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ブレイバー  作者: 佐竹歩
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要件

「…は?」

大河が発した言葉はこれであった。 自身の体を衝撃が突き抜け、思考が停止していた。 見ているのはいつも通りのテレビ。 しかし映っていたものは現実とは思えないものであった。

その現実を目の前にして停止している大河の頭に一つの音が入ってきた。

ガチャッ。

大河は電話を乱暴に取り上げ、当然ながら電話の相手を確かめることもせず、更に上げようとした声量を押さえつけ聞いた。

「……何がしたいんだ。」

「別になにも君に言うことはないさ。 外に出て街頭ビジョンを見ていてくれると分かると思うがな。 」

「そうじゃない! 俺に直接言いやがれ! こっちからの反応も気にせずに話すだけなんて、んなもん卑怯だろうが!!」

「何を言ってるんだ。 ちゃーんと君たちの反応は見えているよ。 日本どころか、もしかしたらアジア全域、世界各国……かも知れないな。」

「…!?」

大河は正直世界情勢なんて気にもしていなかった。 よって個人がどれだけ世界の情報をリアルタイムで入手できるかはあまり知らなかったが、それがどうであれ、かなり危険な臭いがしてきたのは感じられた。

(とにかく外に出て、見届けなくては…)

大河は外に出て鍵もかけずに駆け出した。

      ◆◇◆◇◆◇◆◇◆

ハァ……ハァ………

ようやくビジョン前にたどり着いた大河だったが、呼吸が落ち着き、周りが見えるようになると、他の人もテレビの影響か、ビジョンの画面を見に来ているようであった。やはり皆も大勢で観た方がなにかといいかとでも思ったのだろうか。

そして大河が大抵の周りの整理をつけたその時に、ビジョンの画面が暗転し、謎のカウントダウンが始まった。

「5……4……3………」

何が始まるか。その内容をより正確に理解しているのは他でもない俺だ。周りの人々の中には興味本意の者もいるだろう。当然ながら俺はそんなこと気にしてられない。視線、意識、思考。その他様々なものが画面へと一点集中していた。

「………日本の皆さん、初めまして。

私はある裏のグループのボスだ。名前を言う必要もないだろう。まず君たちにこれを見てもらおう。」

そして俺の家族が映し出される。どよめきを見せる人。未だに何かの企画かと思ってる人。何処かに電話をしようとしている人。様々な反応で大河の周りを埋める。

「……いかがだっただろうか。これを何かの遊びかと思っている方々。いつもならそれが正しいかもしれないが、

今回はそうではない。我々は本気である。事実こうできるのだ。」

画面の中に明らかに怪しい黒服の男が現れ、父さんと母さんを一回ずつ殴った。

(こいつ………!!!)

大河の中に怒りが更に込み上げてくる。しかしここで叫んだらこいつの思うつぼかもしれない。とにかく耐える。まるで言葉を出せないかのように。

「これでわかっていただけただろうか。もう一度言おう。我々は本気だ。この家族も今日捕らえたばかりである。特に誰を捕らえるとかはなかった。ただこの人たちであっただけだ。つまり我々はいつでも誰かを捕らえられる。………我々の目的は一つである。」

ゴクリッ………。

大河は唾を飲み込んだ。

「……日本が極秘に設計、開発している近未来型兵器の資料、並びに日本を動かすだけの権力だ。我々はこの二つを欲している。理由は話す必要もなかろう。これが我々の要求だ。拒否しようが受け入れようが皆さんの勝手だ。ただ、このように実例を見せたということだけをお忘れなきよう。それでは。」

そして街頭ビジョンの画面は元に戻った。大河はもはや理解不能であった。国家規模? 兵器? 権力? 様々な用語が頭のなかを駆け巡っていく。気づいたときには走り出していた。

「なんだよ………なんだよこれはよぉ!!………」

久し振りに辛い気持ちを感じた。家に帰ってきて、鍵なんて気にせずにソファーに座り込み、そのまま横になってしまった。

……………どの程度時間が経っただろうか。

ピンポーン。

唐突にインターホンが鳴った。しかしながら大河は動くこともせず、その音を無視した。だが、

ピンポーン、ピンポーン。

インターホンは更に鳴り続けた。

(んだよこんなときに……)

大河はイライラを隠せずに、ぶっきらぼうな様子で受け答えた。

「誰ですか。」

「君の助けになりにきた。とにかく出てきてくれないか。」

(………ついでに俺もやられるのか。)

大河には敵にしか見えなかった。見たこともない相手であり、あの家族が俺の家族だと何故か知っている。もはや確定的だろう。しかし大河は抵抗しなかった。もうどうでもよかった。なんなら家族と同じ場所に連れていかれ、そこで終われるならいい感じではないだろうか。

「分かりました。」

大河は家の中をそのままに外に出た。

立っていたのはやはり見知らぬ男であった。

「私の名前は菊谷宗次郎きくたにそうじろう

あなたのお父さんの知り合いだ。君を助けよう。」


第二話を読んでいただきありがとうございました。一先ず相手のボスを出せました。これから大河の環境が変わってきます。

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