大河、初陣。~VS大地.3~
『ザシュッ!』
大河の太刀は確かに捉えた。だが捉えたのは首元の機械ではなく、それを覆っているフードであった。
「くそっ………甘かったか………。」
自らの太刀の精度を信用できないため、大河は少し大地から外して突き出していた。それが悪い方向に転び、目標を捉えることは出来なかったのだ。
「大河お前、本気で俺を傷つけたくないようだな………。その考えもう捨てた方がいい。その方がお前の身のためだ。正直お前の間合いに入るとは思ってなかったが、こっからは更に気をつけて撃ってくから、まあ諦めな。」
「ははっ………そのぐらいで諦めるんだったら、始めっから狙ってないさ。一度は間合いに入れたんだからな。まだ希望はある。そう思えたぜ、大地。」
タッ……………タッ………………
お互いが少し距離をとったまま、円を描くように歩いている。その音だけが道場に聞こえ、これまで以上に緊迫した空気が二人を包み込んだ。
(大河………ここまでよくやっているが、今の一撃で決められなかったのはかなり厳しいぞ。なるべくはやいうちになんとかするんだ………)
宗次郎は静かに見守っていた。向こうからかかってくるとは思っていなかった為、かなり負い目を感じているのだった。
ゴクッ………………
大河が唾を飲み込んだ瞬間。
『バンバンバンバンバンバン!!!』
大地が両手で引き金を引いた。
(きた…………!)
「おらぁ!」
『カンカンカンカンカンッ!!!』
「これで終わらす!俺とお前、どっちが先に集中が切れるか勝負だ、大河!!」
「終わらすのは俺の仕事だ!大地!目覚まさしてやるから待っとけ!」
『バババババババババババ!!!!!!』
『カンカンカンカンカンカンカンカンッッッ!!!!!』
大地が両手で撃ち、大河が弾く。その永遠とも思えるやり合いが始まった。
「おらおらおらおらおらおらおらぁぁぁぁぁぁ!!!!」
大地はまだまだ体力が残っている様子だった。撃つスピードもかなり早い。だが一方で大河は疲労が見えてきていた。
「ハァ……………ハァ…………まだまだぁぁ!!」
『バババババババババババ!!!』
『カンカンカン……………』
辛うじて弾き続けてきた大河だったが、差が見えてきた。
『ザシュッ!!ザシュッッ!!!』
「くっ…………………」
大河の腕、腰、脚。少しずつ傷が増えてきていた。出血も徐々に酷くなり、大河は動くのが厳しくなってきていた。
「大河!!大丈夫か!!!なんとかその銃弾の嵐を切り抜けろ!!!」
宗次郎が焦りを見せながら話しかける。もはや凛はなにも言わない。ただ両手を組み祈るばかりだ。
「ハァ………ハァ…………」
それに加え、スタミナがかなり減ってきていた。しかし、大河はまだ諦めてなかった。
(大地も少しずつ遅くなってきてる。特にリロードの時……………。前より長い時間をかけて装填している。そこを突ければ…………。でも俺の体力もキツくなってきているからな………なんとかするしかないか…………。)
「どうした大河!!俺を助けるってのはどこいったんだよぉ!!防戦一方かぁ!?」
『バンバンバンバンバン!!!!!!』
「ははっ、そっちこそどうしたんだ大地。リロードが鈍ってきてねえか?」
『カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンッッッ!!!!!!』
「んだと大河………?ここにきて見栄っ張りかよ…………………フフッ。
じゃあ受けきれぇ!!!!」
『ババババババババババババババババババババババ!!!!!!!!!!!!!!!!』
これまでの速度を遥かに越える速さで銃弾がとんできた。大河は1つ息を吸い…………………
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
思いきり叫び受けきる覚悟を示した。
(大地…………。そう言いつつ俺もお前も疲れてるよな…………。後は気力の勝負ってやつか。お前の銃さばき。明らかに鈍ってきてる。それは俺の太刀も同じだ…………。だから、もう一度お前が速度を落としたら、そこで俺の命を賭けてやるからな。最後の策を。)
「おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
『ババババババババババババババババババババハ!!!!!!!!!!!!』
「うおらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
『カカカカカカカカカカカカカカカンッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!』
両者この勝負での最高速度でのぶつかり合い。宗次郎も凛同様祈るしかなくなっていた。
(神様……………どうか、どうか家族のために命を賭けると決めた一人の少年をこんなすぐに終わらさないでくれ……………)
「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」
大河。大地。両者の速度が最高潮に達した時…………………
「…………………くっ…………!!」
大地がふらついた。ついに大河にもう一度チャンスが現れた。しかしすぐに元に戻そうとする大地。
(ここしかねぇ……………!!!!)
「大河!!!!勝って!!!!!!!!!!」
凛のここまでの祈りを込めた叫びが響いた。
「いけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
大河は太刀の平地部分で真っ直ぐ飛んできた銃弾を切り上げ……………というよりも上に打ち上げ、そのまま平地部分で打ち返した。なんと飛んできた銃弾を太刀を使って打ち返したのだった。
(流石に無理か………!)
大河は望みの薄い賭けに出たことを今更ながら少し後悔したが、
『カンッッッ!!!!!』
大河の狙い通りに銃弾は飛んでいった。遂に大地の首元にある装置は壊れて外れた。
「うっ……………………」
大地はその場に倒れこんだ。恐らく装置の反動か何かなのだろう。
「はぁ………………………はぁ…………………………ふっ。」
軽く微笑んだ大河は、その場で崩れ落ちた。
第15話を読んでいただきありがとうございました
これにて大河の初戦はおしまいです。




