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ブレイバー  作者: 佐竹歩
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26/50

本音

部屋に入ると、研究員が何か必要なものは、とか、食事はどうしますか、等を聞いてくれた。 大河は何もいらないと思っていたため、素直にそう返すと研究員はそのまま戻っていった。

「ふぅ………………………」

大河はベッドに横になり、今日一日の出来事を思い返した。 出発しようとした矢先に襲ってきた二人の友人。 片方は自由自在に剣を伸縮させ、もう片方は恐ろしい速度とその両手に携えた双剣で切り裂いてきた。 互いに弱点があり、なんとか勝てた、というのが正直な感想。 さらには裕希の家族が捕らわれているという真実。 大河はかなり不安になっていた。

(予想はしていたが、剣使い二人を相手にこの様か……………。俺は家族のところへ辿り着けるのか? 今のままじゃとてもじゃないけど難しい。 それに今の主流は銃だ。 大地は同じく銃で応戦して、桜は剣を伸ばせばいいし、裕希はなんとかあの速度で近づいていけば…………………俺どうすんだよ。 いや、そういうときの為に四人で戦うわけだが………………。 言い出しっぺの俺が足手まといになってたら話にならない。 なんとか策を…………………………………あっ! 大切なこと言ってねえ!)

そんな考えを巡らせ、自分に何ができるのか、という事でいつも使ってる太刀を見ようとしたが、その時、一番伝えなければならない『太刀が使えない』ことを思い出した。

「皆忙しいし、完全に動けないわけじゃないから、自分で伝えにいくか……………」

まだ重たく、だがどうやっても動けない、とまではいってない体を少しずつ起こしてから、大河は部屋を出て宗次郎の元に向かった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「ん? 大河、どうした? お前は今は無理しなくていい。」

大河が部屋に向かうと、未だに機械とにらめっこでもしてるかのようにずっと画面を見てる宗次郎がいた。

「いや、一つ伝えてなきゃいけないことがあったからな。 実はな…………」

「………………………………なるほどな。 了解したよ。 まあ戦ってたらそれは当然起こることだから、仕方のないことだな。 次はサブの太刀も用意しとかなきゃいけないかもな。 だが大河、もしかしたら、次の太刀はより良いものが出来るかもしれないぞ…………? まあ楽しみにしとくといいよ。」

「ん? そうなのか。 より戦いやすくなるんだったら普通に有り難いから、楽しみにしとくな。 まあそんだけだ。 頼むな。」

「いや、ちょっと待て大河。」

用件を告げ、ベッドのある部屋に戻ろうとした大河を、宗次郎ほ呼び止めていた。

「………………………………どうだ、大河。こっから先への希望は。」

「………………………………」

大河は何も言うことができなかった。 周りには他にも研究員がいるし、その全員が一生懸命に動いてくれている。 それに、一緒に戦った大地になら色々とぶっちゃけても特に支障はないと思うが、今回の裕希の家族の問題のように、出来事に対して色々と決定をしてくれる宗次郎に正直なところを言ってしまっても良いものか、と思ったのだった。

「ここじゃあれか。 ちょっと移動しようか。」

宗次郎はそんな大河の心中を察したのか、場所の移動を促した。 それはとても有り難かった為、大河も素直に従った。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「ここならいいだろう。 さて、どう感じた?」

「………………………正直なとこ、やってける気がしない。 と言うのが本音だ。」

大地のときはもっと軽い言葉を使った。 しかし、宗次郎には自分の気持ちをより深く受け取っておいてもらいたい。 という気持ちから、少しオーバーに言ってみた。

「うん。 まあそうだろうな。 実際、私は今でも物凄く不安だし、この先勝ち進んでいける自信がない これは弱気とか、臆病とかではない。 まずそもそもの話、相手がどこまでできるかも理解できてないし、 やってくると断言できることといえば、遠距離からの銃での殲滅くらいだろう。 それに、圧倒的戦力差もある。 まあここら辺は前にも話はしたんだが、やはり実際に戦ってからだとこの言葉の重さが違うだろう。 」

大河の正直な気持ちを受け止め、宗次郎も思っていることを話す。 研究員の皆があれだけ動いてくれている為に、その場で勝てる気がしませんなんて言えなかったのだろう。 それでも、宗次郎の目に迷いは見えなかった。

「しかし更に言えば、ここまでできるとも思っていなかった。 銃対太刀の時点で絶望的だったし、その後のニ対ニも私のなかでは勝てる見込みはほとんど無かった。 そんな私の考えを大河は打ち破ってきてくれている。 かなりの怪我は負っているけどね。」

この言葉も大河には微妙なものだった。確かに宗次郎の考えの上をいけているのは嬉しいし、ちょっとした自信になる。 だが、その反面ここまでのニ戦はどっちもかなりの傷だ。 正直連戦しろと言われてはいいけますと言える状態ではない。

「わざわざこんなことを今更言うのもどうかと思った。 でも、やっぱり私も君たちを見守っていかなければならない人間として、今の状況を知っておきたかったからね。 どのみち今更大河が引き返すなんて思ってないし、もう引き返せない。 ただ、君たち四人の中の中心に話を聞いておきたかったんだ。」

「…………………………」

ただ静かに話を聞く。 自らが中心だということを再確認させられ、もう一度気分が高まっていた。

「とりあえずそれだけだよ。 とにかく、大河の体がよくなる頃には新しい相棒を作っておく。 じゃ、今日はお疲れ様。 ありがとう。」

「ああ。 また何か聞きたかったら言ってくれな。」

短い会話、しかし大河にとって、その内容は今後の展開を嫌でも考えなければならなくなるくらい重たいものであった。


26話を読んでいただきありがとうございました。


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