまん。」

大地は申し訳なさそうに告げる。 大河は凛に言われたことをもう一度思い出していた。

(この武器、そんなことができるのかよ。 てか、原理がよくわからないな。)

「大河という者よ、貴様も自身の体はボロボロではないか。 それでもまだ立ち向かうというのか。」

「残念ながら、ここから無事に逃げられると思えねえからな。 やってみるしかないわけだ。」

そういうと、大河は自ら指を太刀の先に当て、少しだけ血をたらした。

(予定ならこれで……)

しかし、太刀は何の変化も現さず、そのまま血が残っているだけだった。

(は? なんでだよ。 これで大丈夫だっていってたじゃねえかよ!)

「何をしだすかと思ったら、特に何もないではないか。 気合い入れにもいろんな形があるのだな。」

敵は大河の様子を見て、挑発気味な言葉遣いで話しかける。 大地も何をしているのか分からないというような目で見ている。 一番困惑しているのは大河なわけだが。

「そのちょっとした儀式が出来たからもう良いだろう。 やらせてもらう!」

敵はこのまま仕留めてしまおうかという勢いで大河に突っ込んできた。 大地はその様子を見て敵を止めようとするも、やはり思い通りには体が動いていなかった。

(こうなりゃ自棄だ。 そのかってえ体、斬り裂いてやる!)

「はぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

大河も声をあげて突っ込む。 脇腹が痛んだが、凛が無茶をしろというならそれに従うだけだった。

(これで決まるかもな。 俺が殺られようが、もう仕方ないのかもしれない。 こいつ見るからに元気だしな。 俺の攻撃が決まらなかったら……。)

(大河、そして大地。 私の初めての敵がこの二人で良かった。 とてもやりがいがあったぞ。 だが、一つこちらが上だったな。)

それぞれの思惑を胸に秘め、二人の剣がそれぞれの間合いに入った。 二人の衝突による衝撃が伝わってきて、大地は思わず目を閉じる。

(剣ってぶつかるだけで本当にこんな衝撃が来るのか…。 そんなことより、どうなった……)

「…………ぐあっ………」

膝をついていたのは大河だった。 その腿からは血が流れ出していた。 一方敵は何もなかったらしく、ごく当たり前のように立っていた。

「大河!!」

「これで本当に終わりだな。」

大地が痛みを忘れて銃を手に取る。

しかし、間に合いそうになかった。ところが……

『ザシュッッ!!!』

「!?」

敵の体が斬られ、岩のヒビの間から血が出てきていた。 当然、敵も驚いたが、それ以上に大地の頭がもうついていけてなかった。

(何が起こったんだ? これまで一度も奴の体をまともに斬れていなかったのに……。)

敵は思わず仰け反り、そのまま倒れる。 大河は太刀を支えにして、もう一度立ち上がり、敵に切っ先を向けた。

「さて、形勢逆転だ。」



40話を読んでいただき、ありがとうございました。

次回かその次で今の流れは終わりです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ